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フィニイ、ヤング他「時の娘」

2011年04月26日 | アンソロジー

 

中村融編
創元SF文庫
2009年10月 初版
2009年12月 3版
352頁


ロマンティック時間SF傑作選
SFだけが描ける切ない恋の物語


ウィリアム・M・リー「チャリティのことづて」
1700年の夏、アンズタウン
何週間も床に伏し、高熱に苦しんだチャリティ
時は流れ1950年の夏
かつてアンズタウンと呼ばれた町があった場所で、高熱に苦しむピーター
250年の時を隔てて愛を確かめ合う二人
切なかったです


デーモン・ナイト「むかしをいまに」
一人の男性の死から誕生を描いた作品
全てが巻き戻しの世界
薬を口から出すことにより痛みが始まる
ビールを口から吐き出しジョッキに戻すなど
徹底的に巻き戻しの世界です
読み慣れてくると実に面白い

ジャック・フィニイ「台詞指導」
ニューヨーク
映画のロケで使われる予定のボンネット型バスに乗って経験した不思議な出来事
過去へのタイムスリップそのものより、今の時代に戻ってからの一人の女優の心理状態の描写が見事です

ウィルマー・H・シラス「かえりみれば」
30歳の意識を持ったまま15歳の自分に戻った女性
年齢を重ねて得た知識を披露するわけにはいかない
四苦八苦しながら学生生活を送る毎日にハラハラします


バート・K・ファイラー「時のいたみ」
時間旅行が実現した時代
時間旅行の目的を記憶から消されたうえで過去に戻った男性
その目的は何だったのだろうか
そこまで妻に尽くすのか?
切ない大人の愛です


ロバート・F・ヤング「時が新しかったころ」
過去の火星へ49,000,000マイル、現在の火星へ79,062,156年
現在の地球へ49,000,000マイル、そして過去の地球へ79,062,156年
長い道のりをぐるりと回って再び出会えた二人
時間+距離
気の利いたセリフ
本編が一番気に入りました


チャールズ・L・ハーネス「時の娘」
株・競馬・相場予想で生計を立てている母親と娘
母親の「予知能力」はある時をもって消えてしまうらしい
母親が娘で、娘が母親?
先が想像できてしまうストーリーではありますがパラドックスの問題が楽しませてくれます


C・L・ムーア「出会いのとき巡りきて」
時間旅行装置を身につけあらゆる時空を旅する男性
なぜかはわからないのだが、どの時代、どの場所でも巡りあうスモークブルーの目をもった女性
相手の女性も自分を記憶しているらしい
壮大で神話的な色彩を帯びた作品です


R・M・グリーン・ジュニア「インキーに詫びる」
心理的なタイムトラベルと物理的なタイムトラベルが共存
面白く読むためには気持ちの切り替えが必要です

 

旅のお供によい一冊です

 


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