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映画・悪童日記

2014年10月17日 | 映画(海外)

 

原題 LE GRAND CAHIER
2013年 ドイツ・ハンガリー合作
原作 アゴタ・クリストフ「悪童日記」

 

第二次大戦中のハンガリー
軍人の父(ウルリッヒ・マテス)は戦地に赴き、双子で9歳になる「僕ら」(ラースロー・ジェーマント、アンドラーシュ・ジェーマント)の暮らす街にも空襲が続き、僕らは母(ギョングベール・ボグナル)の実家のある国境近くの田舎町に疎開することになります
祖父は既に亡くなっていて、母と祖母(ピロシュカ・モルナール)は折り合いが悪いらしく、僕らは祖父母がいたことすら知りませんでした
地元で魔女と呼ばれている意地悪な独り暮らしの祖母に困った時にだけやってくる『メス犬の子』と呼ばれ、こき使われながら、父から与えられた日記帳-原題の「大きなノート」はこれを指すのでしょう-に毎日の出来事を記し、母との約束である生き延びること、勉強を怠らないことを守りながら、強くなるための訓練を続けるのでした

 

親子4人の楽しかった日々が一転
祖母の家での厳しい暮らし、大人たちの理不尽な仕打ち、生き残るための試練は否が応でも僕らの外見や人間性を変えていきます
これが美少年の双子が演じていることで無表情な中、瞳の輝きだけが強調され『凄み』が増します

 

戦争が終り
母が知らない男性と共に赤ん坊を抱いて僕らを迎えに来ますが、僕らには妹ができたという現実が受け入れられません
終戦間もなく、まだ平安には程遠い国境近くの村にはソ連軍の空爆が続き、母は死亡
祖母も僕らを孫と認めつつあるようで、3人の平穏な暮らしが戻ってくるかと期待しましたが、今度は祖母が脳梗塞で倒れ障害が残ってしまいます
そこへ母と僕らを探してやってきた父
捕虜収容所に入れられていたため帰国が遅れたと話します
母の遺骸の傍に埋められていた赤ちゃんのお包みを見て全てを悟った父は国境を越える、と言います
父と僕らは揃って国境を越え、新しい暮らしを始めるのか、と思いきや
悪童と化した僕らには最後の訓練“別れ”が待っていたのでした

 

戦地の様子が直接的に描かれることはありません
戦争によって引き起こされた悲劇に翻弄され『悪童』と化した僕らの姿が戦争の愚かしさを雄弁に語ります

 

 

僕らが飢えの訓練中で食べ物を口にしないと知っていながら、目の前でこれ見よがしにローストチキンにむしゃぶりつく祖母
怪演といっていいのではないでしょうか
ピロシュカ・モルナールの演技はインパクトがありましたねぇ

 

全体にシンプルにまとめられていますが観客の心に訴えるものは大変大きい作品だと思います

 

原作者であるアゴタ・クリストフ自身の体験が大きく反映されている作品、とのこと
「悪童日記」と続編「ふたりの証拠」「第三の嘘」も読んでみましょう

 

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