みけの物語カフェ ブログ版

いろんなお話を綴っています。短いお話なのですぐに読めちゃいます。お暇なときにでも、お立ち寄りください。

「極秘書類2」

2017-04-27 19:39:35 | ブログ短編
 そこで男は考えた。こんなのを持っていては、気が散(ち)って仕事に身(み)が入らない。それに、それが原因(げんいん)でミスをしてしまうかもしれない。もし会社に損害(そんがい)を出してしまっては…。
 男は手に持った茶封筒をおばちゃんに渡そうとしたが、急に手を引っ込めて言った。
「やっぱりダメだよ。自分で持ってないと、もし何かあったら…」
「律儀(りちぎ)なんだね。気に入った。あんたみたいな社員は大切(たいせつ)にしないとね。さあ、何も心配(しんぱい)することはないんだよ。わたしが悪いようにはしないからね」
 おばちゃんは手を出して、にこやかに肯(うなず)いて見せた。男はしばらく迷(まよ)っていたが、思い切って封筒を差し出した。おばちゃんは封筒を受け取ると、
「明日を楽しみにしてなさい。あんたには、ちゃんと礼をするからね」
 ――翌朝。男は寝不足(ねぶそく)の目をこすりながら出社した。本当に大丈夫(だいじょうぶ)なのか気が気でなかったのだ。早速(さっそく)、男は掃除婦のおばちゃんを捜(さが)した。でも、毎朝いるはずの場所におばちゃんの姿(すがた)はなかった。さあ、ますます男はあせった。自分のデスクに戻ると、上司(じょうし)から社長がお呼びだと伝(つた)えられた。男はびくびくしながら社長室へ向かった。
 社長室へ入ると、社長は口をへの字に曲(ま)げて立っていた。男は駆(か)け寄って頭を下げようとして、ハッとした。社長の椅子におばちゃんが座っていたのだ。社長がぼそぼそと言った。「こちらが、会長だ。君は、どうしてあれを――」
 おばちゃんが口を挟(はさ)んだ。「お黙(だま)りなさい! あんたに、社長の自覚(じかく)があるのかい」
<つぶやき>社長はおばちゃんの息子なのかもしれません。さて、何をやらかしたのか…。
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0026「プレゼント」

2017-04-26 19:33:53 | ブログ短編
 今日は彼の誕生日(たんじょうび)。彼といっても、私の片思(かたおも)いなんだけど…。彼は、私のことをたくさんいる友達の一人としか思っていない。今度の誕生パーティだって、特別(とくべつ)に招待(しょうたい)されたわけじゃない。なのに私ったら、彼へのプレゼントを真剣(しんけん)に探して、何を着ていくかで悩(なや)んでいる。ほんと、バカみたいだよね。私にもう少し勇気(ゆうき)があったら、彼に告白(こくはく)して…。
 誕生パーティはレストランを貸(か)し切って盛大(せいだい)に始まった。彼の周(まわ)りには奇麗(きれい)な女の子がいっぱいいて、私は足がすくんでしまった。大きなバースデーケーキの横には、たくさんのプレゼントが積(つ)み上げられていて。私のプレゼントより、大きくて豪華(ごうか)なものばかり。
 私はパーティとか華(はな)やかな場所はほんとは苦手(にがて)なんだ。だから、隅(すみ)の方で小さくなっていた。彼へのプレゼントを握(にぎ)りしめて…。私がぼんやり座っていると、
「やあ、来てくれたんだ」彼がすぐ横に座って話しかけてきた。私はドキドキして、
「あの…、おめでとう…」彼の顔をまともに見ることができなかった。でも、少しだけ勇気を出して、「これ、あなたにと思って…」プレゼントを渡すことができた。
「君からプレゼントをもらえるなんて…。ありがとう」
 彼は嬉(うれ)しそうに受け取ってくれた。そして、「ねえ、誰か、付き合ってる人とか…、いるのかな?」私が首(くび)を振ると、「だったら、僕と付き合って下さい。ああッ…、やっと言えた」
 彼はほっとした顔をして、私に微笑(ほほえ)んだ。
<つぶやき>気持ちはちゃんと伝えないと、なにも始まりませんから。はじめの一歩です。
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ホームページで再公開しました

