08/20 私の音楽仲間 (604) ~ 私の室内楽仲間たち (577)
危機管理
これまでの 『私の室内楽仲間たち』
シューマンの弦楽四重奏曲 第2番 ヘ長調、その
第Ⅲ楽章は、速いスケルツォです。
[演奏例の音源]と[譜例]は、その最初の部分です。
さて、それはそうと、アンサンブルが合っていませんね。
大きく分けて、二箇所です。
(1) ○の部分の “頭打ち” が、最初は Vn.Ⅰと合っていない。
先へ行っている。 特に目立つのは、音の大きいチェロ。
(2) その原因は、○の休符が短いからです。 6拍目に早く
跳び込んでいる。
もし貴方が Vn.Ⅰパートを弾いていたら、多分やりにくい
でしょう。 私も、「あ、合ってないな。 どうしようかな?」…
と一瞬迷いました。
もちろん、その場で止めて、仲間たちに注意を促すことも
出来ます。 しかし、私がこのとき取った行動は、止めずに
そのまま続けることでした。
なぜなら、まず時間が無いから。 この曲に充てられた
時間は、一時間か、せいぜい一時間半だけなのです。
もう一つの理由は、これがスケルツォだから。 このよう
な箇所が頻繁にあるのです。 「何度かやっているうちに、
何がおかしいかに気付き、直してくれるといいが…。」
事実、そのとおりになってくれました。 幸いにも!
もし貴方がオーケストラの指揮者で、練習に携わっている
としましょう。 同じような “事故” は頻繁に起こるはずです。
でも一々中断し、口頭で注意していたら、時間は足りません。
「自分が喋るより、みんなを弾かせてあげなさい。」
これは室内楽の練習の場面でも当てはまることです。 何度
やっても合わない場合以外は、喋るのは出来るだけ控えるほう
がいい。 特に、時間が足りないときは。
どうしても喋るなら、単に指摘するだけでなく、“原因と対策”
に踏み込んで、注意したほうがいいでしょう。
ここで○の休符が短くなりやすいのは、【休符の頭しか感じ
ていない】からです。 八分休符にして2拍分ありますから、
〔正確に待つ〕ためには、ある程度時間をかけて【長い呼吸を
しながら待つ】必要があります。
オケも室内楽も、アンサンブル奏者にはこれが不可欠です。
まして、音を出してリードする者、さらに指揮者には、“呼吸
の長さの使い分け” が欠かせないのです。 拍の頭を意識
するだけでなく。
問題は、音を出す前の “準備”にあります。
アンサンブルにも、事故は付き物ですね。 それは、
次の第Ⅳ楽章でも、さっそく起きてしまいました。
そこで私の取ろうとした対応は、この第Ⅲ楽章と同じ
でした。 ところがそれが、とんでもない結果を招くこと
になります。
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