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荻原浩「砂の王国」

2014年03月21日 | あ行の作家

 

講談社文庫
2013年1月 第1刷発行
解説・斉藤環
上巻 477頁
下巻 477頁

 

ささいなきっかけから大手証券会社勤務からホームレスに転落した男・山崎
自分を追いやった世間へ逆襲すべく、段ボールハウスの設置場所を求めて辿り着いた公園で出会った占い師・錦織と美形のホームレス・仲村の3人で立ち上げた新興宗教団体「大地の会」
記憶喪失の仲村をカリスマに仕立て上げた会は思惑通りに発展していく
それどころか会員たちの熱狂はますます膨れ上がり山崎の予想をはるかに超えた劇的な成功を収める
しかし、成功すれば世間の注目を集めるのは必至
マスコミの手によって暴かれる仲村の出自やホームレス以前の暮らし、政治家の接触、「大地の会」を立ち上げた3人の不協和音
経済活動も加わり、完全に山崎の手に余るものとなってしまった団体はどこへ向かうのか

 

 

そもそも、山崎という男も普通一般の人間ではないようです
子供時代、母親の信仰に苦しめられた記憶を持っているし、会社で左遷された理由や妻が家を出た理由にも全く気づいていません
ホームレスまでは行き過ぎかもしれませんが、どこかでドロップアウトするのは確実だったと思います

何故、山崎たちの思惑通りに宗教団体が発展していったのか
よくわかりませんでした
どうやら、人間というものは常に何かを信じたがり、縋りつきたいものがあれば盲目的に突進してしまうものらしいです
カルトとは本当に恐ろしいものです
世の為人の為にこれをやっている、という嘘と偽善に簡単に騙されてしまう人間は後を絶ちません

 

結局「大地の会」からかなり乱暴なやり方で追放された山崎
一度は世間への逆襲に成功した彼は再び所持金わずかのホームレスに逆戻りとなります
再び『砂の王国』を作るべく動くのか
昔取った杵柄でホームレスの暮らしを続けるのか

物語の重苦しさもあって、すっきりとしない終わり方でした

 

自分の中でカルトというものに対する警告ランプが灯されたのは良かったかな

 

人間って、救われない生き物なんだなぁ…

 


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