みけの物語カフェ ブログ版

いろんなお話を綴っています。短いお話なのですぐに読めちゃいます。お暇なときにでも、お立ち寄りください。

「気になる人」

2017-02-23 19:46:20 | ブログ短編
「また君(きみ)か。ここは人生相談(そうだん)をする場所じゃないぞ。私の仕事は、この会社の業務(ぎょうむ)を円滑(えんかつ)にするための――」
「分かってます。それは分かってますけど…。でも、この間、アドバイスしてくれたじゃないですか。あれで、あたし、気持ちが楽になったというか、すごく…」
「あれは雑談(ざつだん)だ、アドバイスなんかじゃない。――で、今日は何の用(よう)だ?」
「あの、あたし、気になってる人がいて…。その人のこと、好きになったのかなって…」
「それは仕事のことじゃないよな。くだらない、私にどうしろと言うんだ?」
「だから、どうやったらその人と…。確かめたいんです、ほんとに好きになったのか…」
「君はそんなことも分からないのか? いいか、よく聞け。コミュニケーションをとらずして何も始まらない。まず、その相手(あいて)と会う機会(きかい)を増やすんだ。そして話しかける。何でもいいんだ。天気のこととか、たわいのない会話で十分だ。そして君の顔を相手に認識(にんしき)させる。そこまで来たら後は簡単(かんたん)だ。その相手に、君とまた会いたいと思わせるように――」
「ムリです。口下手(くちべた)なあたしに、そんな高度(こうど)なことが出来るはずないです」
「君は…、十分に私と会話をしていると思うがね。どこが口下手なんだ? まったく、その相手の男というのはどんな奴(やつ)なんだ? 一度見てみたいもんだ」
「あぁ、それは…。俺様(おれさま)的な、ちょっと人と見下(みくだ)してるとこがあるけど、根(ね)は真面目(まじめ)な…」
「ふん、まったく分からん。どうしてそんな奴を好きになるのか、理解(りかい)できないね」
<つぶやき>その相手って、もしかして…。どこに魅力を感じるのか、人それぞれですね。
Copyright(C)2008-2017 Yumenoya All Rights Reserved.文章等の引用と転載は厳禁です。
コメント
この記事をはてなブックマークに追加

0005「最後のラブレター」

2017-02-22 19:32:49 | ブログ短編
 かすみさんがこの手紙を見つけたとき、もう僕はこの世界から消えてしまっていると思います。でも、悲しまないで下さい。僕とあなたが過ごした三十年のあいだ、楽しいことがたくさんあったから。僕は、あなたと一緒(いっしょ)にいられて、とても幸せでした。
 僕がこんなとこを言うと、かすみさんは怒(おこ)るかもしれませんね。だって、僕は良い夫ではなかったから。仕事にばかり夢中になって、あなたのとこを一人ぼっちにしてしまった。子供たちのことも、みんなかすみさんに任(まか)せてしまっていたし…。
 でも、あなたのおかげで、子供たちも無事(ぶじ)に育(そだ)ってくれました。とても感謝(かんしゃ)しています。こんなこと、面(めん)と向かっては言えなかった。ちゃんと言っておけばよかったね。
 あなたはいつも家族のことを考えていてくれたよね。僕が入院したときも、毎日のように来てくれた。僕がそんなに来なくていいよって言っても、あなたは<僕と一緒にいられる時間が増えたのよ、こんな幸せなことはない>って笑ってくれた。僕は、あなたの笑顔がいちばん好きだったんだよ。あなたの笑顔はみんなを幸せにしてくれる。
 僕がいなくなっても、笑顔を忘れないで下さい。これからは、あなたのやりたいことを好きなだけしていいんだよ。僕から、かすみさんへのご褒美(ほうび)です。ありがとう。
<つぶやき>人生の節目(ふしめ)にあたり、心のこもった感謝のラブレターを書いてみませんか?
Copyright(C)2008-2017 Yumenoya All Rights Reserved.文章等の引用と転載は厳禁です。
コメント
この記事をはてなブックマークに追加

