2014年 日本
原作 葉室麟「蜩ノ記」
ある罪で十年後の夏に切腹を命じられ、不条理な運命にある戸田秋谷(役所広司)
彼は、いよいよ三年後に迫った切腹までに藩史の編纂を仕上げるよう命じられ、その作業の過程で藩の重大な秘密を握っていた
そして、彼の監視役として派遣される檀野庄三郎(岡田准一)
秋谷に不信を抱いていた庄三郎が、切腹に追い込まれた事件の真相を知り、彼の人としての気高い生き方に触れて成長する師弟愛、秋谷とその妻・織江(原田美枝子)との温かな夫婦愛や家族愛、庄三郎と秋谷の娘・薫(堀北真希)との恋、そして人間同士の崇高な絆が描かれる
十年という期限を切られた人生を濃密に生きる武士と、一緒に暮らせる残り少ない日々を大切に大切にする家族の姿は、生に執着し余分なものを持ちすぎ不平不満の尽きない現代の日本人からすると、美しく清々しくさえ見えるのではないでしょうか
原作は勿論良かったですが、本作もホント良かった!
原作では最後の最後になって泣かされた覚えがありましたので、映画も同様かと思いつつスクリーンを観ておりましたが、まぁ途中何度ウルウルきたことか
役所さんと原田さんにやられました
自宅だったらボロボロ涙を流しながらの観賞となること間違いなしです
帰宅後、本棚から引っ張り出して最後の1頁を読み返し、また胸に迫るものがありました
(映画のラストとは違います)
岡田さんは、軍師官兵衛のイメージが少々邪魔をしましたが、若き青年武士を熱演されていました
けど、好みの問題でしょうが堀北さんはどうかなぁ?
監督/脚本は小泉堯史さん
直球勝負、安心して観ていられます
音楽は加古隆さん
「蜩ノ記 オリジナル・サウンドトラック」
美しいメロディラインに映画の様々なシーンが甦ります
聴くだけで涙が滲んできそうです
良い映画を観ました
けれど、私、何故か作品世界に浸ることができず・・・、自分でも困惑しています。
まあ、たまたまそういう気分だったということにしておきましょう。
岡田准一さんは、ちょうどいま放送しているあたりの年齢の軍師官兵衛の方がステキのように思えました♡
気分しだいで感想も変わるものです。
後日鑑賞したらまた何か違うものが心に残ったりして。
岡田さんの実年齢と庄三郎では差がありすぎましたね。
一生懸命演じておられるのは認めますケド。
現代日本社会とあまりにも違う武家社会の理不尽さえも受け入れる潔さへの憧れも「武士の一分」あたりまででしたでしょうか。
ところどころ藤沢周平作品を思い出しながらの観賞でした。
色々不評もあるようですが「たそがれ清兵衛」が大好きだという方と本作について話が弾みました。
数シーンでも心に残るものがあれば、全体もOKにしてしまう自分です(汗)
遠野で撮影されたという農村風景、美しかったですね。
今も加古隆さんのCDを聴きながら思い出しています♪