ART COMMUNICATION IN SHIMANE みるみるの会の活動報告

島根の美術教育関係者が集まって立ち上げた対話型鑑賞の普及に努める「みるみるの会」の活動情報をお知らせするブログです。

9月例会レポート パート2!をお届けします!

2016-09-25 07:50:08 | 対話型鑑賞
みるみるの会 9月例会(9月17日:土)浜田市世界子ども美術館コレクション室
鑑賞作品「漁村の夏」山崎修二作 1957年

 前回のブログにUPされた松田氏と同日開催であったので、作品選定は松田氏の選定を待って選ぶことにした。これは松田氏より私のほうがナビ歴が長く、経験も多く積んでいることからの配慮である。鑑賞のナビを行うときの作品選定は重要で、自分がナビできると思うものを選び、繰り返し実践することでナビの力量を上げていく。ナビの経験値が高い者は経験の浅い者に作品を譲り、より難度が高いと思われる作品に挑戦していかなければならないと考える。どんな作品でも対話は可能だが、同じ時間で鑑賞するのであれば、よりRICHな対話が生まれる作品を選定するのがナビの使命であるとも言える。
今回松田氏が2作品で鑑賞を行うと告げて、選定した作品2点は、私も鑑賞したいと思っていたもの(モロ被り!!)だったので、この2点以外から選定することとなった(余談だが、この時点で、松田氏には作品選定の眼力がついてきていることが分かる)。ここで、私は試されることになる。意中の作品以外で、ナビするとしたら???悩んでいたが、鑑賞が始まる前に、寺尾館長が「漁村の夏」が山崎氏の若かりし頃の佳作だと評していらっしゃったので、それでやろうと決めた。

 この作品は画面中央にどっしりと茅葺(藁葺?)屋根の家屋があり、それを取り巻くように赤瓦(石州瓦?)の家並が続き、向かって右斜め上端に海岸が弧を描くように描かれ、遠景は山並みが連なり、大麻山(?)がみえているといった風景画である。(※画像参照)
 鑑賞は、まず中央部の茅葺屋根の家屋についての言及から始まり、その奥に「養蚕を行っていた(いる)のではないかと思われる建物」「家屋が密集しているのに人影はないが、先刻鑑賞した作品と同様に、生活感はある。」といった発言が続いた。松田氏がキャプション(作品解説)を隠して実践したので、比較の意味も込めてキャプションを隠さずに実践した。
 茅葺の屋根や養蚕の窺われる建物のあることからいつ頃の時代かということが話題となった。「昭和の初め」とか、「戦前」などという意見が出たことから、キャプションを見ている方もいるかもしれないと思い、1957年という制作年を公表し、戦後であることを情報として提供した(※作品の中にも作者の制作時の年齢が記されている)。その情報から、「戦後の復興期で、日本に勢いのあった時代で、農村でも茅葺屋根から瓦屋根に建物が移り変わっていく頃で、稀少となった茅葺屋根の家屋を描き残したい」という作者の想いもあったのではないかという読み取りが行われた。また、「左奥中程に大きな屋根の建物があるが、それは学校ではないか」という意見が出され、「この頃は子どもも多かったので学校の建物も大きかった」のではないかと解釈された。また、「漁村の夏」というタイトルなので、ナビの方から「夏を感じさせるものやところはないですか?」という投げかけも試みた。約20分が経過し、ほぼ作品を見終えたかと思われたころに「茅葺屋根の三本の斜線は何を意味するのか?」という問いが鑑賞者からなされ、さらに深く考えるきっかけとなった。「実際にこの線はないが、海からの風を感じさせているのでは」や「目線を動かす効果を狙っているのでは」といった解釈がなされた。このことを更に深く追求していけば作者の制作にかかわる「構図」や「ムーブメント」にも対話が進んでいくと思われたが、予定の30分に近づいたので、切り上げることにした。このことについて語り始めるとゆうに1時間を超えると判断したためである。

