みけの物語カフェ ブログ版

いろんなお話を綴っています。短いお話なのですぐに読めちゃいます。お暇なときにでも、お立ち寄りください。

「しずく76〜警察」

2017-07-30 19:25:27 | ブログ連載~しずく
 神崎(かんざき)つくねはそれに答えて、「しずくは、あなたの親友(しんゆう)だった娘(こ)よ。みんなの記憶(きおく)から消されてしまったけど、あたしの大切(たいせつ)な従姉妹(いとこ)でもあるわ。しずくは……」
 つくねは突然(とつぜん)の頭痛(ずつう)に襲(おそ)われて、その場にしゃがみ込んだ。頭痛はすぐに治(おさ)まったが、つくねは何かのイメージを受け取ったようで、驚(おどろ)いた表情(ひょうじょう)を浮(う)かべていた。
 柊(ひいらぎ)あずみがすぐに駆(か)け寄って来て、「ねえ、大丈夫(だいじょうぶ)? 何か――」
「いえ、平気(へいき)です。心配(しんぱい)しなくても…」つくねはそう言うと、あずみの身体(からだ)につかまって立ち上がった。その時、あずみの耳元(みみもと)にささやいた。
「これから、何があっても手を出さないで。何もしないって約束(やくそく)して」
「えっ、なに? 何を言ってるの…」あずみはつくねを見つめた。
 ――突然、屋上(おくじょう)へつながるドアが音を立てて開いた。そして、数人の男たちがドタドタとなだれ込んできた。瞬(またた)く間に、三人は男たちに囲(かこ)まれてしまった。あずみは、つくねたちをかばうように前に立った。一人の男があずみの前に出て来て、
「神崎つくねは…。君たちの中にいるだろ? 出てきなさい」
 あずみが答えて、「あなたたち、誰なの? つくねをどうするつもり」
「我々(われわれ)は警察(けいさつ)だ。ある事件(じけん)の容疑者(ようぎしゃ)として、神崎つくねを捜(さが)している。御協力(ごきょうりょく)下さい」
「事件って…、つくねがどんな事件に関(かか)わってるっていうの?」
 つくねは、すっと前に出ると言った。「あたしです。神崎つくねは…」
<つぶやき>これは突然の展開(てんかい)です。今度はつくねが狙(ねら)われたのでしょうか。それとも…。
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0056「逃亡者」

2017-07-29 20:08:53 | ブログ短編
 耕助(こうすけ)は夜中の二時に玄関(げんかん)のチャイムの音で目を覚(さ)ました。「誰(だれ)だよ、こんな時間に…」
「俺(おれ)だよ、一平(いっぺい)」外から声がして、「開けてくれよ」一平とは大学からの親友(しんゆう)だった。
 耕助が扉(とびら)を開けると、「頼(たの)む。かくまってくれ」一平は急いで扉を閉めて鍵(かぎ)をかけた。
「どうしたんだよ。何かあったのか?」
「それが…、ばれたんだ。あいつに見つかっちゃて…」
「えっ? 何の話しだよ」
「愛子(あいこ)だよ。愛子にへそくりが見つかって、それで逃(に)げてきたんだ」
「おい、マジかよ。何でそんなバカなことしたんだよ」
「俺だって、遊(あそ)ぶ金くらい…。それに、買いたい物もあったんだ」
「それ、まずいよ。悪いが、出てってくれないか」
「おい、親友を見捨(みす)てるのか? 頼むよ、お前のとこしか…」
「だからだよ。愛子さん、絶対(ぜったい)ここに来るから。俺まで、巻(ま)き込むなよ」
 その時、電話が鳴(な)り出した。二人は背筋(せすじ)に冷(つめ)たいものが走り、ぶるっと震(ふる)えた。
「きっと、愛子だ。いないって言ってくれ。俺は、来てないって…」
「そんなこと言って、後でばれたら…」
 今度は、玄関のチャイムが何度も押されて、扉がドンドンと叩(たた)かれた。そして、
「こんばんは。遅(おそ)くにすいません。うちの人、来てませんか?」
<つぶやき>隠(かく)しごと、してませんか? もしかすると、もうばれてるかもしれませんよ。
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「状況不明」

