映画・湖のほとりで

2007年
イタリア

原題
LA RAGAZZA DEL LAGO
（湖のほとりの女の子）
The girl by the lake


北イタリア、のどかな山村にある湖のほとりで発見された美しい少女アンナの死体
争った形跡が無いことから顔見知りの犯行であると推測された
小さな村のこと
誰もが顔見知りで犯人はすぐ見つかるはずだったのだが…
中年の刑事が村を歩き関係者ひとりひとりの話を聞き地味な捜査を続け犯人を探し出していく
アンナの恋人、父親、血の繋がりの無い姉
湖の近くに住む知的障害のある男とその父親
アンナがベビーシッターをしたことのある元夫婦
誰もが心に問題や悩みを抱えており、疑おうとすれば誰もが怪しいということがわかってくる

刑事自身、妻が若年性痴呆症を患って入院しており、もう家族の顔も名前も覚えていないことを高校生の娘に語れない、という悩みを抱えている



村人たちの悲しみに向き合い
最後には娘と自分の悲しみに向き合う刑事
穏やかなラストを迎えます


特別な人間の殺人ではなく普通の隣人がやむなく犯してしまう殺人

ミステリーである以上に人の心の謎を追う上質の人間ドラマでした






原作がノルウェー出身の作家ということでノルウェーの風景に近い場所で撮影されたそうです

しかし
川と山の間を縫うように走る道路
杉木立の中の道路
車が左車線を走っていれば日本かしら、と思えるような場所も多くありヨーロッパに浸りきれなかったのが少し残念でした