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熊谷達也「迎え火の山」

2011年06月15日 | か行の作家

 

講談社文庫
2004年8月 第1刷発行
2005年1月 第5刷発行
解説・土方正志
551頁


1/5ほど読んでも、熊谷さんらしい話の本流が見えてこないので我慢出来ずに先に解説を読みましたら
ナント!
伝奇ホラー小説
なのだそうです

夜、一人で読んでいると怖くてたまらなくなる部分もありました
熊谷さんの描写力の成せる業でしょう

旧盆の十三夜、出羽三山の霊峰月山の麓の村を舞台にしたホラーです
物部氏の末裔・由香は鬼から村を守ってきた一族だという
同級生で幼い頃から霊が見えるという工藤
もう一人の同級生で今は役場で働いている正志には鬼がついているらしい

物語自体は成功とはいえないと思います
それを差し引いても
熊谷さんの愛する東北の豊かな自然、古代より現代まで東北に生きる人々への深い思いが強烈なメッセージとして伝わってきます

震災から一ヶ月後くらいだったか
熊谷さんが新聞に寄せられた記事を読みました
記憶が曖昧ですが
粘り強い東北人というイメージは中央の人間が勝手に作り上げたもので、そういう言葉で東北を一括りにしないでほしい
実際東北で暮らしてきた人々は古代より繰り返された侵略と征服にひたすら耐えてきたのだ
粘り強くならざるを得なかったのだ
というような内容だったかと思います
熊谷さんが過去に発表した小説の中で著してきたもの、そのものだ、と思いました

 


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