講談社文庫
2007年4月 第1刷発行
解説・奥泉光
172頁
奥泉さんは2003年夏、南仏にある小さな町の文学祭に招待されたのですが、小川洋子さんも一緒で、この時に発想されたのが本作なのだそうです
舞台は、とある田舎村
そこにある「創作者の家」には様々な種類の芸術家や音楽家が短期滞在して創作活動をする
ある日「創作者の家」の管理人をつとめる青年が拾った不思議な生き物
青年と、ブラフマンと名付けられた生き物のひと夏の交流を描いています
青年も滞在する芸術家たちも、家族があるのか、出身地は何処なのか、今まで何処でどう暮らしてきたのか、何も描かれていません
突然青年の前に現れたブラフマンも同様、どういう動物なのか生態もよくわかりません
それなのに村の情景や登場人物の表情や動きまで目の前に見えるようです
明るすぎない淡い光の中、安易ではないけれどしっかりと「死」を見据えた小説
贔屓目でなく、小川さんでなければこういった物語世界は作れないと思いました
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます