読書と映画とガーデニング

読書&映画&ガーデニング&落語&野球などなど、毎日アクティブに楽しく暮らしたいですね!

フィリップ・クローデル「灰色の魂」

2010年01月20日 | 海外の作家
第一次大戦の前後
フランスの片田舎で起きた少女絞殺事件

殺人事件の真犯人は誰なのか?
この手記を書いている「私」は誰なのか?


「愛した女の顔を思い出せないなんて…。おれはろくでなしさ」
ジョセフィーヌは肩をすくめた。
「ろくでなしだろうが、聖人だろうが、そんなのは見たことがないよ。真っ黒だとか、真っ白なものなんてありゃしない、この世にはびこるのは灰色さ。人間も、その魂も同じことさ…。あんたは灰色の魂、みごとに灰色、みんなと同じようにね…」
「そんなものはみな言葉だ…」
「言葉に恨みでもるのかい?」


時間を遡り、また今に戻り
「私」が見たもの、聞いたこと、経験したこと、関わった人のことが語られやがて全体像が見えてくる

戦争による死
「私」の妻の死
少女の死
女教師の自殺
検察官の自然死

全ての死は平等であり同じ重さである

明らかにならなかったことは死によって永遠に葬り去られる



世の中には必ずしも明確な答えが用意されているわけではなく、むしろ謎が謎のままで終わってしまうことが多い、というよりも、それで納得せざるを得ない状況が多々ある
そんな不条理さに重苦しいものが残ります



コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« フィッツジェラルド「若者は... | トップ | 映画・ベジャール、そしてバ... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

海外の作家」カテゴリの最新記事