東京ナイト

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「すごい本屋!」

2009-08-06 00:03:24 | 
本は「すごい本屋!」(朝日新聞出版)。

和歌山県日高川町の人口200人の集落にある小さな本屋さん「イハラ・ハートショップ」の日常を描いた本です。著者の井原万見子さんはそのお店の店長さん。彼女の伯父さんが、かつて一軒も本屋さんがなかったこの村に作った本屋さんを1995年に受け継いだところから物語は始まります。



著者の書店経験は、伯父さんのお店を手伝ったことだけ。右も左も分からない中、このままではやせ細っていく一方の地域を支える目的もあり、本屋を受け継ぎました。お店には本だけでなく日用品も置いて、遠くのスーパーまで買いにいけないお年寄りの役に立っています。

最初は、お店の中でお客さんを待つばかりだった彼女ですが、次第に地域の学校への訪問販売、絵本の読み聞かせなどの活動を始め、さらには取次や出版社とのつながりも生まれてきます。
彼女のすごいのは、そうした「縁」をとても大切にすること。ぐうぜん生まれた縁から、次々と新しい出会いや企画が派生していく様子は本当に感動的です。

そうした縁とそれを生かす努力が、山間の小さな本屋さんで、写真家・今森光彦さんや「かいけつゾロリ」の著者のトークショー、絵本の原画展など、東京の本屋さんでもなかなか実現が難しいイベントを実現させるのです。
彼女のひたむきな気持ちをポプラ社などの出版社や取次、マスコミなども自然と応援していきます。そのことは地域の子どもたちの喜ぶ顔につながっていきます。「何もない村」だった地域が一軒の本屋さんによって活性化していくのです。

以前、この辺りをバスで通った事があります。山がちの本当に平地の少ない地域でした。
その地で、こんなに生き生きと活動している本屋さんがあることは本当に感動的です。この本を読んでいて、思わず泣きそうになった事が何度かありました。
僕は本が好きで、本に携わる仕事をしていますが、彼女ほどきちんと本に向き合って仕事をしている自信はまるでありません。そういった意味で、もう一度、自分の仕事について考えさせる一冊です。まさに「すごい本屋!」です。本当にオススメの一冊です!

イハラ・ハートショップのHPはこちら
http://www5.ocn.ne.jp/~i-heart/

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