新潮文庫
2017年 7月 発行
解説・堀江敏幸
509頁
伊藤整文学賞受賞作
福武書店の文芸誌「海燕」に1993年11月号から1996年9月号まで27回にわたって連載されたものがもとになっています
休刊にともなって中断を余儀なくされたものに加筆し全体を整えて岩波書店から刊行されたのが2013年12月
連載開始から20年の歳月を経てのことで過去の基盤を「現在」を生きる製作者が「現在」の技術で仕上げた作品
過去の佐伯さんの作品との共通点が多いと思いながら読みましたがそういうことだったのですね
舞台は茨城県
渡良瀬遊水地にほど近い工業団地の基盤組立工場
長男が生後間もなく川崎病にかかり、長女が緘黙症になったことを機会に東京から一家で古河市に引っ越してきた電気工の男性の日々を描きます
暗いには暗い物語なのですが、ほんの少し未来に期待を抱かせるラストに救われた感のある作品でした
堀江敏幸さんの解説が全くもって素晴らしい!
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます