みけの物語カフェ ブログ版

いろんなお話を綴っています。短いお話なのですぐに読めちゃいます。お暇なときにでも、お立ち寄りください。

「しずく79〜計画」

2017-09-15 19:28:36 | ブログ連載~しずく
 千鶴(ちづる)は怪訝(けげん)そうな面持(おもも)ちで言った。「処理(しょり)するとは、どういうことですか?」
 紳士(しんし)はしずくの首(くび)に手を当てて、まるで絞(し)め殺すみたいにして答えた。
「そんなに驚(おどろ)くようなことではないだろう。この世界から消えてもらうんだ」
「ちょっと待って下さい。それは、上からの命令(めいれい)ですか?」
 紳士は手を放すと笑い声を上げた。そして、何時(いつ)もの口調(くちょう)で言った。「政府(せいふ)の役人(やくにん)にそんな決断(けつだん)が出来ると思うかね? あいつらは我々(われわれ)を利用(りよう)してきたと思っているようだが、そうじゃない。我々が利用しているんだ。それも、もうお終(しま)いだけどね」
 千鶴には何のことだか理解(りかい)できなかった。紳士は楽しげに続けた。
「いよいよ、我々の悲願(ひがん)がかなう時が来たんだ。これまで何十年もかかったが、間もなく最終段階(さいしゅうだんかい)に入ることになる。我々の世界を創(つく)るんだ」
「我々の世界…。でも、そんなことが…」
「すでに、我々の仲間(なかま)はあらゆる場所に広がっている。政府の中枢(ちゅうすう)にも、警察(けいさつ)にも、全国のライフラインを担(にな)っている企業(きぎょう)にも入り込んでいる。私の命令一つでこの世界が変わるんだ。――だが、それを実現(じつげん)させるためにも、今は騒(さわ)ぎが起きるのは望(のぞ)ましくはない。不安要素(ふあんようそ)はすべて排除(はいじょ)する必要(ひつよう)があるんだ。君のお友だちにも、しばらくおとなしくしてもらわないとな。邪魔(じゃま)されては折角(せっかく)の計画(けいかく)が台無(だいな)しだ」
 紳士は男たちに合図(あいず)をして言った。「部屋を汚(よご)すんじゃないぞ。静かに逝(い)かせてやれ」
<つぶやき>しずくが殺されたら、このお話も終わってしまいます。それはダメでしょ。
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「しずく78〜謎の紳士」

2017-08-30 19:26:49 | ブログ連載~しずく
 千鶴(ちづる)の部屋にあったスマホが鳴(な)り出した。でも、部屋には誰(だれ)の姿(すがた)もなかった。着信音が何度か繰り返されて、また静寂(せいじゃく)に戻った。その頃、千鶴は落ち着かない気持ちで来客(らいきゃく)を待っていた。
 ――時計の針(はり)は夜の十二時を過ぎようとしていた。双子(ふたご)の姉妹(しまい)は自分達の部屋に入り、寝息(ねいき)をたてているはずだ。千鶴は大きく息(いき)を吐(は)くと、玄関(げんかん)へ向かった。
 ちょうど玄関のロビーに着いたとき、玄関の扉(とびら)が音もなく開いた。そして数人の男たちが入って来た。千鶴は顔をこわばらせた。最後に入って来たのは初老(しょろう)の紳士(しんし)だ。その紳士は威圧(いあつ)するように千鶴を見たが、すぐににこやかな顔に戻って声をかけた。
「突然(とつぜん)すまないな。しかし、この時間の方が都合(つごう)が良いだろう?」
 その低音(ていおん)の声は、以前にかかってきた電話の相手(あいて)だ。紳士は千鶴の前に立つと、
「早速(さっそく)だが、例(れい)の娘(むすめ)に会わせてもらおうか。案内(あんない)してくれ」
 千鶴は緊張(きんちょう)した顔つきで、紳士の先(さき)を進んで行った。二人の男たちがその後に続いた。
 しずくが寝かされている部屋に入ると、紳士はしずくの顔をまじまじと見つめて言った。
「これが救世主(きゅうせいしゅ)か…。私には子供にしか見えないが。あの予言(よげん)は確(たし)かなのか?」
「私には、分かりません。彼女が本当に救世主になるのかどうか…」
「まあ、いい…。不安材料(ふあんざいりょう)は早めに処理(しょり)するに限(かぎ)る。君は、そう思わないかね?」
<つぶやき>まさか、しずくを…。この先、どうなってしまうのでしょうか? 大変です。
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「しずく77〜容疑者」

