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三浦綾子「ひつじが丘」

2010年06月05日 | ま行の作家
昭和24年、北海道・札幌
高校を卒業し短大に通う牧師の娘、奈緒美
高校で同じクラスだった京子、輝子
京子の兄、良一
高校の時の担任であり良一の友人、そして京子が思いを寄せる竹山

奈緒美、京子、良一、竹山の四角関係に輝子が絡む、よくある恋愛話ではあるのですが
テーマの「愛とはゆるすこと、相手を生かすこと」がストーリーに重さを加えています

牧師であり平生他人のことを悪く言わない奈緒美の両親が異を唱えた良一との結婚
人を見る目が無い、と言われたと思い込み依怙地になった奈緒美
家出同然で函館で始めた良一との結婚生活は夢見たような暮らしではなく甘ったれで酒と女に溺れる良一への失望感が日に日に膨らんでいく
良一ではなく竹山と一緒になっていたら、どんなにか明るく楽しい毎日であっただろうか

両親の言葉が胸に沁みる日々
我慢の限界を超えた奈緒美は一人両親の元へ
奈緒美を追ってきた良一が喀血、肺結核と診断されしばらく奈緒美の両親の元で療養することになることをきっかけに良一の人間性に大きな変化が生れます
しかし奈緒美はその変化に気づこうとしない、良一を心から許そうとはしない

未婚者、既婚者、大恋愛中の方
色んな人に読んでもらいたいと思います
若いが故に相手を許すことを知らないことから生まれる悲劇


雪の中タクシーで出かける良一に向かって奈緒美は「今夜はお泊りになってもよろしいのよ」と棘のある言葉を投げつける
これが二人の最後の会話になります


自分の心理状態がどんなでも玄関を出る人を見送る時は笑顔でなくてはいけない!と思いました


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