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福永武彦「忘却の河」

2010年08月06日 | は行の作家
再読

福永武彦さんの描く孤独・愛・死

会話文が「」に囲まれていません
また現在も過去も並行して流れていきます
今語られていることが、会話なのか心の中なのか、現在の出来事なのか、過去の思い出なのか…
考えながら読む分、しっかりと文中に描かれた心の内が読み取れます

妊娠した恋人を捨てて自殺させた藤代は、戦争で友人を亡くし、償えない罪の意識を抱いたまま、お見合いで結婚した妻と日々を送っている
藤代の妻は戦死した年下の大学生を想っている
藤代は、妻子を残して戦死していった友人の代わりに、自分が死ねばよかったと思っている

真に愛した今は亡き人を想う夫妻に比べ、その娘たちの恋愛は時代が違うとはいえ軽く見えてしまいます
それでもこの作品が発表されたのは昭和38年
現代に比べればまだまだお堅い時代です

周囲に福永武彦さんを知らない人が多いのが残念!

解説エッセイは
池澤夏樹さん
福永武彦さんの息子さんです

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