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アンヌ=ドフィーヌ・ジュリアン「濡れた砂の上の小さな足跡」

2014年01月19日 | 海外の作家

 

訳・平野暁人
講談社
2013年4月 第1刷発行
249頁

 

 

フランスの女性ジャーナリストが自らの体験を綴ったノンフィクション

 

長女・タイス
1歳半になる夏の終わり、ブルターニュの海岸で少し変わった歩き方をしているのに気づくが、あまり気にしていなかった両親
パリの自宅に戻ってから、次第に手が震えるなど様々な症状が出始めた為、病院で診察を受けたところ、医師から聞かされたのは、彼女が異染性白質ジストロフィーという重篤な遺伝性疾患に冒され、余命2~5年という厳しい状況にあるということだった
予想以上の早さで進行する病
長男・5歳のガスパールは自分は健康なのに妹がそのように苦しまなければならない理由が理解出来ずにいる
タイスの闘病中に生まれた次女・アズィリスも出産直後の検査結果タイスと同じ病に冒されていることがわかる
遺伝性なので子供が疾患をもって生まれてくる確率は25%なのだそうで、タイスの看病に加え、アズィリスの骨髄移植手術と看病が続くのです
アズィリスもジストロフィーかも知れないという恐怖に耐えて出産した著者と彼女を支える夫の精神的強さの何たること!

 

 

次々に訪れる困難を、親戚、ボランティア、病院スタッフの協力を得て乗り越えていく一家

 

要は『愛』です
タイスが寝たきりになり、食事も出来ず、目も見えず、耳も聞こえなくなっても、タイスはタイス、愛しい我が子に変わりはありません
どうしてこのような不幸に見舞われなければならないのか、という思いに押しつぶされそうになることもありましたが、夫や長男と心をひとつに全力を尽くしてきた著者
発病から天に召されるまで1年半の間、著者や家族、親戚がタイスに愛情を注いだのと同時にタイスこそが皆に愛のなんたるかを教えてくれたのでした

 

『あなたにはわからないだろうけど』という思いが『私には、わかってる!』に変わった時、著者は悲しみを乗り越える強さを手に入れました

 

子供が病気云々というお涙頂戴の小説や映画は好きではありませんが、本書はノンフィクションということで読んでみました
想像していたより淡白、淡々と描かれており、病に立ち向かう云々より、母の思い、人の愛について多くのページが割かれていたと思います
多分、本書には著されていない、もっともっと多くの困難、苦難、悲嘆、迷いがあったことでしょう
根底に愛があれば、最悪の結果しかやって来ないことがわかっていても、人は人と共に生きていけるのだろう、と思いました

でも、やはりこういう類の本は苦手かな
自分が経験したことのない『闘病』『看病』についてはどうしても傍観者にしかなれないので …

 

 


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