MARU にひかれて ~ ある Violin 弾きの雑感

“まる” は、思い出をたくさん残してくれた駄犬の名です。

規律違反の癒し?

2014-08-12 00:00:01 | 私の室内楽仲間たち


08/12 私の音楽仲間 (599) ~ 私の室内楽仲間たち (572)



             規律違反の癒し?



         これまでの 『私の室内楽仲間たち』



             『ラズモーフスキィ』第

                   素通りする音
                  音楽すきィ伯爵
                   誰が縁結び?
                   厳しさと重圧
                    涙する長調
                 無骨さなら任せて…
                   61歳の試練
                    半拍の差
                    読者も踊る
                 忠ならんと欲すれば
                   ここにもロシア
                悲しみよ こんにちは
             ロシアと張り合う Beethoven
              音の濃淡とアンサンブル
                 謎の美女 出現
                規律違反の癒し?
                  美女の素姓?
                  喪服の美女

 

 

 弦楽四重奏曲『ラズモーフスキィ』第1番のお話をしている
うちに、またもお得意の “大脱線” です。 同じ作曲者の第3
交響曲に、突如現われた美女に目移り…。

 いや美しい旋律に、心を奪われてしまったのです。 それは
ソナタ形式で書かれた第Ⅰ楽章で、展開部の後半でした。

 

 前回と同じ音源ですが、音量大きいのでご注意ください。

 

 

 これは、[音源]の最初から【38秒】のあたりですが、提示部では
まったく聞かれない旋律なのです。 Beethoven は形式を無視し、
勝手な主題を、それも展開部のような箇所で登場させてしまった
のでしょうか?

 まず全体をリードするのはオーボエ。 表情豊かな楽器です。
作曲者は、この美しい旋律に一目惚れし、我を忘れ、道を踏み
外してしまったのでしょうか?



 

 音楽は再現部、そしてコーダへと進んでいきます。 新しい音源
は、ちょうどコーダに入ったところからです。 次の[譜例]は、その
9小節目から始まります。 長い上に、小さくて申しわけありません。

 ここでも “謎の美女” が現われます。 それは、どういう形で登場
するか? つまり、「その前にどういう音楽が聞えるか」…に注目して
お聞きください。


 



 見にくくて、本当に済みません。 でもここには、作曲者
“仕掛け”あるのです。 一度聞いただけで、もしそれに
気付いたら、Beethoven は仰天するほど喜ぶことでしょう!


 今度は、この[譜例]に “塗り絵” を施してみました。

 そして同じ音源です。



 ご覧のとおり、色を塗ったのは3つの音符です。 半音
下がり、元の音に帰る。 その点で共通しています。

 “謎の美女” にも、同じ形が何度も現われています。
これは偶然でしょうか?


 今度は、3音符長さを見てみましょう。 まず Violin で
細かい16分音符が何度も出て来ました。

 そして、問題のメロディーは分音符ですね。 その直前
には、Vn.Ⅱ分音符で2回、間に入っています。 結局
全体の流れは、16分、8分、4分…と、長い音符へ徐々に
移行していることになります。

 

 またこの後、[音源]が終わる間際ですが、「2つの Violin 
16分音符で対話している」…様子が聞かれます。

 [音源]全体は “コーダの第1部分” に当りますが、まずこの
3音符が現われ、そしてまた締めくくられているのです。

 



 前回は、この “謎の美女” が最初に現われた展開部の様子
でしたが、そこでは 16分音符や8分音符はありませんでした。
4分音符が “メロディー” の中にあっただけです。


 この3つの音符は一体何なのでしょうか? それに、なぜ
コーダでは、“メロディー” の前後にも現われたのでしょうか?


 突然オーボエに現われた、女性的な “癒しの旋律”。 もし
これが無かったら、第Ⅰ楽章の奥深さは半減するかもしれま
せん。 でもそれは、厳格な “形式の論理” に反する…。

 それを Beethoven は、一体どう考えているのでしょうか?

 



       [音源ページ ]  [音源ページ



規律違反の癒し?

2014-08-12 00:00:00 | その他の音楽記事

08/12         規律違反の癒し?




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                 謎の美女 出現
                規律違反の癒し?
                  美女の素姓?
                  喪服の美女
                 暴走 Viola 集団
                  俯瞰検閲集団

 

 

 弦楽四重奏曲『ラズモーフスキィ』第1番のお話をしている
うちに、またもお得意の “大脱線” です。 同じ作曲者の第3
交響曲に、突如現われた美女に目移り…。

 いや美しい旋律に、心を奪われてしまったのです。 それは
ソナタ形式で書かれた第Ⅰ楽章で、展開部の後半でした。

 

 前回と同じ音源ですが、音量大きいのでご注意ください。  

 

 

 これは、[音源]の最初から【38秒】のあたりですが、提示部では
まったく聞かれない旋律なのです。 Beethoven は形式を無視し、
勝手な主題を、それも展開部のような箇所で登場させてしまった
のでしょうか?

 まず全体をリードするのはオーボエ。 表情豊かな楽器です。
作曲者は、この美しい旋律に一目惚れし、我を忘れ、道を踏み
外してしまったのでしょうか?



 

 音楽は再現部、そしてコーダへと進んでいきます。 新しい音源
は、ちょうどコーダに入ったところからです。 次の[譜例]は、その
9小節目から始まります。 長い上に、小さくて申しわけありません。

 ここでも “謎の美女” が現われます。 それは、どういう形で登場
するか? つまり、「その前にどういう音楽が聞えるか」…に注目して
お聞きください。


 



 見にくくて、本当に済みません。 でもここには、作曲者
“仕掛け”あるのです。 一度聞いただけで、もしそれに
気付いたら、Beethoven は仰天するほど喜ぶことでしょう!


 今度は、この[譜例]に “塗り絵” を施してみました。

 そして同じ音源です。



 ご覧のとおり、色を塗ったのは3つの音符です。 半音
下がり、元の音に帰る。 その点で共通しています。

 “謎の美女” にも、同じ形が何度も現われています。
これは偶然でしょうか?


 今度は、3音符長さを見てみましょう。 まず Violin で
細かい16分音符が何度も出て来ました。

 そして、問題のメロディーは分音符ですね。 その直前
には、Vn.Ⅱ分音符で2回、間に入っています。 結局
全体の流れは、16分、8分、4分…と、長い音符へ徐々に
移行していることになります。

 

 またこの後、[音源]が終わる間際ですが、「2つの Violin 
16分音符で対話している」…様子が聞かれます。

 [音源]全体は “コーダの第1部分” に当りますが、まずこの
3音符が現われ、そしてまた締めくくられているのです。

 



 前回は、この “謎の美女” が最初に現われた展開部の様子
でしたが、そこでは 16分音符や8分音符はありませんでした。
4分音符が “メロディー” の中にあっただけです。


 この3つの音符は一体何なのでしょうか? それに、なぜ
コーダでは、“メロディー” の前後にも現われたのでしょうか?


 突然オーボエに現われた、女性的な “癒しの旋律”。 もし
これが無かったら、第Ⅰ楽章の奥深さは半減するかもしれま
せん。 でもそれは、厳格な “形式の論理” に反する…。

 それを Beethoven は、一体どう考えているのでしょうか?

 



       [音源ページ ]  [音源ページ