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佐伯一麦「ノルゲ」

2010年07月17日 | さ行の作家
美術大学に留学する妻とともにノルウェーにやってきた日本人作家「おれ」が過ごす平穏な日々を描いています
筋立てに取り立てて起伏があるわけでもなく,特別な盛り上がりを見せるわけでもない

しかしノルウェーでの小春日和ともいえる平穏な日々が人生におけるほんの一時であり,どんなに大切な時間であるのか
「おれ」が日本にいる間に味わった数々の苦難が思い出の形で淡々と語られていることで,さらに深く胸に沁みてきます

おれは,ひとりごちた
おれは,ほくそ笑んだ
などの言い回しがよく出てきます
好きな表現です

本文中の
「おれは武満徹以外の現代音楽にはほとんど興味が無かった」
これには生唾ゴックンでした!
(品の無い表現でスミマセン)
そうそう!
日本の現代音楽を代表する作曲家は武満徹である!


妻が語る件
人生は経糸と緯糸の織りなすタペストリーなど,しばしば織物にたとえられるでしょ。でも『織り』と『編み』は違うって。『織り』は経と緯の二本で構成させるのに対して『編み』は一本の糸だけで平面を生み出す。一度進んだら後戻りできない『織り』と,もう一度ほどいて再構成することもできる『編み』。『織りの人生』というものがあるならば,『編みの人生』というものもあるんじゃないかしら


私,一時は,これで生計を立てようかと考えたくらい編み物が大好きです
失敗しても,ほどいてやりなおせるんですね
ゲージが合わなければ針の太さを変えればなんとかなるんですよね
自分に(適度に)甘い私の生き方にピッタシです



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