講談社文芸文庫
1991年9月 第1刷発行
2011年2月 第12刷発行
解説・秋山駿
275頁
短篇集です
大仰な物語ではなく淡々とエピソードを語っているだけなのですが
何故か心に沁みる小品の数々
「大寺さん」なる人物が語るところの、実際は小沼さん自身の身近な生活を描いた
「黒と白の猫」「タロオ」「蝉の脱殻」「揺り椅子」
ミステリー色があり、淡々と流れる話に返ってゾクリとさせられる
「エヂプトの涙壺」「断崖」「砂丘」「影絵」
これも小沼さんの実体験を基にしたものでしょうか
「自動車旅行」「懐中時計」「ギリシヤの皿」
友や家族と過ごした穏やかで面白可笑しい日々
やがて年月が過ぎ、身の回りの人間が一人二人と亡くなっていき寂しさが身に沁むようになるのをさりげない言葉で綴ります
犬を描いた「タロオ」にはホロリときました
小沼さんは、美しく心地よい文章を綴れる数少ない作家さんのひとりだと思います
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