ちくま文庫
2014年3月 第1刷発行
解説・金田淳子
342頁
主人公は
川田幸代、星間商事勤務、29歳、独身(同棲中)、腐女子
企画部で手掛けたプロジェクトが大成功をおさた幸代は、手腕を見込まれて類似の規格の責任者にならないかと打診されたものの、プロジェクトを成功に導くのがどんなに大変なことか身に染みていたのと、プライベートの時間が減るのは絶対困る、という理由で固辞
出世より、割り振られた仕事を着実にこなし、見合うだけの給料をもらい、夜と週末は必ず体が空くという生活がしたい、と上司に伝えたところ配属されたのが『社史編纂室』=社編だった
社編のメンバーは、姿が見えない幽霊部長、遅刻常習犯の本間課長、幸代と同時期に配属されてきたヤリチン先輩・矢田、ダイナマイトボディのみっこちゃんと幸代の5人
ユルイ職場で、職務を熟し週末は仲間と趣味に没頭するはずだった幸代だったが、ひょんなことから社の秘密に気づいてしまう
社史完成のためにはその秘密を無視するわけにはいかない彼らは、密かに行動を始める
さらに、趣味仲間との意識のズレや、同棲中の恋人との明日が見えない関係が幸代を悩ませる
会社にとって不都合極まりない事実を載せた社史は日の目をみることができるのか?
趣味仲間との友情は?
恋人との将来は?
「まほろ駅前~」シリーズに通じるシリアスな中にユーモア(ユーモアの中にシリアス?)満載
軽快なテンポでサクサク読めます
三浦さんの小説の登場人物の中に
スタイル、顔、ファッションで勝負する女性(本作ではみっこちゃん)がよく出てきますが
彼女たち、嫌われキャラかと思わせておいて、実はきちんと物事を考えている嫌味のない人たちなんですね
こんなところも三浦しをんファンが多い一因かもしれません
本作、本の編纂という意味では「舟を編む」に似ているようで、でもそれよりもコミカルでした。
自分自身のやりたいことと結婚の折り合いをどうするのか、そういう二次的テーマもあって、楽しめました。
でも、やることはやる、といったところも面白かったですね。
結婚も勢いがないと踏み出せないものですからねえ。
趣味仲間の既婚者の言葉に何度も頷いてしまいました(苦笑)