大田区で事業承継を支援している企業が11月末大型の設備を更新されると言う。業種は、樹脂の主に板またはロール状の板の加工などである。
一般に量産品を扱うプレス業者のロール材料加工以外、板ものを扱う板金加工にしても、当該企業のように樹脂板あるいは棒材など、製品単位で材料を調達できない場合あるいはコスト的に1枚単位で購入することが現実には多い。
板材の場合は、段取り時間の節約、材料の歩留まり向上のため、同一材質、同一厚さの場合は、材料を有効に1回の段取り内で別の製品を作り貯めする「グループテクノロジー」が行われていることが多い。これは、NC装置のおかげだ。
さて、同一材質、同一厚さの製品であっても、見込み生産による在庫は最小に留めたい。その結果、端材が発生する。そこで、端材を次回いかにに早く見つけ、加工に供するかが問われる。
特に樹脂関係の材料費は原油の高騰で値上がり傾向にある。その背景から経営者はもとより、現場の作業者にも端材を捨てない習慣が付いている。問題は、端材の置き場だ。多くの中小企業の同業者は、端材が雑然とおかれ、はじめ保管場所が決まっていてもいっぱいになり、ついには空いているところにおくことになってします。その結果、端材が混在し、探すのがおっくうになり、端材があるのに新に材料発注を繰り返すこととなる。
端材をうまく利用すれば、材料費が浮き、即利益に繋がる。パソコンによる端材在庫管理ができなくても、改めて本気になって整理整頓すれば、次から端材を探しやすくなり、また置き場所も確保できよう。
近い将来当該企業は事業承継がなされる予定であるが、設備更新のこの機会に是非まずは端材の整理整頓を実行されるよう期待する。
ムゲン経営研究所 中小企業診断士 特級機械技能士 中小製造業の経営革新
田中 義二 tanaka@mgein.com 電話 045-365-3020