東京ナイト

旅行、食事、映画にお芝居、日々のささやかな幸せを記録します

ヤン・シュヴァンクマイエル

2009-04-29 23:51:38 | 映画
今日は高田馬場で用事があったので、それが済んだあと久し振りに早稲田松竹で映画。
チェコを代表するアート・アニメーション作家、ヤン・シュヴァンクマイエルの短編、「シュヴァンクマイエル短編集 対話の可能性」と初めての長編映画「ALICE」の二本立てです。

まずは短編から。1967年から1989年までのあいだに製作された8作品で、実写、粘土、アニメーション、さまざまな手法で描かれたかなりシュールで残酷で不気味な物語が続きます。下の写真は『闇・光・闇』という作品。粘土を使って手、目玉、足、、、とパーツが狭い部屋に集まってきてだんだん人間になるまでが描かれた8分間の作品。気持ち悪いですけど面白いです。なんと言うか声に出しては笑えないですがユーモアがあって、でも気持ち悪いという、なんともいえない味が出ています。



「ALICE」は「不思議の国のアリス」をモチーフに作られた88年の作品。まさにこの監督好みのおかしな世界がこれでもかと展開していきます。もう少し実写のアリスがかわいい方が良かったですが、こういう世界にいるのがこの監督は大好きなんだろうなという不思議な作品です。



それにしてもチェコは不思議な国です。アニメーション映画をたくさん作っていますがどれも変わった作風ばかり。カレル・ゼマンとか大好きです。日本の漫画にたとえれば「ガロ」系の作品でしょうか。たまに見ると面白い不思議な作品です。
でも今日の早稲田松竹、お客さんが多かったです。特に若い人。なんだか自分の学生時代を思い出しました。

三越湯@白金

2009-04-28 23:03:55 | 銭湯
銭湯は白金の三越湯。



白金といっても北里大学の並びにある昔ながらの商店街。畳屋さんとかお豆腐屋さんとかの街並みを見て思い出したけど、10年位前、この辺りに仕事で何ヶ月も通い詰めていた。いつも徹夜になる仕事で、当時は大変だったけど今となっては良い思い出。その時は銭湯に興味がなかったので入らなかったけど、渋い立派な銭湯があることは覚えていた。

で、その三越湯。数年前に建て替え、今では立派なビル銭。上は高級マンション、入り口もまるで料亭みたいな佇まい。
中に入ると、いきなりバーカウンター。女将さん、というかこちらのママさんがビールを飲む常連客と四方山話。お化粧もばっちり、おきれいです。

脱衣所はチョイ狭いけど、浴室はかなり広い。サウナに露天風のお風呂も別にあって足湯まである設備系銭湯。
露天風(屋内なんだけど、扉を開けて奥に進むとある、まさに露天風風呂)も落ち着くし、なかなか気持ちが良い。でも建て替える前のこの銭湯にも一度は入っておけばよかったよ。ホントにもったいないことをした。

上がって脱衣所に行くと、立派な彫り物をしたその筋の方が携帯で長電話。どうやら金策のため車を手放そうとしているみたい。込み入った話だったけど彼らもホント大変そうだったよ・・・。

通りに出るといい雰囲気のバーを発見。今度行かなくちゃ。

味芳斎 本店

2009-04-28 00:57:17 | グルメ
今日のランチは御成門の味芳斎 本店。
むかし会社がこの辺りにあったのでよく行ったが、引っ越してからはご無沙汰。5年振り位の訪問となった。

自転車だったので久し振りに食べに行ってみた。
食べたのはこの店の名物「牛肉丼」(1000円)。



猛烈に辛くて癖になるこの牛肉丼を食べたくて昔は週に一度は通っていた。でも、久し振りに食べた今日はあんまり辛くない。なんだか普通に食べられて拍子抜け。うーむ。もっと「ガツン」と来る辛さだった気がしたけどな。

で、このお店のもうひとつの名物はお店のご主人。頑固なエロ爺さんで、店中にヌードポスターを張りめぐらし、がみがみいろんな事に文句をつけていた。
でも今日会った爺さんはすっかり元気がなくなっていた。ちょっと前まで入院していたとのことで、そのせいかずいぶん年をとった印象。店の奥にちょこんと座り、常連さんと話していたけどかつての元気のよさは影を潜めていた。ヌードポスターも一掃されてしまっていたし・・・。

