天城高原ベゴニアガーデンにて 8/22日撮影
発明協会その他公的機関が主催して、定期的に中小企業向け知的財産(特許)のセミナーが行われている。ほとんで無料で内容のあるセミナーである。先日、8月28日、神奈川県立川崎図書館の主催で、「特許文献の読解法と出願書類作成の基礎」と題して、神奈川県特許情報アドバイザーの渡邉巧人さんのセミナーが行われた。
私は、特許を経営に活かすことを専門分野としているが、意識的に知識を陳腐化させないため、積極的に受講している。
改めて、中小企業の「特許出願の目的は何ですか」と問いたい。特許情報の検索の仕方、出願書類の作成の仕方など、いろいろセミナーの支援は多く、中小企業経営者も関心を持っていただけるようになったが、出願の目的は何か、改めて問いたい。
私の主張は、経営に活かすことである。多くの出願者(経営者)も目的は同じと思うが、多くは出願をしただけに終わっているのではないか。これでは経営に活かされているとは言えない。審査請求し、権利化し、自社の製品・サービスへの参入障壁を強くすることが第1で、その他特許を譲渡することも考えられる。
このような、本来の目的実現に向けて進めていただきたいが、これは費用と特許の質を考えなければならない。以外と、権利化までの費用は認識が低いと推察される。
概算を紹介すると、特許庁への費用は、出願1.5万円、審査請求17万円、特許料3千円/年、ここまでくるのに多額の弁理士費用が発生する。アンケートの平均値を参考にすれば、出願手数料30万円、成功報酬10万円、意見書7万円、補正書7万円、拒絶査定審査料19万円、成功報酬17万円。最低、1件を権利化し維持しようと思えば、110万円くらいかかることになる。
この110万円を覚悟して権利化するだけの発明かどうか検討し、特許出願を決意することが必要である。出願しただけでは、経営に役立てる事には結びつかないのではないか。
ムゲン経営研究所 中小企業診断士 特級機械技能士 中小製造業の経営革新
tanaka@mgein.com 田中 義二