経営革新を応援します

中小製造業に対し、利益率向上、生産性向上、コスト改善、不良の再発防止、短納期実現、ISO、特許の有効活用など支援します。

樹脂(プラスチック)端材の整理整頓

2012年10月07日 09時27分24秒 | コスト改善

 大田区で事業承継を支援している企業が11月末大型の設備を更新されると言う。業種は、樹脂の主に板またはロール状の板の加工などである。

 一般に量産品を扱うプレス業者のロール材料加工以外、板ものを扱う板金加工にしても、当該企業のように樹脂板あるいは棒材など、製品単位で材料を調達できない場合あるいはコスト的に1枚単位で購入することが現実には多い。

 板材の場合は、段取り時間の節約、材料の歩留まり向上のため、同一材質、同一厚さの場合は、材料を有効に1回の段取り内で別の製品を作り貯めする「グループテクノロジー」が行われていることが多い。これは、NC装置のおかげだ。
 さて、同一材質、同一厚さの製品であっても、見込み生産による在庫は最小に留めたい。その結果、端材が発生する。そこで、端材を次回いかにに早く見つけ、加工に供するかが問われる。

 特に樹脂関係の材料費は原油の高騰で値上がり傾向にある。その背景から経営者はもとより、現場の作業者にも端材を捨てない習慣が付いている。問題は、端材の置き場だ。多くの中小企業の同業者は、端材が雑然とおかれ、はじめ保管場所が決まっていてもいっぱいになり、ついには空いているところにおくことになってします。その結果、端材が混在し、探すのがおっくうになり、端材があるのに新に材料発注を繰り返すこととなる。

 端材をうまく利用すれば、材料費が浮き、即利益に繋がる。パソコンによる端材在庫管理ができなくても、改めて本気になって整理整頓すれば、次から端材を探しやすくなり、また置き場所も確保できよう。

 近い将来当該企業は事業承継がなされる予定であるが、設備更新のこの機会に是非まずは端材の整理整頓を実行されるよう期待する。

ムゲン経営研究所 中小企業診断士 特級機械技能士 中小製造業の経営革新
田中 義二 tanaka@mgein.com 電話 045-365-3020


VE手法で変革を

2009年12月05日 08時47分34秒 | コスト改善

 1990年代初め、米国からビジネスプロセス・リエンジニアリングとかブレークスルー思考などが紹介されたが、国内においてはあまり注目されなかった。これらの手法は、いずれも抜本的改革、変革、本質追究の手法である。その頃の雰囲気としては、今のままでも何とかなると楽観的であったのかも知れない。

 さて、今日の中小製造業の置かれている経営環境がどうか。大手企業の海外現地化、製品輸入の増加などで、従来の延長線上には、生き延びるネタはないと断言しても良いのではないか。抜本的な変革が求められる。

 そこで、10年近くお蔵にしまっておいた一太郎で作ったままのVE(価値工学、VA価値分析)の原稿を活用し始めた。先日は、部品製造業(社員数35名)にたいし、雇用調整助成金と教育訓練費を活用し、2日間の社内研修の講師をさせていただいた。また、昨日12月4日には、雇用・能力開発機構の主催したVE概要3時間コールを担当させていただいた。

 なぜ、今VEか。VEは、三現主義と言われる「現物、現実、現場」を意識させない。今の作業、構成されている部品の機能に対し、その目的を遡り上流の目的に注目し代替案を探す手法である。
 目的は、機能として表現できる。即ち、「○○を△△する」と単純に名詞と動詞で表現する。この機能に対して代替案をだす。もの、作業を見ながらアイデアを出すのではない。かえって、ものなどを見て代替案を出すのは弊害となる。

 アイデア出しには、漫然と1人で考えているのでは浮かんでこない。ブレーンストーミングで批判厳禁を徹底させたり、NM法などのアイデア発想法を活用することをお奨めする。

