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アンドレイ・クルコフ「ペンギンの憂鬱」

2010年02月02日 | 海外の作家
訳・沼野恭子

ソ連から独立した直後、犯罪が横行しマフィアが暗躍する過渡期の都市キエフ
恋人が去り、独りぼっちになってしまったヴィクトルは、動物園で飼えなくなった皇帝ペンギンをもらってきた
ペンギンの名前はミーシャ、憂鬱症らしい
ヴィクトルは売れない小説家
ある日「首都報知」という新聞の編集長から仕事の依頼がきた
まだ生きている人々の追悼記事「十字架」を書くという仕事
その人たちが死んだ時のためにストックしておくのだという
仕事は順調に進み生活にも落ち着きが見られたのもつかの間
身辺に怪しげな人物が現れはじめ、自分がおかしなことに巻き込まれていることに気がついた


身長約1mのミーシャ
そっとひざに頭を乗せてきたり、胸をおしつけてきたり、じっと見つめたり、たまにつついたりする
憂鬱症で不眠症で、いつもどこか哀しげに黙って立っていたり、静かにペタペタと歩き回ったりしているだけなのだけど、存在感があります
孤独なヴィクトルとミーシャ
ヴィクトルはミーシャを溺愛しているほどではなく、しかし放置しているのでもない
きちんとエサを遣り、夜の散歩や凍った川で泳がせたりもする
ミーシャとの暮らしに加わる
ギャングの「ペンギンでないミーシャ」の遺児・ソーニャ
ソーニャのベビーシッター・ニーナ
3人+1羽の愛の無い擬似家族生活はイデオロギーで無理矢理ひとつの国家にさせられていた「ソビエト共和国連邦」を暗示していると言えなくも無い


絵本を読むソーニャと冷めた表情のミーシャが描かれた装丁から思い描く内容とは違う不条理な結末を迎えます

ミーシャのその後が気になります
続編「カタツムリの法則」日本語訳出版の日が待ち遠しいです


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