新潮文庫
2012年2月 発行
解説・椎名誠
220頁
謎めくエピソードや懐かしい風景を色彩豊かに書き留めたユーモアいっぱいの自伝的エッセイです
主に少年時代の話しなのですが、実際に綴っているのは大人の五味太郎さんなので、大人のハイレベルな文章になっています
ところが「心」は少年のままです
不思議体験のような、五味少年の想像の世界のような話だったり
まだ産まれていないはずなのに、B29爆撃機の空襲の記憶の話だったり
思春期を迎えた少年の不安定な心模様だったり
娘の友だちのイタズラに、自分の同年代の頃を思い出し悪気はないんだ、と考えつつ「こら、いいかげんにしろ。あっちへいけ」で片付け、これだって悪気はないんだ、と収める
クスリと笑えるのが、文書が続いたところで、突然「嘘です」と入るところ
「オイ、コラ!」と思いながら、嘘だってなんだって、正直者の少年を許してしまいます
感受性豊かな子どもだった五味さん
世界中で愛される五味さんの絵本の源を垣間見たような
そう、読んだというより「見た」といったほうがしっくりくる一冊でした
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