 今は、とにかく、中小下請企業が受注することは容易ではない。新規顧客開拓も難しい。雇用調整助成金、教育訓練支援制度を活用し、社員研修をされると共にVE手法などを使い、抜本的な変革を実行されたい。

 VE研修については、雇用・能力開発機構神奈川センター(電話:045-363-5742)で継続して研修を企画されている。貴社あるいは貴社近辺で合同研修を企画された場合、出張研修もお請けします。2日間(12時間)コースをお奨めします。

ムゲン経営研究所 VEリーダー、中小企業診断士、特級機械技能士 
田中 義二 tanaka@mgein.com


支出は計画的に

2009年09月27日 18時44分48秒 | コスト改善

 日経新聞9月26日、日経プラスワンのページに家計管理のアンケート結果がでていた。家計管理をどのように行っているかのアンケートに興味を感じた。

①「収入-支出=貯蓄」という管理は1030件中、42%。
②「収入-貯蓄=支出」が33%。
③どちらとも言えないが25%。
さて、管理をするとすればとれが良いのか。

 ①の考え方では、まず貯蓄は難しいと考えた方が当たっているであろう。②で管理していれば、貯蓄は目標をクリアーしやすい。収入が少なければ少ないなりに節約し貯蓄が達成しやすい。
と言うもののこのご時世では、支出をもうこれ以上減らせられないと言うのが現実であろう。

 さて、企業経営における管理はどのような考え方が望ましいのであろうか。②の考え方を適用したい。即ち、「売上-利益=コスト」。
即ち、利益目標があり、その目標を達成するための売上目標を作り、コスト目標がでてくると言うことになる。

 意識的に、成り行きに任せずコスト管理を行わないと、結果的に大きな赤字となってしまいやすい。

ムゲン経営研究所 中小企業診断士 特級機械技能士 中小製造業の経営革新
田中 義二 tanaka@mgein.com


金型の管理費は請求していますか

2009年04月03日 19時31分49秒 | コスト改善

 日経ビジネスによると下請いじめが昨年度の9倍以上に膨らんでいるという。国は大企業と中小企業の利益率の差がこのところ拡大していることから不適正な取引を気にかけ、昨年4月各都道府県に下請かけ込み寺を開設した。

 本日、大田区のプラスチック成形企業に対し、親企業からの工程監査への対応を行っていた折り、親企業から預かっている金型の保管の問題が顕在化した。加工のない金型を何年も沢山保管しているという。保管していると、場所代も、金型の交換の非効率にも、維持にも費用がかかる。

 下請法(下請代金支払遅延等防止法)第4条(親事業者の遵守事項)第2項第3号によれば、親事業者が長期間下請事業者に無償で金型を保管させることは、不当な経済上の利益の提供要請に当たり、下請法の違反となるおそれがある。

 親事業者は、廃棄指示、あるいは下請事業者と相談し、必要ならば保管費用を出して管理してもらうことを期待する。

 下請事業者としては、現状の困り具合を親事業者に相談する姿勢で交渉されることを期待する。その場合、第3者に依頼することも方法の一つとしていかがであろうか。

ムゲン経営研究所 中小企業診断士 中小製造業の経営革新 田中 義二
tanaka@mgein.com

 


価格引き下げ圧力強まる

2008年06月21日 18時38分34秒 | コスト改善

 親企業との取引に係わる下請法について先月2回紹介した。6月26日私の所属するコンサル神奈川グループ(CKG)主催のオープンセミナーで下請法に関連するセミナーの講師をさせていただく。題して、「取引の適正化を願い下請かけこみ寺紹介」。

 

 下請法は昭和31年制定された。もう50年以上前だ。昨年度の公正取引委員会の是正勧告は過去30年で最多という。親企業も原材料の値上げ、燃料費の高騰などで厳しい状況である。

 

 新聞記事によれば、トヨタが新日鐵と30%材料費の値上げで契約したという。それが家電業界、他の業界に波及しよう。トヨタは、現在販売中の全車種に原価低減を行うという(08年5月31日日経新聞記事)。

