みけの物語カフェ ブログ版

いろんなお話を綴っています。短いお話なのですぐに読めちゃいます。お暇なときにでも、お立ち寄りください。

「しずく78〜謎の紳士」

2017-08-30 19:26:49 | ブログ連載~しずく
 千鶴(ちづる)の部屋にあったスマホが鳴(な)り出した。でも、部屋には誰(だれ)の姿(すがた)もなかった。着信音が何度か繰り返されて、また静寂(せいじゃく)に戻った。その頃、千鶴は落ち着かない気持ちで来客(らいきゃく)を待っていた。
 ――時計の針(はり)は夜の十二時を過ぎようとしていた。双子(ふたご)の姉妹(しまい)は自分達の部屋に入り、寝息(ねいき)をたてているはずだ。千鶴は大きく息(いき)を吐(は)くと、玄関(げんかん)へ向かった。
 ちょうど玄関のロビーに着いたとき、玄関の扉(とびら)が音もなく開いた。そして数人の男たちが入って来た。千鶴は顔をこわばらせた。最後に入って来たのは初老(しょろう)の紳士(しんし)だ。その紳士は威圧(いあつ)するように千鶴を見たが、すぐににこやかな顔に戻って声をかけた。
「突然(とつぜん)すまないな。しかし、この時間の方が都合(つごう)が良いだろう?」
 その低音(ていおん)の声は、以前にかかってきた電話の相手(あいて)だ。紳士は千鶴の前に立つと、
「早速(さっそく)だが、例(れい)の娘(むすめ)に会わせてもらおうか。案内(あんない)してくれ」
 千鶴は緊張(きんちょう)した顔つきで、紳士の先(さき)を進んで行った。二人の男たちがその後に続いた。
 しずくが寝かされている部屋に入ると、紳士はしずくの顔をまじまじと見つめて言った。
「これが救世主(きゅうせいしゅ)か…。私には子供にしか見えないが。あの予言(よげん)は確(たし)かなのか?」
「私には、分かりません。彼女が本当に救世主になるのかどうか…」
「まあ、いい…。不安材料(ふあんざいりょう)は早めに処理(しょり)するに限(かぎ)る。君は、そう思わないかね?」
<つぶやき>まさか、しずくを…。この先、どうなってしまうのでしょうか? 大変です。
Copyright(C)2008- Yumenoya All Rights Reserved.文章等の引用と転載は厳禁です。
コメント
この記事をはてなブックマークに追加

0066「パワースーツ」

2017-08-29 19:19:40 | ブログ短編
 とある研究所(けんきゅうじょ)。ここで世(よ)にも恐(おそ)ろしい実験(じっけん)が行われようとしていた。
「立花(たちばな)君。とうとう完成(かんせい)したぞ」等々力(とどろき)博士は助手(じょしゅ)にスーツを手渡(てわた)した。
「先生…」助手は尻込(しりご)みしながら、「これは、まさか…」
「わしが開発(かいはつ)したパワースーツだ。これを着ると超能力(ちょうのうりょく)が使えるようになるんだ」
 博士が手渡したのは、どう見ても普通(ふつう)の背広(せびろ)にしか見えなかった。
「いいから、着たまえ。これからテストを始めるぞ」
「先生、僕が実験台(じっけんだい)になるんですか?」
「当たり前じゃないか。君は私の片腕(かたうで)なんだぞ」
「でも…。電気(でんき)がビリビリっとか、気分(きぶん)が悪くなったりとか、そんなことに…」
「立花君、何を言ってるんだね。そのための実験じゃないか。安全性(あんぜんせい)を確認(かくにん)するんだ」
「そうなんですけど…。この前のときだって、もう少しで命(いのち)を落とすところ――」
「君は大げさだな。ちょっとした配線(はいせん)のミスじゃないか。たいしたことじゃない」
 助手は気が進(すす)まなかったが、仕方(しかた)なく背広を着ることにした。博士(はかせ)はリモコンのスイッチを入れて、「どうだね? 何か、こう、変化(へんか)は感じられないか?」
 突然(とつぜん)、洋服掛(ようふくか)けに掛けてあったパワースーツが火花(ひばな)を散(ち)らして燃(も)えあがった。それを見た博士は驚いた様子もまったくなく、一人でうなずくと呟(つぶや)いた。
「なるほど…。これはちょっとした配線のミスだ。立花君、次は完璧(かんぺき)なものにするぞ」
<つぶやき>実験は、成功しそうにありませんよね。立花君には、転職(てんしょく)を勧(すす)めたいです。
Copyright(C)2008- Yumenoya All Rights Reserved.文章等の引用と転載は厳禁です。
コメント
この記事をはてなブックマークに追加

