聴くネタバレ映画・ドラマと英語日記

~元MC苅田三貴が見た映画やドラマを私情バンバンはさんでご紹介♪

煙突が象徴する奥深さ

2011-08-20 21:17:20 | 邦画ヒューマン
この映画を見たら
無性に″たい焼き″が食べたくなって
あんことチーズのたっぷり詰まったものを買いに行き、
幸せな気持ちで食した


だ~って~~、この時代のはペラッペラッなんだもん


「東京物語」とあわせて
当時の庶民の生活を知る貴重な文化財とも言える


煙突の見える場所



監督は日本で初めて
音の出る=トーキー作品「マダムと女房(31)」を撮った
五所 平之助さん。


これだけ昔の監督だと
感覚が全然違うのかと思いきやそんな事ない


大御所に対して失礼だけど
"お茶目"と思いながら、くすくす笑わせて頂きました





戦後間もない昭和。
場所によって本数が変わって見える
通称"お化け煙突"が立つ東京・北千住。


この煙突が見える場所に
緒方 隆吉(上原 謙)は
弘子(田中 絹代)と暮らしています。


そして2階には
商店街でアナウンスをしている
現代的な東 仙子(高峰 秀子)と
役所に勤める久保 健三(芥川 比呂志)が下宿。


昔ながらのはり紙だらけのふすまで仕切られているので
物音は相当聞こえるし
よく顔は会せるけど
それなりに別々の生活を送っていました


そんなある日、大きな変化が



緒方夫妻の部屋に覚えのない
赤ん坊が置き去りにされていたのです


よくよく調べると
弘子は別の人とも結婚していて
戸籍上、この子は彼女の子供らしいのですが…




"人は見た目だけじゃ判らない"


昭和39年まで本当にあった"お化け煙突"を通して
人間の奥深さを描いたヒューマンドラマです














最初に"たい焼き"のお話を書きましたが
映画に出てきたのは
現代の私たちが想像するのとは大幅に違い
ほんと~~ぅにペラペラ


きっと"あんこ"なんて入っていなくて
魚の形をした皮だけなんじゃない




「たかが、たい焼きでそんなに語らなくても…」と思うかもしれませんが
実はこの違いこそが象徴で
ふすま、下宿、洋服掛けなど
細かい部分で、当時の様子をうかがい知る事ができます




弘子が重婚していたというのもそうだよね~。
彼女はちゃんと隆吉とも結婚していたけど
別の人とも結婚しているままだった


今ならすぐに判るだろうけど
戦後の混乱期だからこそ
起こり得た事でしょう。

きっと混迷していたんだろうなぁ




そしてこの映画を語る時
外せないのが高峰 秀子さん演じる
仙子という現代的女性。


仙子が帰ってきて、2階に上がろうとした時、
緒方夫妻が…



この時、見られた2人の方がドキマギして
仙子はじ~っと見ていたんです。


まあ今だったらそんなに驚くようなリアクションじゃないけど
当時の女性たちは
相当びっくりしたようですよ

弘子の様に恥じらうのが普通でしたからね。
"新しいタイプの女性"が登場したのです





とまあ、この映画の最大の魅力は
「当時を知る事ができる」所だと思います。


当然、映画は色々な世代の人が
色々な気持ちで
色々な目的を持って見るものでしょう


正解はないけど、
この映画は何となく見ても
つまらないものになってしまうような気がします。
ご覧になる方は、是非、今と比べて楽しんでください
豪華な"たい焼き"を食べられる現代に感謝するはずです



ちなみにラストシーン。

場所によって1本、2本、3本と違って見える
立派な4本の煙突は、
水に映っている姿はゆ~ら、ゆら。

人間って案外そんなものかもしれませんね


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