2017-08-15 19:04:05 | ブログ連載~しずく
 神崎(かんざき)つくねは男たちに連れられて行ってしまった。柊(ひいらぎ)あずみは男の一人に尋(たず)ねた。
「ねえ、どこへ連れて行くのか教えて下さい。私の生徒(せいと)なんです」
 男は振り返ったが、何も言わずに去(さ)ってしまった。あずみはすぐにスマホを取り出して電話をかけた。相手(あいて)は千鶴(ちづる)だ。彼女の能力(ちから)でつくねの行き先を突(つ)き止めてもらうのだ。だが、どういうわけか千鶴は電話に出なかった。あずみは苛(いら)つきながら呟(つぶや)いた。
「どうして出ないのよ。いつも、私のこと覗(のぞ)き見してるくせに…」
 そばにいた水木涼(みずきりょう)が声をかけた。「ねえ、追(お)いかけようよ。その方が――」
「ダメよ。あいつらの正体(しょうたい)が分からないのに、それは危険(きけん)すぎるわ」
「えっ、あの人たちって、警察(けいさつ)じゃないの? …もう、どういうことか分かんないよ」
「いいわ、こうなったら…」あずみは別の相手に電話をかけた。今度の相手はすぐに出たようで、「あずみ…です。ひさしぶり……。そう…、ごめん。心配(しんぱい)かけたのなら謝(あやま)るから……。ねえ、聞いてよ……。あなたに頼(たの)みたいことがあるの。今ね、私の生徒が警察に連れて行かれたの……。補導(ほどう)されたんじゃなくて、何かの事件(じけん)の容疑者(ようぎしゃ)だって……。まだ高校生(こうこうせい)なの。あなたの方で調(しら)べてもらえないかな? あなたなら、警察のこと分かるでしょ……。無理(むり)を言ってるのは分かってるわ。でも、あなたしかいないの――」
 あずみは電話を切ると涼に言った。「あなたはもう帰りなさい。私はこれからある人に会わなきゃいけないの。心配しなくても大丈夫(だいじょうぶ)よ。私がなんとかするから…」
<つぶやき>つくねはどこへ連れて行かれたのでしょう。つくねはどんな未来(みらい)を見たのか?
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「しずく76〜警察」

2017-07-30 19:25:27 | ブログ連載~しずく
 神崎(かんざき)つくねはそれに答えて、「しずくは、あなたの親友(しんゆう)だった娘(こ)よ。みんなの記憶(きおく)から消されてしまったけど、あたしの大切(たいせつ)な従姉妹(いとこ)でもあるわ。しずくは……」
 つくねは突然(とつぜん)の頭痛(ずつう)に襲(おそ)われて、その場にしゃがみ込んだ。頭痛はすぐに治(おさ)まったが、つくねは何かのイメージを受け取ったようで、驚(おどろ)いた表情(ひょうじょう)を浮(う)かべていた。
 柊(ひいらぎ)あずみがすぐに駆(か)け寄って来て、「ねえ、大丈夫(だいじょうぶ)? 何か――」
「いえ、平気(へいき)です。心配(しんぱい)しなくても…」つくねはそう言うと、あずみの身体(からだ)につかまって立ち上がった。その時、あずみの耳元(みみもと)にささやいた。
「これから、何があっても手を出さないで。何もしないって約束(やくそく)して」
「えっ、なに? 何を言ってるの…」あずみはつくねを見つめた。
 ――突然、屋上(おくじょう)へつながるドアが音を立てて開いた。そして、数人の男たちがドタドタとなだれ込んできた。瞬(またた)く間に、三人は男たちに囲(かこ)まれてしまった。あずみは、つくねたちをかばうように前に立った。一人の男があずみの前に出て来て、
「神崎つくねは…。君たちの中にいるだろ? 出てきなさい」
 あずみが答えて、「あなたたち、誰なの? つくねをどうするつもり」
「我々(われわれ)は警察(けいさつ)だ。ある事件(じけん)の容疑者(ようぎしゃ)として、神崎つくねを捜(さが)している。御協力(ごきょうりょく)下さい」
「事件って…、つくねがどんな事件に関(かか)わってるっていうの?」
 つくねは、すっと前に出ると言った。「あたしです。神崎つくねは…」
<つぶやき>これは突然の展開(てんかい)です。今度はつくねが狙(ねら)われたのでしょうか。それとも…。
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「しずく75〜不安」

2017-07-15 20:00:13 | ブログ連載~しずく
 柊(ひいらぎ)あずみは水木涼(みずきりょう)が落ち着くのを待って優(やさ)しく語(かた)りかけた。
「もう大丈夫(だいじょうぶ)? 刺激(しげき)が強すぎたかも知れないけど、あなたに自分の能力(ちから)を自覚(じかく)させなくちゃいけなかったの。悪く思わないでね」
「能力(ちから)…? 私に…」涼は半信半疑(はんしんはんぎ)で呟(つぶや)いた。そして何を思ったか、突然(とつぜん)立ち上がると手にしていた竹刀(しない)を空(そら)へ放り投げ、飛んで行く竹刀に手をかざした。するとどうだろう、竹刀は空中(くうちゅう)で動きを止めて、次の瞬間(しゅんかん)、涼の方へ戻(もど)ってきて彼女の手におさまった。
「こういうことね。すごいわ…」涼は驚(おどろ)くというより楽しそうに微笑(ほほえ)んでいた。
「やるじゃない。最初からそこまで能力(ちから)をコントロールできる人はそんなにいないわ。あなたには能力者(のうりょくしゃ)としての才能(さいのう)があるようね」
 間近(まぢか)で見ていた神崎(かんざき)つくねも驚きを隠(かく)せないで言った。「すごい…、すごいじゃない」
「ありがとう」涼は笑顔でつくねに答えた。「私に、こんな能力(ちから)があるなんて…。これさえあれば、もう誰(だれ)にも負けることなんてないわよね」
「それはダメよ」あずみが先生の口調(くちょう)になって言った。「その能力(ちから)は、人前(ひとまえ)では使わないこと。誰にも知られてはいけないのよ。もし、あいつらに知られたら、あなたもしずくの家族(かぞく)のように狙(ねら)われることになるわ」
「あいつら…? 何のことを言ってるのよ。しずくって誰なの?」
<つぶやき>能力(ちから)をどう使うかは、その人の手に委(ゆだ)ねられている。正しく使わないと…。
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