まてぃの徒然映画+雑記

中華系アジア映画が好きで、映画の感想メインです。
たまにライヴや本の感想、中小企業診断士活動もアップします。

臨床真理 柚月裕子著

2016-12-03 21:59:09 | 読んだ本

2008年の第7回「このミステリーがすごい!」大賞受賞作。

知的障碍者施設至誠学園で起きた入所者の少女、水野彩の自殺事件。施設で彩と仲が良かった藤木司は彩が搬送される救急車の中で暴れて病院に入院させられる。司の担当になったのは新米臨床心理士の佐久間美帆。美帆は司の治療の手掛かりを得ようと、彩の自殺の詳細を調べ始める。

他人が話した言葉の感情が色で見えるという司の特殊能力、そしてかつての同級生で現在は警察にいる栗原久志の協力を得ながら、彩の死の真相を調査する美帆。そこには知的障碍者に対する差別や福祉利権が絡んでいた。。。

謎かけやミステリー的なネタが案外すぐにバレるのは、意図的にやっているのかそれとも著者の経験が浅い故なのか判断できませんが、もう少し難しく気づかないようにしてもらいたい、と思います。読み進める楽しみというか意外な驚きを楽しみにしたいので、薄々分かってしまうと「あーやっぱり」みたいな感じで少々拍子抜け。

今作の背景となった障碍者差別や福祉利権といった課題を著者がどう捉えているか、も少し気になります。著者の日常の問題意識が反映されているのであれば、そうした課題の認知や解決の一助としてぜひエンタメの世界でもこうしたテーマを継続してもらいたいですね。

カウンセラーや精神科医の描写は、自分にも少し馴染みがあるだけに興味深いものがありました。福祉施設の職員や入院病棟の看護師なんかは全く知らないのでこんなものなのかな、という感じなのですが、こと患者の治療となると病名を決める医師の絶大な権力をひしひしと感じます。人の生命を手の内に握っているだけに、特別な職業倫理が必要ですが、頭の良いサイコパスならいろんなチェックもかいくぐってしまう、と思うとちょっと恐怖を覚えます。
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