訳・加賀山卓朗
早川書房
2006年10月 発行
2008年6月 2刷
解説・池上冬樹
483頁
イギリス情報部の極秘事項がソ連に漏洩した
スキャンダルを恐れた上層部は、秘密裏に二重スパイの特定を進める
古株の部員・カッスルはかろうじて嫌疑を免れたが、同僚のデイヴィスは疑惑の中心に
上層部はデイヴィスを漏洩の事実ともども闇に葬り去ろうと暗躍する
追う者と追われる者の心理を鋭く抉るスパイ小説の金字塔
スパイ小説によくある派手なアクションや撃ち合いはありません
愛する女性と子供を守るため、主人公・カッスルの祖国を裏切らざるをえない心の内面を捉えた優れた人間ドラマといえると思います
でも、ドキドキワクワク感は十分にあります
特に終盤、カッスルがモスクワへ逃亡するあたり
味方はいるのか?
誰が味方なのか?
どうやってイギリスから脱出するのか?
カッスルの妻と子供は無事なのか?
最初に翻訳が出たのは1979年のこと
本書が描かれたころ
ソヴィエト連邦という国家が存在し東西冷戦が続いていました
それが過去の歴史となり今日のような世界がやってくるとは、想像もしませんでした
グリーンの力によるところもありますが、現代や近未来を描いたものより余程面白い作品だと思います
小林信彦さんや結城昌治さんも絶賛されているようです
久々★x5の作品に出会えました^^
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