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中山可穂「花伽藍」

2012年01月14日 | な行の作家

 

角川文庫

2010年5月 初版発行

解説・酒井順子

242頁

 

 

男女の結婚という制度から除外された恋愛の自由と歓び、孤独を描いた短編集

 

「鶴」

夏祭りの夜に始まった恋

しかし相手には夫がおり、亡くした子供によってつながっている夫婦を引き離すことは出来ない

女性同士では子供が出来ないことを強く思い知らされるラストはあまりにも残酷です

 

「七夕」

失恋した夜、終電を降り駅でタクシーを待っていて偶然再会した男性

妻が不在と聞いて男性の家に行くのだが、男性夫婦の生活の一部を見てふと我に帰る

再びやり直せるのかどうかわからないけれど頑張ってみようと思う

 

「花伽藍」

5年前に離婚した夫が突然訪ねてくる

事業に失敗し借金取りに追われているらしい

家族というものがなかった自分が3年間だけ一緒に暮らした元夫の家族との日々を思い出す

心地よい付き合いができたのは義姉だけで彼女はビアンだった

義姉が主人公に惹かれているような描写もありますが、なんとなく誤魔化しているよう

ラストは穏やかな未来を感じさせます

 

「偽アマント」

一緒に暮らしていた相手が出て行った

それと時を同じくして可愛がっていた白猫・アマントもいなくなる

いつか戻ってくるのではないか、と餌皿を置いて待っているのだが…

年齢差のあるカップルの気持ちの擦れ違いと昔の相手への思慕

 

 

「燦雨」

愛し合っている女性二人が一緒に暮らし老いていく

寝たきりになり介護が必要になった一人がパートナー以外に心を開いたのはオネエ言葉を使う男性ヘルパーだけだった

実の息子の介入も許さない二人の暮らし

二人はかねての願い通り同じ時に最後の瞬間を迎えるのだった

 

 

「花伽藍」と「燦雨」が良かったです

「花伽藍」は主人公がビアンではないので(将来はどうなのか不明ですが)理解しやすかったです

「燦雨」は自分の全てを相手に捧げる『愛』に感動しました

 

激しい恋愛、子孫を残すということ、老後を迎えるということ

様々なテーマを扱った短編集で久し振りに中山さんを楽しみました

 

 

 

 

 


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