「シェア」

2017-08-27 19:30:26 | ブログ短編
「ねえ、どうしてあなたの部屋(へや)にはクーラーとか付いてないの? もう信じられない」
「だから言ったでしょ。泊(と)まりに来ないでって…」
「あなた、よくこんな部屋で寝(ね)られるわね。あたしにはムリかも」
「じゃあ、もう帰れば? 今からなら、そんなに遅(おそ)くないし――」
「ねぇ、引っ越さない? せめてクーラーの付いてる部屋にしようよぉ」
「何で? ここ、やっと見つけたのよ。それに、私、そんなに高い部屋は借(か)りられないわ」
「えっと、じゃあさぁ…。あたしが見つけてあげるよ。もっと良い部屋」
「だからさ、もうほっといて。私は、ここでいいの。もう帰ってよ」
「そんなこと言わないで。あたしたち友だちでしょ? あたしのパパね、不動産関係(ふどうさんかんけい)の仕事(しごと)をしてるの。だから、あなたにぴったりの部屋を見つけられると思うわ」
「ちょっと待ってよ。私たち、いつから友だちになったの? 昨日(きのう)、初めて会ったのよ」
「ねえ、これからうちに来ない? いろいろお話したいし…。ねぇ、いいでしょ?」
「私の話し、聞いてる? 私たちは、友だちでも何でもないでしょ」
「もう、そんなことどうでもいいよ。あたし、もう暑(あつ)くて死にそうよ。ほんとに死んじゃうかも? タクシーで行けば、そんなに時間はかからないから。行きましょ。――そうだ、いいこと思いついちゃった。あたしたち、一緒(いっしょ)に住(す)むのはどう? そうしましょ」
<つぶやき>この二人はどういう関係なのか? このまま強引(ごういん)に話が進んじゃいそうです。
Copyright(C)2008- Yumenoya All Rights Reserved.文章等の引用と転載は厳禁です。
コメント
この記事をはてなブックマークに追加

0065「大掃除」

2017-08-26 19:29:55 | ブログ短編
 年末(ねんまつ)の休日。私は部屋の大掃除(おおそうじ)にとりかかった。ずぼらな私にとっては、一大決心(いちだいけっしん)だった。今年は仕事(しごと)もうまくいかず、付き合っていた彼にはふられて…。さんざんな年だったから、来年こそはと気分(きぶん)を新(あら)たにしたかったのだ。
 押(お)し入れに入っているものを全部引っぱり出しみて驚(おどろ)いた。こんなにいろんなものが詰(つ)め込んであったんだ。もう忘(わす)れてしまった思い出もびっくり箱のように飛び出してきた。
 ほこりをかぶったせんべいの箱。そこには子供の頃(ころ)のへたな字で、<だいじなもの>と書かれていた。蓋(ふた)を開けてみると、懐(なつ)かしいものがいっぱい入っていた。ひとつずつ手にとって…。あの頃の楽しかった思い出や、いろんなことが泉(いずみ)のようにわいてきた。
 きらきら輝(かがや)くスーパーボール。ここに入ってたんだ。これをくれた男の子。名前…、なんだったかな…。同級生(どうきゅうせい)の子だったけど、あんまり遊(あそ)んだ記憶(きおく)がない。でも、これをもらったときのことは憶(おぼ)えている。<これを持ってると、良いことがあるんだぞ>そう言って、突然(とつぜん)渡されて…。あっ、たしかその子、転校(てんこう)したんだ。今、どうしてるのかな?
 私はスーパーボールを陽(ひ)にかざしてみた。ちょっと汚(よご)れてしまっているけど、今でもきらきら輝いている。私は、なんだか嬉(うれ)しくなった。これを持ってると、きっと良いことがありそうな、そんな気がした。私って、ほんと単純(たんじゅん)なんだから…。
<つぶやき>大掃除は大発見のチャンス。でも、早くやっつけないと年を越しちゃうよ。
Copyright(C)2008- Yumenoya All Rights Reserved.文章等の引用と転載は厳禁です。
コメント
この記事をはてなブックマークに追加

「病気」

2017-08-24 19:28:44 | ブログ短編
 患者(かんじゃ)を前にして、医者(いしゃ)は眉間(みけん)に皺(しわ)を寄せて難(むずか)しい顔をしていた。患者は不安(ふあん)な気持ちになって医者に訊(き)いた。
「あの…、そんなに悪い病気(びょうき)なんですか?」
 医者はちょっと間をおいて答えた。「いや、大丈夫(だいじょうぶ)ですよ。ただの風邪(かぜ)でしょう。少し熱があるようなんでお薬(くすり)を出しときますね。すぐに治(なお)りますよ」
「でも…」患者は意(い)を決して言った。「本当のことを言って下さい。私なら、何を言われても大丈夫ですから。何なら家族(かぞく)を呼んでも――」
 医者はまた眉間に皺を寄せて、「いや、その必要(ひつよう)はありません。風邪なんですから…。でも、そうですね…、ちょっと救急車(きゅうきゅうしゃ)を呼んでもらえませんか…」
「えっ…、そんなに悪いんですか? いったい、どんな病気なんですか?」
「違(ちが)うんです…。私が……」
 医者は突然(とつぜん)椅子(いす)から崩(くず)れ落ちて、ウンウン唸(うな)りだした。そばにいた看護師(かんごし)が駆(か)け寄ってきて、倒れた医者の容態(ようだい)を見ながら言った。
「もう、先生。だから言ったじゃないですか。今日はお休みにしましょうって」
 医者は唸りながら答えた。「しかしね、私がいないと…」
 看護師は呆然(ぼうぜん)と立っていた患者に言った。「ごめんなさいね、心配(しんぱい)ないですから。ちょっとお腹(なか)の具合(ぐあい)が悪いみたいで。食中毒(しょくちゅうどく)じゃないといいんですけど…」
<つぶやき>お医者さんってお忙しい仕事ですから…。体調管理には気をつけて下さいね。
Copyright(C)2008- Yumenoya All Rights Reserved.文章等の引用と転載は厳禁です。
コメント
この記事をはてなブックマークに追加