 鑑賞後の振り返りでは、ナビのパラフレーズ(言い換え)やコネクト(結び付け)の重要さについて言及があった。特にパラフレーズやコネクトが発言者の発言の意図を汲み、より簡潔で適切なものになると、発言者はそのパラフレーズやコネクトを聞くことで、自分の発言がよりよいものに聞こえ、発言に満足する。という状況が生じるようである。例として、「蚕を飼っているのかなあ?と思う。」という発言を「養蚕農家だと思われたのですね。」と言い換えた時に「なんだか、カッコいい言葉に変換してくれて、私、いいこと言ったなあ。」と気分がよくなり、「自己有用感が高まる気がした」し、「ちゃんと発言を受け止めてくれている。」という気持ちになり、もっと話したいという気分になったと話された。
 ナビの役割は対話が活発に行われることを促し、さらに作品をよくみるように働きかける役割がある。そのためのパラフレーズやコネクト、サマライズ(小まとめ)は重要だ。「なにがみえますか?」「どこからそう思いましたか?」「そこからどう思いますか?」「もっと発見はありませんか?」の問いかけに結び付くパラフレーズ、コネクト、サマライズの精度を上げていくことが対話を活性化させ、より深く、RICHな解釈へといざなう。その船頭役・交通整理役がナビゲーターである。
 また、今回は情報を提供することで「夏を感じさせるものやところはないですか?」というナビからの問いかけや「遠景について何かないですか?」と遠景に関する言及がないので、それを促す問いかけも試みた。参加者の中にはその問いかけが「チャレンジしている」と映ったようだ。ナビには前述のような役割があるが、そこに拘泥することなく、「もっとよくみること」を促し「もっと作品について考える」ように働きかけるにはどんな手立てがあるかを模索していく必要があると考えてのチャレンジであった。

 風景画は対話型鑑賞に不向きなのではないかという意見もあるが、今回3作品で鑑賞し、参加者が共にRICHな時間を過ごすことができたと感じているあたり、風景画も満更ではないと思う。作品をよくみることに努める鑑賞者と、よくみることを促すナビが集えば、対話型鑑賞は無敵だ!!と感じることができたのが今回の収穫である。



みるみるの会10月例会は、10月15日(土)14:00~浜田市世界こども美術館にて。
みるみるメンバーと共にRICHな時間を過ごしませんか?
コメント
この記事をはてなブックマークに追加

9月例会のレポートが届きました!

2016-09-18 21:11:12 | 対話型鑑賞
 9月17日(土)に、浜田市世界こども美術館で、対話型鑑賞の例会を行いました。
ナビをした松田さんのレポートを、お届けします!



 みるみるでは、久しぶりのナビでした。前回ナビをした時に、ギリギリに会場に着いてしまい余裕なく作品を選んでしまったため、少し早めに会場入りしました。

 「浜田市世界こども美術館コレクション展」の会場には、郷土作家をはじめとする5名の作家の作品12点が並んでいました。表現方法はもちろん作家によって様々ではありましたが、どの作品もオーソドックスな風景画と人物画でした。鑑賞者が自由な発想で「物語」を作っていくような流れにはならないと予想し、少し不安になりました。

 最終的には、郷土作家の山﨑修二の「川沿の田舎町」と「浜田河畔」の2点を選びました。鮮やかな色使いと大きい画面であったため会場に入った時に最初に目に入った「川沿の田舎町」をまず選び、共通点と相違点がいくつか見つかりそうな直感があったため「浜田河畔」をセットでみることにしました。同一作家によって描かれたフランスの風景と浜田の風景ということで、キャプションからの情報が全くない状態で比べて楽しみたいと思い、キャプションを隠すことにしました。

 30分の時間で2点をみるため、最初から2点を比較してみることも考えましたが、やはり丁寧にひとつずつみるべきだと思い、まずは「川沿の田舎町」をみました。

 まずは描かれている建物がカラフルであること、煙突があること、窓が縦長であることから外国(おそらくヨーロッパ)だろう、という場所がどこかという発言が続きました。

 ここで少しの沈黙があり、時間的な焦りと話題を膨らませたいという焦りから、「季節や時間はどうですか?」「人はいますか?」と、誘導するような問いかけを続けてしまいました。振り返りでも反省点としてあげられたのですが、経験のある鑑賞者ばかりでしたのでその辺りは言われなくても想像していたところで、鑑賞者から出てくるのを待つべきでした。「光や色から、初秋の夕方より少し前の時間だろう」「人は描かれていないが生活感を感じる」「水の流れ、人気のない静かな建物などから、ゆったりしたこの場所の良さが表れている」などと、次々と豊かに想像した発言が続いたため、やはりナビから誘導した形になってしまったことが悔やまれました。