 

 原価低減を図り販売価格を現状維持する努力をしようが、値下げ要求は下請企業にくるのは必定であろう。現在生産しているものは、金型もできている、造り方も決まっている。材質変更がそう簡単に認められないであろう。下請企業に改善の余地がないと言った方が現実的である。

 

 親企業には不適正な取引をしないよう期待するが、受注する下請企業も抜け駆けせずに言うべき所は言わなければならない。違反を申し立てた場合の報復措置は禁止されているが、気にあることは事実であろう。まず、第三者機関である本年4月から公的機関に設立された「下請かけこみ寺」に相談されることをお奨めする。
(本部:(財)全国中小企業取引振興協会 電話 03-5541-6655)

 

ムゲン経営研究所 中小企業診断士 中小製造業の経営革新 田中 義二
tanaka@mgein.com


経営者の節税対策

2008年04月18日 09時25分30秒 | コスト改善

 4月15日、結城診断士とT社に4ヶ月間のコンサルティング提案を行った。2ヶ月間の仮説検証、経営課題顕在化、改善策提示、後2ヶ月間でプロジェクト活動による解決支援という提案であった。解決テーマは、新規顧客開拓による「売上向上」である。

 

 一通り説明、質疑応答の後、金額の話しになったが、現状提示した金額では支払いできない。経営者の予測にたいし大きな隔たりがあったようである。当方としては、提示した金額の背景となる支援回数あるいは単価をそれでは下げますとは言えない。アウトプットの品質を悪くしかねない。両者安い価格で落ち着くと、言い訳が出やすい、結果にまあいいか、しょうがないと言うことになりやすい。

 日頃、リスクをお互い分かち合うシェアする方が良い結果が得られると思っている。従って提示した金額の侭とさせていただいた。

 

 経営者曰く。「それでは、6月が今期の決算月であるから、業績が良かったらこの金額でお願いしましょう。もうしばらく結論を待って欲しい」と言うことで落ち着いた。即ち体質強化、経営課題解決に費用を発生させ、節税しようというお考えであった。

 このように企業の業績が黒字になり、節税対策と体質強化に投資していただければ、ありがたい。企業の将来を考えて体質強化を図っていただきたい。

 

ムゲン経営研究所 中小企業診断士 中小製造業の経営革新 田中 義二
tanaka@mgein.com


一桁上の改善、目の付け所(3)

2007年05月20日 20時01分43秒 | コスト改善

  改善の目の付け所は、一般に今の仕事のむり、むだ、むらに注目します。よく三現主義といわれる現場、現実、現物に注目する方法です。この考え方は、現状を肯定することが前提になります。

 

 今求められるのは、一端三現主義を預け、どうあるべきかという理想を追求することです。そのためには、今の仕事は何のためにやっているのかと疑問を持って下さい。ある目的を達成するための手段の一つをやっていることになります。

 

 今やっている仕事の目的を上流に遡り、その上流の目的を実現する手段を改めて考えて下さい。上流の目的の手段を変更することで、今の仕事そのものをゼロにすることも可能になります。しばらく前、ビジネスプロセス・リ・エンジニアリングということがはやりましたが、プロセス(工程)そのものをなくし、大幅な改善の実現が期待されます。

 

ムゲン経営研究所 中小企業診断士 田中 義二
tanaka@mgein.com


契約変更に経費節減のネタ在り

2007年05月05日 10時29分14秒 | コスト改善

 携帯電話の契約変更による基本料金の節減、インターネット接続業者変更による基本料金の節減など、今までの契約を見直すと経費節減のネタが見つかる。

 というよりも、既に何を替えれば経費節減がどの位できるか分かっていることが多い。しかし以外に、毎日のその他の仕事の忙しさでもって、契約変更の手続きが後回しになってしまう。

 

 現実に、私も携帯電話の基本料金のシニア割引、ケーブルテレビプロバイダーとISDN契約を光電話の使えるプロバイダーに替えれば基本料金が安くなるのを知っていて、まだ替えようとしていない。

 

 各社、新しい方法により、性能も料金も今まで以上のサービスを提供している。1年前に契約した料金は、別の業者を探せばもっと安い業者も見つかるし、同じ契約先の新サービスに鞍替えしても安くなることがある。

 

 この契約を替えることへの障害は、手続きが面倒、分からない、込んでいて時間がかかるなどであろう。契約者は、この障害を克服して、契約更改をすること。またサービス提供者は、これらの障害に対し、他社に勝るサービスを提供していただきたい。

 

ムゲン経営研究所 中小企業診断士 田中 義二
mgein@sindan-k.com


仕入れ商品の価格交渉

2007年02月21日 21時57分37秒 | コスト改善

本日支援先の卸売企業で大手メーカに対し仕入れ価格の交渉を行った。回答は3月9日以内に頂けるという。

 

仕入れ企業はどのように値下げを要求するか、何に対して行えばよいか。悩むところであろう。

高い買い物をしているか、安い買い物をしているか分かりにくい。特に発売時期が異なっていたり、購入時期が異なっていると同じ性能の商品でも型番が違ったりすると、性能の比較と仕入れ価格の比較を意識して調べないと分からない。

ただ値下げをお願いしても応じてくれるはずがない。そこで交渉に当たってこちら側は理論武装が必要になってくる。

 

まず、ねらい所は価格の高い商品、沢山仕入れる商品に対し、性能の同じまたは類似の商品の仕入れ価格比較をすることである。メーカの設計、生産方法などによって原価が高くなりその結果価格が高いのは、メーカーの勝手であり、仕入れ側にとっては原則性能が同じならば、同じ価格と主張できる。従って、ねらい所は、同じまたは類似製品を比較し、高い方の商品の値下げを要求すればよい。

さて、本件、大手メーカが現状よりいくら値下げしてくれるか楽しみである。

 

ムゲン経営研究所 中小企業診断士 田中 義二
mgein@sindan-k.com

 

 


過剰精度見直しによるコストダウン活動

2006年12月03日 13時24分43秒 | コスト改善

製品はいくつかの部品が組み合わさって製品としての性能、機能を果たす。一般的に設計者は、1と2で構成される部品群の精度を保証しようとすると、2つの部品の交差の足し算をする。2つの交差をある範囲に入れようとする場合、構成される部品の交差を厳しくする。いくつも部品が構成される場合は、その分、どんどん部品単体の交差が厳しくなってくる。

この考え方の本質は、求める値を中心としてばらつくという概念を持ってない、。管理されている工程では、平均値の周りに山が描かれるように正規分布する。長方形に部品寸法がばらつくのではない。従って、沢山の部品で構成されるほど、公差からはずれる組み合わせの起きる確率は、どんどん小さくなっていく。交差をはずれる部品が、1000個中3個とすれば、2つの悪い部品が組み合わさる確率は100万個に9個しか起きない。

図で示す1と2の部品の交差を合計すると、安全を取り、プラスマイナス7ミリと解釈する。しかし、統計的には、プラスマイナス5ミリでよいことになる。

これは、統計的品質管理では、「分散の加法性」という。ピタゴラスの定理と同じである。

zの2乗=xの2乗*yの2乗を思い出していただきたい。この式を使えば、zの複数の部品を組み合わせたときの公差を保証しようと思えば、式の展開で構成される部品公差を計算で求められる。

 

絶対公差の足し算でなく、わずかな組み合わせの誤差の発生が許される場合は、確率による公差配分をおすすめする。工程において、悪いものが簡単に見つかるなど、たまにしか起きない公差外を排除できる仕組みを作られれば是非チャレンジしていただきたい。工程削減によるコストダウンが実現する。

ムゲン経営研究所 田中義二