ホームページで再公開しました

2017-02-21 19:48:46 | お知らせ
超短編戯曲057「恋愛同盟」

以前、公開した作品を再公開しました。
左側の下の方にあるブックマークよりお入りください。
<みけの物語カフェ>
コメント
この記事をはてなブックマークに追加

「求めるもの」

2017-02-20 19:34:24 | ブログ短編
「君の声はカナリアのように美しくて、僕の心をとろけさせるよ」
 女は微笑(ほほえ)みながら答えた。「ありがとう。そんなこと言ってくれるのはあなただけよ」
「君の瞳(ひとみ)はユーラシアワシミミズクのようにつぶらで、君に見つめられるだけで――」
 女は微妙(びみょう)な表情(ひょうじょう)を浮かべて、「あ…、よく分かんないけど、ありがとう」
「君の唇(くちびる)は、まるで…、まるで…」男は言葉につまった。
 女はうんざりした顔で言った。「あのね、そうやって、あたしのこといろんな動物に例(たと)えるの止めてくれない。何か…イヤなのよ。あたしは、あたしなんだから」
「あっ、ごめん。君がイヤなら、もう止めるよ。でもね、僕がどれだけ君のことを愛しているか、そのことを分かってもらいたかったんだ。だから――」
「あのね、ひとつ忠告(ちゅうこく)してあげる。そういう褒(ほ)め言葉を言っても、女性の心には響(ひび)かないわよ。愛しているなら、はっきりと目に見えるもので示(しめ)さなきゃ」
「ああ、なるほど…。そうだね、分かった。ちょっと考えてみるよ」
 男は難(むずか)しい顔をして出て行った。――しばらくして戻って来ると、手にした花束(はなたば)を彼女に差し出して言った。「君は、このユリの花のように清楚(せいそ)で美しいよ」
 女はため息をついて花束を受け取ると独(ひと)り言(ごと)のように呟(つぶや)いた。
「こういうことじゃないのよねぇ。どうして分かんないかなぁ?」
<つぶやき>男性と女性の考えることは違うんですね。恋の駆け引きは難しいけど楽しい。
Copyright(C)2008-2017 Yumenoya All Rights Reserved.文章等の引用と転載は厳禁です。
コメント
この記事をはてなブックマークに追加

0004「ラブレター」

2017-02-19 19:47:38 | ブログ短編
 山田(やまだ)君へ。突然(とつぜん)こんな手紙(てがみ)を書いちゃって、ごめんなさい。
 私が廊下(ろうか)で転(ころ)んでしまって、持っていたプリントをばらまいちゃったとき、そばにいた山田君は一緒(いっしょ)に集めてくれたよね。あのとき、私、ちゃんとお礼(れい)を言えなくて…。山田君は、そんなこともう忘れているかもしれないけど。私は、ずっと後悔(こうかい)してて…。なんで、ちゃんとありがとうって言わなかったんだろうって。ちゃんと言ってれば…。
 私、山田君と同じクラスになったときから、山田君のことがずっと気になってて…。でも、声をかけることができなかったんだよね。この手紙を書くのだって、ずっと迷(まよ)ってたんだ。友だちに相談(そうだん)したらね、ちゃんと告白(こくはく)した方がいいって言われたの。それで、私、決めたの。
 私、山田君のことが好きです。山田君は、他に好きな人がいるかもしれないけど、それでもいいの。私の片思(かたおも)いでもいい。こんな気持ちになったのは初めてで、自分でもどうしたらいいのか分からないんだ。今もドキドキしてる。でも、なんだか心の中がほわっとしてて、あったかいの。今まで悩(なや)んでいたことが、どっかへ行っちゃった。
 あのときは助けてくれて、ほんとにありがとう。もし、私のこと好きじゃなかったら…、好きになれなかったら、この手紙は捨(す)ててください。
<つぶやき>初恋は青春の思い出よね。心のどこかに隠れてて、時々現れては消えていく。
Copyright(C)2008-2017 Yumenoya All Rights Reserved.文章等の引用と転載は厳禁です。
コメント
この記事をはてなブックマークに追加