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木山捷平「鳴るは風鈴」

2010年09月05日 | か行の作家
木山捷平ユーモア小説選



私小説風の短編が11編

お茶目な大人の日常にさりげなくユーモアを混ぜ込んである
このユーモアを解することが出来るのはやはり「大人」ではないでしょうか

大きなテーマや主張は無い
軽快で、ゆるい
だからこそ小説としての息が長い

表題作
『鳴るは風鈴』
ひょんなことから見つかった古い風鈴
遠い昔のことを思い出す
安普請のアパートに住んでいた頃
突然、箪笥のカンがカタカタと音を立てる
怪奇現象でもあるまい
お隣さんが睦んでいる時の振動が伝わってくるらしい
この音を嫌った細君が箪笥のカンに布を巻いてしまった
それで隣が揺れても箪笥は鳴らない
平穏な日々が続く、が、なにか物足りない
そこで夫は風鈴を買ってきて箪笥に取り付ける
以来、風のないときでも、風鈴が鳴り、しばらくしてぴたっと止む
いま手にしているは、そのときの風鈴である

他の作品もそんな他愛のない話ばかりですが
そんなところが好きです


1996年故郷岡山県笠岡市で木山捷平文学賞が制定されました
第一回受賞作は佐伯一麦「遠き山に陽は落ちて」
第八回受賞作は堀江敏行「雪沼とその周辺」

自分が惹かれる小説(作家)の共通点

これ、ここ、なんだなぁ

ユーモアとウィットとペーソスと穏やかに流れる時間





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