 振り返りで、みるみるのメンバーからよかったと言われたことに、“きりかえし”がありました。例えば、
鑑賞者「建物が木材で作られていない感じがするから外国の絵」
ナビ「では何で作られている?」
鑑賞者「・・・コンクリートか何か」

あるいは、
鑑賞者「煙突から煙が出てなかったり、人が描かれていないかったりする。でも生活感がある」
ナビ「どういうこと?」
鑑賞者「昼さがりで横になったりして休んでいる時間なのかも。見えないけど人はいるように感じる」

 自分が「おもしろいな」「もっと詳しく聞いてみたいな」と思った発言はつっこんで聞いてみました。それが、鑑賞者としてはなんとなく発した言葉を取り上げられることで、さらに深く見て考えるきっかけになってよかった、と振り返ってもらいました。

 続けて「浜田河畔」をみました。場所、時間、人の生活感など、「川沿の田舎町」と同じような視点からの気づきが鑑賞者側から次々に出てきました。

 その後自然と、「手前に水面、中心に建物、奥に山があり、画面の構成に共通点がある」、「色使いはどちらも鮮やかな色が多いが、こちらは屋根にスレート風の線があり、明らかに日本の風景」などと、ひとつめにみた作品と比較しての共通点や相違点が鑑賞者からどんどん出ました。2点を続けてみることにしたことがうまくいったと自分で感じることができ、楽しい時間でした。

 家が密集して寄り添って生活していること、ところどころに外国の建物の要素が入っていることなどこの時代の日本の良さやおもしろさが凝縮されている絵だということが鑑賞者のみなさんの発言からわかり、自分自身も「日本らしさ」について考えられ、この作品の鑑賞を楽しめました。

 鑑賞の経験が豊富な参加者ばかりだったこともあり、物語を組み立てられない風景画でも対話を楽しみ、作品を深く味わうことができたように感じました。

 作品選びのおもしろさ、鑑賞者の側からの発言を中心に進めていくことの大切さ、自分がもっと聞きたいと思ったことは聞いてみることの意味など、たくさんの学びがあった今回のナビでした。

 自分ではなんとなく選んだつもりの2点の組み合わせだと思っていて、振り返りでメンバーと話すまではなんとなくうまくいったと思っていました。振り返りで、なんとなくでもたまたまでもなく、これまでのナビや鑑賞者としての参加の経験に基づいた選択だよと言ってもらえたのがうれしかったです。
参加されたみなさま、ありがとうございました。



 浜田市世界こども美術館のコレクション室では9月25日まで、今回鑑賞した郷土作家の山﨑修二さんの「川沿の田舎町」と「浜田河畔」を見比べながら鑑賞することができます。はまびのコレクション室で、ゆったりと作品を味わってみませんか?

 次回のみるみるの会は、10月15日(土)14:00~ 浜田市世界こども美術館にて。ご参加、おまちしています。
コメント
この記事をはてなブックマークに追加

出雲市教育研究会造形部夏季研修会の報告です

2016-08-31 21:24:28 | 対話型鑑賞


☆1.評価 ( )内に回答者数を記す
(回答者10名 そのうち午前中のみ参加2名 午後のみ参加1名 校長1名)
 ※このため、アンケートの人数の合計は異なります。校長は授業を行わないため
質問事項 4から上位評価点
A 今回の研修は有意義だった  4(6) 3(4) 2(0) 1(0)
B 2学期からの授業に取り入れたい 4(6) 3(3) 2(0) 1(0)
C 研修内容で一番よかったものは?(記述)WS(2) 講義(4) 無回答(4)
D 今回の研修内容に興味があった  4(5) 3(5) 2(0) 1(0)
E このような研修会があれば、また参加したい 4(3) 3(7) 2(0)1(0)
F 図工・美術科で研修を受けてみたいものは?(記述)教材開発:評価:実技研修:AL研修

☆2.研修を終えての感想を書いてください。
【小学校】
 ●対話型鑑賞の手法を用いた模擬授業を実際に体験することで、ALを進めていくうえでとても有効な手段になることを実感しました。また、児童の目線に立てたこともこれからの授業での声かけの参考になるものでした。実践してみたいと思います。
 ●もともと地図を読むことは好きでしたので、地図から想像を広げて町の様子やくらしの様子が想像できたのがとても楽しかったです。この楽しさは、やらされているという感覚がとても少なく自然にやっている状態になるからだと思いました。このような感覚が生まれる展開を2学期以降とり入れたいと思いました。
 ●模擬授業という形式で具体的に授業の様子がイメージでき、とてもよい研修方法だと感じた。地図からわかることをみつけ、そこから考えるという社会科の授業の基本がきちんとおさえてあり、多くの小学校教員に受講してほしいと強く感じた。授業のスタンスも学ぶべきものが多かった。

【中学校】
 ●金谷さんの実践報告をもとに、授業に生かすアイディアを意見交換できたことが、とても勉強になりました。自分のアイディアと他の参加者のアイディアを今後の授業に生かせるよう工夫してみたいと思います。
 ●自分の授業を振り返り、対話型鑑賞の手法を取り入れた内容を考えていくことは有意義だと思いました。他教科でも生かせる内容で午前と午後のつながりもあり、両方通して参加してよかったと思いました。
 ●午後の講義だけ参加しました。以前にもお話を聞いたことのある先生でしたので参加しました。やっぱり楽しかったです。対話型鑑賞の研修を受けても自分の授業ではなかなかうまく進められなくて困っていましたが、「なぜ?」より「どこから?」と聞くことでうまくいけそうな気がしました。2学期また挑戦してみます。
 ●金谷先生の実践発表もたいへん楽しかったのですが、北野先生の講義を聴いて、美術教育の可能性をまた信じられるようになりました。勇気をもらったと言えます。
 ●鑑賞する視点を設けること。
  推論して意見を交わすこと
  新しい発見や概念を構築すること
  これらの高まりを以って自分の表現に活かすことができればワクワクできることを研修で実感できました。
 ●地図を元に街の様子や地形、成り立ちなど、みんなの意見を出し合う中で発見していく過程が面白かった。また、ビジュアルを用いた鑑賞でも、みんなから出たさまざまな意見や感想から新たな発見や追体験をすることができ大変有意義な研修となった。
 ●対話型鑑賞の手法で社会科の学習をおこなう授業を紹介していただき、興味深かった。同じようにすすめれば理科の授業でも対話型鑑賞の手法を用いることができることに気がついた。



☆3.来年度に向けて、「こんな研修が受けてみたい。」と思われるものがあればお書きください。
 ●まだまだ学ぶことが多いですので、これからも(研修会に)積極的に参加したいです。
 ●手を動かして学ぶような展開があれば見てみたいと思いました。
 ●今回のように模擬授業という形式で受講者がアクティブラーニングを体感できる研修がよいと思う。

【中学校】
 ●扱ったことのない教材や技法を体験して指導の幅を広げていきたいと思います。
 ●自分としては評価の工夫という点で、何か参考になるものがあればいいと思いますが、これが市教研造形部の研修としてふさわしいのかどうか。
 ●この歳になって勉強不足を思い知らされています。新しい教材にも対応していきたいものですがなかなか手が出にくいので教えてほしいと思っています。
 ●ポートフォリオを活用する評価(鳴門教育大に研究者あり)
 ●授業を進めていく中でとかく教材等がマンネリ化してしまいがち。実技的な研修を受けることにより、さらに新たな授業展開や教材開発ができると思われるので、手を使った技能を高めていける研修があればよいと思う。
 ●繰り返し経験することが必要だと思うので、対話型鑑賞。
 ●美術作品の制作方法

