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三浦綾子「天北原野」

2008年11月17日 | ま行の作家

北海道ハマベツ
美しい少女貴乃と小学校校長の息子孝介は互いに愛し合い、結婚の約束をしていた
しかし、製材所の息子完治の恐ろしい企みによって孝介は遠い樺太へと旅立ち、残された貴乃は…

読み始めて100頁ほどまでは
主婦向けお昼の連続ドラマも真っ青ってくらいのドロドロ愛憎劇に
苦しい!
読むの止めようか

むむ~
折角友達が勧めてくれた一冊
最後には泣けた
と言っていたことだし
我慢我慢


時代設定が
大正末期から太平洋戦争直後
私が、その時代の日本人の価値観を理解し辛かったのは脇に措いておいて

互いに傷つけあい苦難に耐えて真っ当に生きる貴乃や孝介、完治の妹、貴乃の父親
人として許されるはずのない生き方をしてきた完治や完治の父親の様な人間へすら三浦さんの温かい眼を感じます

話中
完治は幾度か命の危険に晒されるも生還
憎まれっ子世に憚るとはこういうことを言うのですね
やっと最後に
二度と姿を見ることはなかった
となるのですが
これでやっと孝介と貴乃が結ばれるのか
と思ったら…
あぁ~なんという運命!



今まで貴乃は、只耐えに耐えて生きてきた
耐えることが貴乃の生き様だった
怒りも苦しみも悲しみも、それらすべてを、じっと一人の胸に耐えて生きて来た
忍んで来た
(耐えなければいけないんだわ、わたしは人間だから)
動物には耐える心や忍ぶ心はない
耐えるのは人間だけだ
(何のために、こんなに耐えるのか)
そう思ったことがある
それは、ある時は自分のなすべきことだからであり、ある時は人の幸せを思うからであった


貴乃が、死ぬのならたくさんのエゾカンゾウの花に囲まれて死にたい
と言います
哀しいです


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3 コメント

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Unknown (ロビタ)
2011-06-29 05:23:52
もう、ほんとに最後の最後くらい、貴乃と孝介を
幸せにしてあげろよおおお!と思いましたね。

救いといえば息子が「お母さんは孝介おばさんと
いっしょになりなよ」と言うところですか
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ロビタさん (こに)
2011-06-30 09:50:28
ここまでドロドロの小説
三浦さんでなければ読めなかったかもしれません
でも、こういうのって案外人には受け入れられるんですよねぇ
返信する
木漏れ日 (Unknown)
2011-08-19 22:40:58
傷つくということは、傷つけるということ。そのはざまの中で常に人はもがいる...。
それは、生まれながらに人は心に原罪を持っているから。一生その罪(自己)と向き合っていかなくてはいけない。生きて行くということは過酷なこと。だからその支える杖がほしいのだ。心の杖だ。そして包まれたいのです。癒してあげたいのです。もう一人のダメな自分に。
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