みけの物語カフェ ブログ版

いろんなお話を綴っています。短いお話なのですぐに読めちゃいます。お暇なときにでも、お立ち寄りください。

0141「自己中娘」

2018-01-17 18:43:07 | ブログ短編

 私にはちょっと変わった友だちがいる。まわりを意識(いしき)しすぎるというか、一緒(いっしょ)にいるととっても疲(つか)れてしまうの。この間(あいだ)も、待ち合わせのオープンカフェで…。
「ねえ、さっきからあの人、あたしをずっと見てるわ」
 私がそっちを見ようとすると、彼女はそれを止めて、
「見ちゃダメよ。こっちが気にしてるって分かったら大変(たいへん)よ」
「でも、それって気のせいよ。きっと…」
「彼だけじゃないわ。ほら、あの人も、こっちの人も、外(そと)を歩いてる人だって、みんなあたしのことジロジロ見つめて…。美(うつく)しすぎるって、ほんと罪(つみ)よね」
 確(たし)かに、彼女は私よりは奇麗(きれい)よ。それは認(みと)めるわ。でも、世の中の男がすべてあなたを見てるわけじゃないわ。私はあきれてしまって、紅茶(こうちゃ)をひとくち口にする。そして、彼女に目を戻(もど)すと…。彼女はしきりに手を振(ふ)っていた。
「なにしてるの?」私は当然(とうぜん)の反応(はんのう)として彼女に訊(き)いた。
「おかしいの…。あそこにいる人、私のこと見ようともしないのよ」
 彼女の目線(めせん)の先(さき)には若い男性。見ないのは当然(とうぜん)よ。だって、本(ほん)を読んでるんだから。
「あの人、どうかしてるわ。ねえ、ちょっと行ってきて。さり気なく、あたしの方を振り向かせるの。だって、本なんかより、あたしの方がずっと見る価値(かち)があるでしょ」
<つぶやき>こんな困(こま)った娘(こ)いるんでしょうか。でも、自分を美しく見せるのは大切(たいせつ)です。
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