 対話型鑑賞の手法がALに有効であることや、やらされているという感覚が少なく自然にやっている状態になるから楽しいと感じることができるというALの醍醐味、小学校の校長先生からは「多くの小学校教員に受講してほしい」と記述していただいたことから、この研修会が図工・美術の専門でなくても対話型鑑賞の手法でアクティブラーニング、そして他教科応用が可能であることを伝えることができたのではないかと感じた。
 また、実践後に講義があることで腑に落ちたり、中学校の美術教員にとっては鑑賞教育のみならず、美術教育の必要性を感じることのできる講義になっていたようで、「美術教育の可能性をまた信じられるようになりました。勇気をもらったと言えます。」と記述してくださった先生がいたことは研修を企画した者として何よりの評価言であった。
 参加者が少なく、「もっと多くの・・・」という記述もいただいたが、夏休みの貴重な一日を強制されるものではなく自主的に参加したからこそ受講者の意識も高いと言え、結果として個人個人の有益な学びにつながっていったのではないかと思う。
 今回の研修会に参加いただいた先生方が学んだことを自校で実践されることで児童生徒の生きる力をはぐくむことができれば幸いである。
コメント
この記事をはてなブックマークに追加

隠岐研修の感想レポートが届きました!

2016-08-16 22:31:27 | 対話型鑑賞
みるみるの会夏季研修会感想レポート

益田市立高津中学校 松田淳

 「みるみるの会夏季研修会 みて 考えて 話そーや IN 隠岐」に参加してきました。
私は島根で生まれ育ったのですが、このたび初めて隠岐に行きました。研修の前後に隠岐の観光も楽しむことができ、これまで見たことのないような自然の美しさにたくさん出会いました。自然の造形に感動し、おいしい海産物に感動した3泊4日の隠岐滞在となりました。



 
 研修1日目の西郷小学校では、京都造形大学の北野諒先生によるワークショップに参加しました。前半のお話で、われわれが普段美術館を訪れたときにどれだけ作品をよく見ていないかを考えさせられ、じっくりみる対話型鑑賞の有効性を実感することができました。
マルセル・デュシャンの『自転車の車輪』が2億円もの価値があることに、参加者みんな驚きました。たまたま先日、東京都美術館の「ポンピドゥーセンター傑作選」展にて、本物(この言い方も不自然なのかもしれませんが…)を見てきたところでしたので、“すごい作品”として見て帰ってきた自分を思い出しながら、「作品の価値」と「自分の見方」の関係について深く考えさせられました。参加者のひとりからの、なぜこの作品が2億円なのか教えてくださいという投げかけに、北野先生は「では、あなたにとってこの作品はどうですか?」と返されました。自分自身は美術史を学ぶ中で、“価値ある作品”としてデュシャンの作品と出会いました。何も知識がないところでこの作品と出会ったとき(中学生に見せる場合はほとんどそうなると思われます)、何をみて、何を考えるのか…おもしろそうだなあと思いました。


 後半のブラインドトークは、以前に北野先生のワークショップに参加したときと同じ作品でした。2回目なので、うまく伝えられるだろうと思っていましたが、そううまくはいきませんでした…。しっかりみること、みたものを言葉にすることの難しさ、難しいからこそのおもしろさをまた感じることができました。


 2日目の海士町では、三重県総合博物館の大野照文先生のワークショップに参加しました。大野先生のワークショップはおもしろい!と以前から何度も聞いていましたので、初めて参加することができうれしかったです。二枚貝の内側の模様をじっくりみることから、生物の生態や成長について考えました。全く初めての経験で、最初から最後までわくわくしながらの活動でした。貝柱の数の予想は見事に外れたのですが、大野先生が私のスケッチを見て「松田さんは、見えて描いているのに、見えていないことになっている」と指摘されました。言われるまで本当に気づいておらず、目からうろこでした…。美術でも、美術以外でも同じようにして、目に入っていても、その気がないから見えていないものがたくさんあって、気づいていない世界があるのだろうなあと、なんだか反省しました。隠岐のみなさんとあれこれ話しながら普段考えもしないようなことを考え、とても充実した時間でした。


 研修後の懇親会で、海士町教育委員会の方が「初めて図工・美術教員のみなさんとじっくり話しましたが、熱いですね~」とおっしゃいました。鑑賞教育、美術教育、島根の美術などなど、みるみるの会メンバーや講師の先生方、隠岐の参加者のみなさんといろいろな話ができました。普段は学校に一人の美術教員ですので、熱く美術や美術教育の話をする機会もなかなか無いのが現実です。そういう面でも今回の研修に参加してよかったなあと思っています。また自分たちの美術に対する思いをもっともっと発信していかなければと思う研修でもありました。ありがとうございました。
コメント
この記事をはてなブックマークに追加