なんだか少しさびしい。

天龍泉@渋谷区本町

2009-04-27 07:44:52 | 銭湯
銭湯は渋谷区本町の天龍泉。
駅で言うと幡ヶ谷みたいだけど六号通り商店街の外れの辺り。



で、設備の充実した人気銭湯。ジェットバスとかいろいろあるせいかお客さんがたくさん。待合室のテレビがデカイ。
でも、あんまり書くことないな。設備も少し古くなっているのか、あんまり清潔な感じじゃなかった。こういう設備系銭湯は更新しなくちゃ飽きられちゃうだろうからなかなか大変そう。なんだかゆっくりお湯に浸かる、という感じじゃなくて居心地が悪かった。まあなかなかお客も入っているから、僕の好みの問題だろうけど・・・。

Hamburg Will@新宿御苑

2009-04-27 07:32:31 | グルメ
昨日は自転車で都内をぶらぶら。絶好のサイクリング日和だったので気持ちよかった。
で、たまたま見つけたお店が新宿御苑側の「Hamburg Will」。



岩手県最高級銘柄豚『岩中豚』を使用したハンバーグ専門店との事。裏通りの小さなお店なんだけど店内はお客さんでいっぱい。
単品でも頼めるけど今回はコースで。前菜とハンバーグとデザートがいろいろ選べて3200円。



ハンバーグが美味しかった。ソースは3種類から選べるんだけど、基本のデミグラスにしてハンバーグは軟骨をチョイス。デミグラスにしたのが正解だったみたい。ジューシーで油っぽくなくて良かった。で、何よりお店に活気があるのが美味しさにプラスに働いている。サービスの人も忙しいのによく気がついて終始笑顔だった。

という訳で新宿御苑の裏通りにある穴場レストランを発見した良い日だった。

「書店風雲録」

2009-04-25 13:17:30 | 
本は「書店風雲録」田口久美子(本の雑誌社)



元リブロの店長だった人が、他のスタッフなどの証言を元に80年代90年代と個性派書店として輝いていたリブロの「時代」を記録している。

1975年、池袋西武に堤清二会長の肝煎りで開店したリブロ。優等生的な紀伊国屋書店に対し、思想書や美術書を積極的に手がけたり、講演会を仕掛けたり、棚効率を無視した曲線の書棚を置いたりと、本が大好きな個性的な書店員たちが、好きな本を置き、そしてそれに応じて本も売れたという幸福な時代の物語。

なんと言うか、これが本来の「本を売る」という正しい姿の気がするよ。書店の店員さんが、書棚の本の内容を把握して、自分の好きな本は積極的に仕掛けて売っていく。そうした人の気持ちが形になった売り場が幸福な売り場なんだと思う。

今、書店さんの状況はとても厳しい。まあ出版業界自体が青色吐息だけど。
リブロもすっかり暗い感じのお店になっちゃったし、この本の著者が今働いているジュンク堂も大日本印刷の傘下に入るなど順調とはいえないみたい。

という訳で、本はamazonじゃなくてなるべく本屋さんで買おうと改めて思いました。

玉菊湯@白金

2009-04-25 13:02:42 | 銭湯
銭湯は玉菊湯。
港区白金にあるビル銭。



白金といっても川沿いの庶民的な商店街に位置し、入り口付近も利用者の自転車でいっぱい。僕も自転車を停めさせてもらう。

ビル銭といっても高級そうなマンションの1階にあるこの銭湯、演出もされていてオリジナルの暖簾が良い感じ。
フロント式。最初、受付の人がいなかったんだけど、奥から出てきたのは白衣を着た方。名札を見ると薬局の人。府中の藤の湯はビジネスホテルと兼務だったけど、ここは薬局と兼務なのかな。

で、脱衣所。さすがに狭い。ちょうどお客さんが5人ほど溜まってしまった時だったので着替えるのも苦労する。
浴室も狭い。ビジュアルもない。
でもここの最大の売りは「黒湯」。昨日の六龍鉱泉に続けて二日連続の黒湯となった。玉菊湯の黒湯もかなり良い。熱くはないのでゆっくり入れる。入っているだけでお肌がつるつるしてくるのが分かる。それでこの人気なのだろう。入れ替わりお客さんが詰め掛けてくる。