2017-04-25 19:39:04 | お知らせ
超短編戯曲064「ナビゲーション」

以前、公開した作品を再公開しました。
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「極秘書類1」

2017-04-24 19:32:12 | ブログ短編
 社長室(しゃちょうしつ)に若い男がおどおどしながら入って来た。それを迎(むか)えたのは、もちろん社長だ。社長は重厚(じゅうこう)な感じのソファに座(すわ)るように勧(すす)めると、自(みずか)らもどかっと腰(こし)を下ろして言った。
「君は信頼(しんらい)のおける人物(じんぶつ)だと聞いている。そこでだ、君に頼(たの)みたいことがあるんだが…」
 若い男は驚いた。入社式以来(いらい)、社長と顔を合わすことなどなかったのに、平社員(ひらしゃいん)の自分のことを知っているなんて――。女性秘書(ひしょ)が茶封筒を男の前に置くと、社長は続けた。
「ここには、我が社にとって重要(じゅうよう)な極秘(ごくひ)書類が入っている。これを預(あず)かってくれないか。長くはない、明日一日でいいんだ。実は、会長(かいちょう)が来ることになっていて、目に触(ふ)れるところに置きたくないんだ。もちろん、引き受けてくれるだろ?」
 平社員に断(ことわ)ることなどできるはずもなく、若い男は封筒(ふうとう)を手に社長室を出た。誰にも見せるなと社長から念(ねん)を押されて、男はどうしたものかと考えてしまった。男はエレベーターの前で大きなため息をついた。すると、後から声をかけられた。男が振り返ると、そこには掃除婦(そうじふ)のおばちゃんが立っていた。このおばちゃんとは顔見知(かおみし)りで、今まで何度も励(はげ)ましてもらったことがある。そこで男は、うっかり社長室でのことを話してしまった。
 おばちゃんは笑いながら、「そりゃ大変(たいへん)だ。わたしが預かってあげようか? そんなの持ってちゃ仕事にならないじゃない。心配(しんぱい)ないよ、誰もわたしが持ってるなんて思わないさ」
<つぶやき>渡しちゃっていいの? でも、どうして社長は大切な書類を預けたのでしょ。
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0025「エリカちゃん」

2017-04-23 19:34:38 | ブログ短編
 由佳(ゆか)は、お手伝(てつだ)いロボ<エリカちゃん>を手に入れて上機嫌(じょうきげん)だった。これで家事(かじ)から解放(かいほう)され、自分だけの時間を楽しむことができる。エリカちゃんは最新式(さいしんしき)だけあって人間とそっくりで、ロボットとは思えないほどだ。由佳と同じ二十代の女性をモデルに作られていた。
 由佳は分厚(ぶあつ)いマニュアルを見て、「こんなに読めないわ。まっ、いいか」と言ってロボットの起動(きどう)スイッチを入れた。動き出したエリカちゃんに、由佳は掃除(そうじ)、洗濯(せんたく)、炊事(すいじ)と次々に家事を言いつけた。由佳は大満足(だいまんぞく)だった。いつどこへ出かけても、時間を気にしなくてもいい。すべてエリカちゃんがやってくれるから――。
 今日も遅(おそ)くまで友達と遊んで帰ってみると、エリカちゃんは夫(おっと)とソファーでくつろいでいた。肩(かた)を抱(だ)いたりして、夫もまんざらでもない様子(ようす)。それを見た由佳は、
「エリカ、何してるの? ちゃんと仕事をしなさい!」
「あなたこそ、いつまで遊んでるのよ」エリカは命令口調(めいれいくちょう)になり、「早く部屋を片づけなさい。洗濯物(せんたくもの)だってたまってるのよ。さっさとやりなさい!」
「えっ…」由佳は怖(こわ)くなりトイレに逃げ込み、携帯(けいたい)でメーカーに電話をかけた。メーカーの担当者(たんとうしゃ)は、「ありがとうって言いました? 人間と同じで、感謝(かんしゃ)の言葉(ことば)をかけないと暴走(ぼうそう)するんです。マニュアルの注意書(ちゅういが)きにも書いてあるんですがね。よく、読んでみて下さい。対処法(たいしょほう)としましては、しばらくエリカの言う通りにしてれば、もとに戻(もど)ると思います」
<つぶやき>近日、お助けロボ<タクヤくん>発売決定! 予約(よやく)はお早めにお願いします。
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