隠岐研修1日目西郷(大人向け)の様子です。「図工・美術は〇〇〇〇!?」

2016-08-12 10:34:01 | 対話型鑑賞
みるみるの房野です。「みて・考えて・話そ~や IN 隠岐」研修会はとても濃厚な2日間でしたが、その中で特に印象的だったことを報告します。

8月6日(土)の大人向けの研修会で、講師の京都造形芸術大学・北野さんから衝撃的な問いかけが!!「図工・美術は役立たずなのか?」
これは、私たち図工・美術教育に携わるものとして、「図工・美術は生活に必要だ!だから義務教育で学ぶ意義がある!」と信念として持ってはいるものの、果たして、子どもたちはどう思っているのか??この問いかけに、私はどうこたえられるのだろう??

小学校6年生、中学校3年生の全国アンケートの結果を紹介してくださいました。

「図工・美術は心を豊かにすると思うか?」
その結果は、「そう思う」と答えた子どもが、小6が64%、中3が84% で、ホッ・・・。

「図工・美術は将来、自分や社会にとって、役に立つと思うか?」
に対して、役に立つと思わないと答えたのは、小6が30%、中3が50%だったそうです。

子どもたちは「心を豊かにする」と思っているものの、「将来、実際にはなんの役に立つんだろう?」と少なからず思っていることが伺えます。
う~ん・・・これは、いかん!

図工・美術で作品を作ったり、鑑賞では互いに作品をみあったり、美術史について学んだり・・・従来(私たちが子どもの頃の授業はこうでした)のままの授業をしていては、こんな答えになるのも無理はないかも。

北野さんは、自分の目と頭、直観を頼りに、自分なりに言葉にすることの大切さを様々な例を紹介しながら説明してくださいました。

例① 真っ白な大理石の古代ギリシャ彫刻…実は当時は極彩色だった!これまで専門家が言っていたことを鵜呑みにしていた私たちって!!?(恥)
これまでの定説は覆ることもある。権威のある人の言葉だからって、正しいとは限らない。

例② 「虹は何色?」民族によって、7色、2色・・・と把握している内容が違う!見ているものは同じなのに!

例③ ツワブキの葉っぱは何色?と小学生に尋ねたら、「緑!」と皆が答えた。
が、緑色の絵の具を実際の葉っぱに塗ると「全然違う!」
このことに気付いた後は、それまで「緑」と思いこんでいたツワブキの葉をもっと豊かな色に表現するようになったこと。
言葉の使い方と、世界の見え方、表し方は密接に関係している!

だからこそ、図工・美術だけでなく、お互いを理解しあったり、世界をしっかり把握したりするには「言葉」がとても重要なことがわかりました。
そして、その言葉をキャッチボールしあうと、一人ではわからないことも、対話することでもっと深く理解できることも。

金谷さんのレポートにある「ブラインド・トーク」で対話が生まれ、心の距離も近くなる、というのもうなずけますね。  参加者の感想にこうありました。同感です!

「ワークショップを通して、相手に自分が見えている・考えていることを100%伝えることの難しさと楽しさを感じました。「ああいえばよかった」「こういう伝え方のほうが伝わりやすかったな」というのが具体的に知ることができ、今後のコミュニケーションに役立つなと思いました。こういったワークショップを通して、子どもたちのコミュニケーション力をどんどん上げてほしいです。」

日々、変化の激しい現代にあって、「生きる力」「学び方を学ぶ(セルフ エデュケーション)」は美術の授業でもつけることができる!というか、ビジュアルを介する美術でこそ、やるべきだ!!と、この研修で再確認することができました。

さて、始めの「図工・美術は役立たずなのか?」の答えは明白ですね。

そして、それを裏付けるかのごとく、最後に昨年の順天堂大学 医学部の小論文の問題が提示されました。それは、一つの画像をみて、「あなたの感じるところを800字以内で述べなさい.」というものでした。対話型鑑賞の経験者なら、臆することなく書けるでしょう(^^)/ 

コメント
この記事をはてなブックマークに追加