という訳で、風情はないけど高級住宅街で繁盛する黒湯銭湯はなかなか良かった。

六龍鉱泉@根津

2009-04-24 08:24:23 | 銭湯
銭湯は根津の六龍鉱泉。



東京が誇る名銭湯。
まずお湯がいい。黒湯の天然温泉で成分が濃いのか肌がしっとりさらさらになる。
建物が素晴らしい。江戸前の唐破風銭湯で、少し前にフロント式に変わってしまったけれど、それを除けば小さな庭や屋号の入った磨りガラス、大きな柱時計などなど「これぞ銭湯」というアイテムが揃っていて見飽きない。
ただ、残念ながらペンキ絵はなく壁一面のタイル絵。どこの風景なのか、橋と川が描かれている。

これだけ揃っていれば観光名所になりそうなものだけれど、ネックはお湯の熱さ。かなり強烈に熱い。熱湯もいいんだけど浴槽を分けてぬる湯も作ってくれれば言うことなしなんだけどね。

まあとにかく素晴らしい銭湯です。おすすめ!

「タクシー・トゥ・ザ・ダークサイド」

2009-04-22 23:56:28 | 映画
今日は久し振りに映画。
「タクシー・トゥ・ザ・ダークサイド」。08年のアカデミー長編ドキュメンタリー賞を獲った映画。



アメリカ政府によるイラクのアブグレイブ刑務所、キューバのグアンタナモ収容所での残虐な捕虜の扱いを告発したドキュメンタリー。捕虜、刑務所の憲兵、弁護士、政治家、さまざまな関係者へのインタビューで構成されている。
テンポの良い編集、効果的な音楽、などの演出も十分されているが、まあ何より内容がすごすぎる。

自由の国、アメリカの恥ずべき真実。こうした刑務所には6万5千人もの容疑者が連行され、実際にテロ組織と関わっているとされるのは、このうち1%にも満たないとの事。ほとんどが、密告の懸賞金欲しさに告発された無実のイラク人。でも、「無実を証明する」というのはすごく難しい。しかも刑務所に配属された軍人たちはテロの容疑者を自白させるという上官からのプレッシャーにさらされ手段を選ばず無理やり尋問する。その方法は本当に信じられないくらい残虐。うーむ・・・。

で、少し前に捕虜を虐待する写真が公開され大問題になったが、けっきょく罪をかぶったのは下っ端の兵士ばかり。上官や政治家たちはまったく責任を取らなかった。刑務所では100人以上が異常な死を遂げているのに・・・。


という映画をやっていたのは阿佐ヶ谷ロフト。今回が初めての訪問だった。



会場にはいつも新宿ロフトでお世話になっているスタッフの方もいらして6月の銭湯ナイトの話もちょこっとした。僕もそろそろ本気で準備を始めなきゃ。どうも夏休みの宿題状態が続いているよ。

「毛沢東と中国共産党」

2009-04-21 22:53:47 | 
本は「毛沢東と中国共産党」竹内実(中公新書)。



先日「上海にて」を読んだばかりなので中共関連の本が読みたくなり家の本棚をあさったら出てきた本。
1972年の刊行なので、文革もまだ終わっていない段階で書かれた本だが、中国共産党の政治闘争の複雑さはよく分かる。文献だけを元に中国共産党の成り立ちから始まり毛沢東が政治権力を握り党内闘争の一環としての文革までの歴史が描かれている。ただ、民衆の生活などは一切触れられず指導層の闘争のみに焦点を当てているので今読むと不満が残る。でも情報の少ない当時ではこれが精一杯だったのかもしれない。

全体を読んで思ったのは、何よりも路線闘争の複雑さ。中国国内の国民党や軍閥などとの関係だけでなくコミンテルンの指導も党内の権力闘争は密接に結びついている。こんなシビアな争いをしながら革命を成功させるとは・・・。
毛沢東が重視してきたのは「党」は「革命」に服従する、という事。毛沢東は中国共産党とイコールではなく、むしろ「革命」と同じだと自己認識していた。なので、「造反有理」という事なのだろう。
毛沢東が今の中国を見たらどう思うだろうかね。