2017-07-27 19:16:36 | ブログ短編
「わたしは、あなたが思っているような人間(にんげん)じゃないんです。もう、わたしのことはほっといて下さい。話しかけないで…」
「でも…、僕(ぼく)は、あなたを見ていると心配(しんぱい)で、ほっとけないんです。これはもう、運命(うんめい)です。僕とあなたが出会(であ)ったことは――」
「あたし、運命なんて信じません。だから、あなたとそういうことにはなりません」
「…そうですか、分かりました。でも、僕に何かできることはありませんか?」
「ありません、何も…。だから、もう――」
「僕は、あなたに幸(しあわ)せになってほしいんです。それだけです、それだけなんです」
「もう、行きます。じゃ…」
「あの…。もし僕がいることで、あなたが不幸(ふしあわ)せを感じるなら、もう二度と、あなたの前には現れません。あなたが幸せになるなら、僕はどうなってもかまわない」
「もう、やめて下さい!」
「ほんとうに、僕にできることはありませんか? どんなことでも言って下さい…。あなたが幸せにならないと、僕は…、僕は困(こま)るんです」
「あなたには関係(かんけい)ないでしょ。…あなたって、ずるいです。どうして、そんな話をするんですか? わたしに、どうしろと言うの」
「ですから…。僕は、あなたが幸せになりさえすれば…。ほんとにそれだけなんです」
<つぶやき>二人はどういう関係なのか。状況次第(しだい)では、全く違うお話になりそうです。
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0055「後ろ姿に恋した男」

2017-07-26 19:39:42 | ブログ短編
 小間物屋(こまものや)の若旦那(わかだんな)が寝込(ねこ)んでしまった。医者(いしゃ)を呼んで診(み)てもらっても、どこも悪いところはないと言われるばかり。――そこで若旦那によくよく話を聞いてみると、恋(こい)わずらいだと判明(はんめい)した。神社(じんじゃ)の祭礼(さいれい)で見かけた娘(むすめ)のことが忘(わす)れられず、苦(くる)しくて食事も喉(のど)を通らない始末(しまつ)。そこで、八方(はっぽう)手を尽(つ)くしてその娘を捜(さが)そうとしたのだが、顔(かお)が分からない。若旦那は後ろ姿(すがた)しか見ていなかったのだ。考えあぐねた主人(しゅじん)は、町内の火消(ひけ)しの棟梁(とうりよう)に相談(そうだん)した。
 棟梁は、それならばと、町内の娘を集めて、後ろ姿のお見合いをさせることになった。それを聞きつけた町内の娘たちは、我(われ)も我もと集まってきて、店の中はてんてこ舞(ま)いになってしまった。でも、あらかた見合いが終わっても、目当(めあ)ての娘は見つからなかった。
 そこへ小間使(こまづか)いの娘がお茶(ちゃ)を持って入って来た。若旦那はその娘の後ろ姿を見たとたん、
「あーっ、これだ!」
 その声に驚(おどろ)いたのは小間使いの娘。奉公(ほうこう)にあがったばかりだったので、何かそそうをしたのかと小さくなってしまった。主人は娘を呼び寄せて、
「おさと、お前、神社の祭礼に行ったのかい?」
「はい、お嬢(じょう)さんのお供(とも)で…。すいません、あたし、お嬢さんのお着物(きもの)を着て…」
「いいんだよ。おさと、これから毎朝、後ろ姿をこいつに見せてやってくれないか」
<つぶやき>この若旦那は、うぶなんです。でも、こんなこと言われても困りますよね。
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「異星人」

2017-07-24 19:25:35 | ブログ短編
 行きつけの居酒屋(いざかや)。同期(どうき)で入社(にゅうしゃ)した彼女たちの息抜(いきぬ)きの場になっていた。遅(おく)れてやって来た静香(しずか)が、ふらふらした足どりで席について懇願(こんがん)するように言った。
「もう、ダメ…。あたしの手には負(お)えないわ。誰か、助けてよぉ」
「どうしたの? しっかりしなさいよ。何があったのか話してみなさい」
「あいつら、同じ人間とは思えないわ…。もう、なに言ってるのか全然(ぜんぜん)わかんないし」
「静香って、新人の指導係(しどうがかり)になったのよね。どんな後輩(こうはい)たちなの? 教えてよ」
「もう、最悪(さいあく)よ。私たちの後、6年間も社員の募集(ぼしゅう)してなかったじゃない。だから、やっと後輩ができるって楽しみにしてたのに…」
 そこへ、静香に声をかけてくる者があった。それは、新入社員の一人だ。彼は平然(へいぜん)と言った。「あの、明日のことなんだけど。ちょっといいすか?」
 静香は目を丸くして訊(き)いた。「どうして…。わたしが、ここにいるのを…」
「簡単(かんたん)すよ。先輩(せんぱい)のスマホをGPSで探せるようにしといたんで。もうバッチリです」
「なに勝手(かって)なことしてるの? そんなことしたらダメじゃない。やめてよ」
「はい、じゃあ削除(さくじょ)しときます。で、明日なんですけど、俺(おれ)、ちょっと用(よう)があって、遅れてもいいすか? どうせ、早く行っても仕事ないし。じゃ、そういうことで」
 一同(いちどう)は、唖然(あぜん)とするばかり。彼は、そのまま居酒屋を出て行ってしまった。
<つぶやき>まさか、こんな人はいないでしょ…。でも、こんな後輩がいたら大変そう。
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