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宮部みゆき「淋しい狩人」

2010年08月27日 | ま行の作家

古本屋、田辺書店の経営者、イワさんこと岩永幸吉と、イワさんのたった一人の不出来な孫、稔
二人の素人探偵が本を廻って起きる事件を解決するという趣向で統一された短編集です

「六月は名ばかりの月」
6編の中では一番『普通』
姉の遺産を狙った卑劣な殺人事件の謎解き

「黙って逝った」
父ひとり子一人
急死した父の遺品に自費出版された同じ本が300冊以上も
一体どういうことか?
息子の推理がある殺人事件を解決に結びつける

「詫びない年月」
イワさんがヘルパーさんから聞いた幽霊譚
戦争中の悲しい出来事が浮かび上がってくる

「うそつき喇叭」
自分が虐待されていることを知って欲しいが為、絵本を万引きした少年

「歪んだ鏡」
電車の網棚に忘れられていた文庫本に挟まれていた名刺
名刺の男を訪ねた女性が知った真相

「淋しい狩人」
未完の作品を残して行方不明になった小説家
12年が過ぎ、残された家族の元に、作品の続きを完成させるのは自分だ、という葉書が届く


やり切れない、割り切れない、哀しみの残る話ばかりなのですが
子供の人生を秒単位・分単位ではなく年単位で見ている両親に育てられた、という稔が年長者に対してきちんと対応するところは気持ち良く読めました

ところどころ時代ものと似通った雰囲気があります
人間は昔も今も変わらない、という事でしょうか




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