読書と映画とガーデニング

読書&映画&ガーデニング&落語&野球などなど、毎日アクティブに楽しく暮らしたいですね!

内田百 「冥途」

2008年11月14日 | あ行の作家
夢か幻想か
特異な世界を綴った短編集


これは夢の話なのだ
と思って読んでいたはずなのに
見事に引き摺り込まれている


言葉遣いや漢字に対する厳しさ、丁寧さが心地良く
読むこちらも丁寧に読まねば、という気持ちにさせられます


「件(くだん)」
主人公は、顔が人間、身体が牛になってしまった男で、未来を予言すると殺されてしまう、では未来を予言しなければよかろう、と衆人から逃れようとする、という滑稽ともいえる話
件という漢字を分解すると、「人」と「牛」から成り立っていることが解る
解説を読むまで、、この面白さに気付かなかったのは我ながらがっかり


「山高帽子」では
長という字を逆さまにして「がな」と読ませたり
洒落っ気もたっぷり


意識と無意識の間(あわい)に立ちのぼる奇妙な風景
無気味なようで可笑しいようで心許無いようで
曖昧な夢の世界を精緻な言葉で描く

内田百を読むのであれば心して掛かってください


頭や首や肩をがっしと摑まれたような状態になります
ソファでだらりと読むのは似合わない
机の前にきちんと座って読む本
だと思います

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« レッドクリフPartⅠ | トップ | 宮部みゆき「おそろし」 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

あ行の作家」カテゴリの最新記事