銀の人魚の海

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重力ピエロ~最弱の家族?

2009-06-07 | 2009年鑑賞新作映画
今年は、まだ日本映画を1本も見ていないので、何かと考え
伊坂の小説、読んだこともないし、映画化のも?で、
知識なくミステリーらしいので見ることにした。

原作に忠実だとしたらリアリティのない家族の映画だ。
どこにもないような感覚と言ってもいい。

邦画をほぼ見ていない私として映画のできは、普通か・・
この内容にしては穏やかでふんわりとまとめていた。

いろいろ考えるところのある映画だったので長くなる。

3分の一くらいで先が読め、後半の音楽が
M・ナイマンに似ていいて、兄弟、一人は創られたで
SF遺伝子系でもある「ガタカ」を連想した。

ある精神科医は「家族とは密着しすぎても、疎遠でもよくない」というような
事を書いていた。
これは家族の絆の映画としてCMしているが・・

100の家族があれば、それぞれ違っていい。正解はないと思う。

この物語、まず夫婦の出会いからしてあるの?という感じ。
役所勤務のどうってことない男性が、
モデルと冬の夕方、雪の道で出会い遭難しかけるという
できごと、普通ないでしょう。

新潟に3年すんで似たような経験を車でしたが、すぐに通りがかった
人が押して助けてくれた。
地元の人なら、ああいう停まり方はしない。
夫、急ブレーキスピンで変だよ。
奇妙な出逢いから始まる「ふつうはない」という物語だ。

モデルの妻(鈴木)だって、なんで車で一人であそこに?謎。

あっと言う間に夫婦になり子供ができベビーカーなので1歳半位。

きゅうり、キュキュキュ、キャベツ、きゃきゃきゃ、と歌いながら
昼間、30人!のレイプ事件も、ちょっと笑ってしまうような数で
妻が一人目ではないとしたら、まず、後ろを注意、カギを閉めたらと思う。

警察も1カット出るだけ。
仙台って警察いないのか(^_^)と感じてしまう。
白昼夢のような・・

妊娠に関して。
当時、町の医師に診てもらい妊娠確定。でも夫の子ではない?
ずっと夫とSEXなし、レイプだけ?
妊娠日には幅がある。

夫がすぐ、まるでレイプの子のように「産もう」というセリフも
普通なら、帰って夫婦で話してからでしょう。
誰の子か?が難しいことはよくある。

夫は後日「神の声がした、産め」という。
このあたりから、夫を中心とした新興宗教のような家族観を
感じてきた。

妻の気持ちをよく聞き、話し納得して産むだろう。
大変な決意が必要なのに、まるで、どうってことのないような
妊娠から出産へ。
夫はニコニコして不気味に思えた。
そういえば、あの出会いの遭難シーンでもニコニコしていた。

そんな不可解な夫婦と家族は普通に生きていくが
弟は学校でレイプから生まれたといわれたり、近所でも
噂になっている様子をみると、まるで村八分のようで
これでも現代なの?
他に29人も被害者がいるのにプライバシーもない世界なのか・・

リアリティがない。
学校の教師も出ないし、絵のコンクールで妻が噂を言う主婦を
殴るシーンもおかしい。

そして突然の妻の事故?自殺?ここで警察が1カット。
もしレイプのトラウマで死ぬなら、子供が小さいうちに3人で心中でしょう。
現に事情は違うが友人の姉がそうだった。

中学生、思春期になった彼らがいるのに何故死を・・
ここは事故と考えたいが自殺をにおわせているのは何故?

母の死後、弟が高校の窓から落下するカットがラストへ繋がる。

この弟に父は、まるで殴れよと言うようなバットをプレゼントする。

兄は、大学院までいき真面目にいるのに、弟は軽いバイトだけ?

裕福でもないのに兄もバイトもしていないような、
理系でお金かかるでしょうに・・
生活感ゼロ。

そんな時期に、父は弟がレイプで生まれたを告白するに唖然!
成人してからと言ったが、真実を言う必要があるのか?

このシーンで多数の著書がある鎌田實医師の生い立ちを想った。

鎌田医師は孤児だが、大事に育ててくれ実父母だとずっと思ってきた。
結婚するとき、彼の妻には本当の事を父がこっそり話す。
医師になりパスポートをとった時、初めて自分の親ではないことを知り
妻に話す。

妻は「父から聞き知っていた。でも、知ったことを父には(母は病死)あえて
言わないでおこうと」彼もそうした。

父は死ぬまで、息子が自分が実の父ではないことを知らずいたこと、
晩年はいっしょに暮らし平穏に亡くなる。
皆が秘密を守って生きた。

凄いなと思う。

この映画では相手の立場を考える光景は全くない。
まだ10代の弟にいきなり言うなんて、どういう頭の父?

父はピエロなのか?

放火事件に関しても警察は出ず兄弟も何も言わないが
真実がわかった時、兄が涙するシーンは気持として、ここは普通か。
でもあの計画は実行できそうもない、失敗しそうな予感がしたが・・

兄は理系の頭を持った普通の男性だと思う。

それに比べ、弟は出生の秘密でのトラウマから
何らかの精神疾患、障害を背負っているからこそ放火への道なのに
誰もそれを見抜けない。
カウンセラーも出ない。

AV雑誌を足でけり落とす行為を見ると
弟は男性の性嫌悪からの女性嫌いか?
兄に「お前、女嫌いなの?」と聞かれるが
弟は、中性的に生きていかざるえない心をあの噂の時期から
背負っているのだろう。
とてつもない重さだ。

ガンジーの難解な言葉を語り写真を張る彼の部屋は
青年の部屋の感じは、あまりしない。

良い子を演じてきた屈折した心があの部屋から見えてくる。
父は何も気がつかないのだろうか。

復讐より、まず彼の治療が必要だった。

ラスト、サーカスのピエロを見る4人の一見楽しそうな家族カット。

父はどういう思いで育てたのだろう?
ピエロのように父を演じていたのだろうか?
笑顔とは裏腹な不可解な家族の姿を見た。

役者。
岡田以外はいい。
特に加瀬亮は、実年齢より10歳下を演じられた。
年齢不詳的俳優だから上手い。
英語の単語解説シーンも、彼が海外生活が長い帰国子女だからか、
似あっていた。

鈴木京香を久々見た。今頃どこかで真田君と?

岡田は甘いマスク、すらっとした容姿で人気?
小賢しいイケメンタイプで好みではないが、この役は合っていた。

加瀬が「ホンを読みこういう兄弟っているのかな?」とあったが
確かに、こういう兄弟、ほぼいないでしょう。

携帯で「なに?」なんて、まるで恋人同士みたい。
ラストの蜂蜜のシーンも。(「みつばちのささやき」を連想)

弟は男性嫌悪からゲイ的な要素を持ち、兄と一緒でないと
生きられないとなったのか。

ある意味では兄弟の相姦のような物語でもある。
兄と妹なら、わかるけれど・・

長くなった。
小説が同じ風なら幼児性、中途半端な感じがある。
ここから、もっと飛んでしまえば、また違うシュールさもでるだろう。
そうはならない。

普通らしさの中の異常さ。そこが魅力なのかもしれない。

いつか立ち読みをしてみよう。

昨日、ガンジーの事が新聞に出ていたし、DNAは足利事件ともかぶり
今、を想う映画となった。


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