4月16日、東京都中小企業知的財産シンポジウムに参加した。「中小企業の活路を拓く!逆境時代の羅針盤」と題して約1時間、東京大学大学院経済学研究科伊藤元重教授のお話を参考にしつつ所見を述べる。誤解の部分はご勘弁いただきたい。
経営者は鳥の目、虫の目更に魚の目を持つことを求められるという。魚の目とは、潮の流れの変化を察知する感覚である。
今日の産業界は、国際的競争にさらされ、製造業の海外への進出、中国の技術レベル向上等により大きく経営が厳しい方向に振られている。
中小企業の生き残り策として、教授は抽象的に次の5点を挙げられた。
1.海外に対応するよう頑張る
2.競争相手を負かす、勝ち組に残る
3.差別化する
4.支援制度を活用する
5.撤退する
この中で、スマイルカーブを話題に出された。
スマイルカーブとは、左右が中央よりあがったカーブであり、左が上流工程即ち企画とか開発、中央が製造、右が物流、サービスとなる。このカーブで付加価値あるいは利益率が高い分野は、中央以外左右の上流、下流である。
即ち、中央の製造機能は、インド、中国などにかなわない。機械でできるものは高性能の機械を保有すれば日本で作ったものとほぼ同じように低価格でできることになる。製造事業で競争しても勝てない。従って、多くの大企業が海外で生産している。
従って、国内の中小企業製造業としては、国内で生産に付帯する設備、試験機器、治工具などおよびその部品加工が主流となる。当然多品種少量生産を短納期で作ることに対応しなければならない。
伊藤教授は、下流のサービスで特長を出している東海バネ工業(株)を事例に挙げられた。多品種微量生産(平均受注ロット5個)を当社は特長としている。
直接顧客との取引を通して、顧客の現場に入り、顧客の問題解決に活路をみつけることがポイントである。ソリューションである。
ムゲン経営研究所 中小企業診断士 特級機械技能士 中小製造業の経営革新
田中 義二 tanaka@mgein.com