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重松清「とんび」

2012年04月01日 | さ行の作家

 

角川文庫
2011年10月 初版発行
417頁


主人公は不器用で一本気、素直じゃないけれど心優しい男・ヤス
昭和時代には、こんな男性が描かれた小説や映画が多かったと思います

テレビドラマ、本編は見ませんでしたが予告は何度か見ていて読みながら堤真一さんが思い出されてしかたありませんでした
堤さんは「メトロに乗って」「ALWAYS三丁目の夕日」など昭和と涙が似合う俳優さんですね

昭和30年代の広島県備後市
幼い頃に母と死別、父にも捨てられたと同然で親戚に育てられ「家族」を知らずに育ったヤスが伴侶に選んだのが、同じように独りで生きてきた美佐子さん
二人は、ひとり息子のアキラを授かり「家族」となり、貧しいながらも幸せに暮らしていたのだが、ある日美佐子さんを襲った突然の事故
父ひとり、子ひとりとなったヤスとアキラ
ヤスは美佐子さんの優しさと思い出を心の支えに一生懸命アキラを育てます
そんな二人を地元のお寺の和尚さん、居酒屋のママ、職場の上司や仲間などが、時に応援、時に叱咤激励してくれ、アキラは素直で心根の優しい男の子に成長していきます
出来のいいアキラを見て「とんびが鷹を生んだ」と口さがないことを言う人たち、でも優しさ、温かさが滲んでいます
これがタイトルになっているのですね

アキラが東京の大学へ進学、母親が亡くなった本当の理由を知る、就職、結婚
それはそれは色んな事があり、山あり谷あり
子を思う親、その親にも親がいる
綿々と続く人の営みはアキラの子供にも継がれていきます
ヤスさんのようなタイプの人とは現実ではお付き合い出来ないと思いますが、小説の中でなら思いっきり入り込むことが出来ます
昭和に生きた日本人の日本人による日本人のための小説、ヤスとアキラ以外の登場人物それぞれにも物語があり何度涙を流したか、というくらい泣けました

テレビドラマも再放送があったら見たいです
ハンカチ(タオルのほうが良いかも?)を用意して…

 

 


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