07/05 私の音楽仲間 (508) ~ 私の室内楽仲間たち (481)
これでもか
これまでの 『私の室内楽仲間たち』
関連記事
"Serioso" は "厳粛に" か?
深刻さの反動
ベントー弁の組み紐?
弁当の紐とけないよー
深刻な組み紐
これでもか
演出家 Beethoven
自然に生まれはしないよ
解釈より優先する事情
味多後
引き戻されて
4分36秒の中味
付点音符の尻尾
深刻な問題
Beethoven の弦楽四重奏曲 ヘ短調 Op.95では、いきなり
4人が f で威圧する。 聴く者を驚かせます。
[譜例(1)]は、その冒頭の5小節。 ViolinⅠのパート譜です。
[演奏例の音源]も、ここから。 Violin は私、T.さん、Viola W.さん、
チェロは H.さんです。
“Serioso” の名で親しまれる、この四重奏曲。 なるほど、
“厳粛めいた” 雰囲気で始まります。 これ以上ないほどに。
ところでこの[音源]、おかしいですね。
曲をご存じのかたは、よくお解りでしょう。 上の[譜例(1)]
からいきなり跳んで、下の[譜例(2)]へ。 これ、楽章の終り
の部分です。
でも初めてお聴きのかたでしたら、私に騙されて
しまうかもしれません。
「これ、こういう音楽なんです。 ちょっと短いけど。」
…なーんて…。
それはともかく、相も変わらぬ無茶な編集ですね。 この
短い16分音符のモティーフが、何度も繰り返される。
くどいほどに。 “これでもか、これでもか”…と。 そんな
箇所を探すと、[譜例(2)]になるのです。
そう言えば、このモティーフ。 “これでもか、これでもか!”
って聞えませんか?
もう一つ。 今回の[譜例]をご覧になって、何か
お感じになったことは無いでしょうか?
細かい音符など、音楽的なことではありません。
パッと見た、外観から。
今回は “塗り絵” が、まったく無い譜面なのです。
いつもの私のお得意の…。
これが “中期の Beethoven” なら、まだ私が
塗り絵をする余地もあったでしょう。
でも今回は、そんな必要がまったくありません。
単刀直入、単純明快、解説不要。 作曲者も、
そういう音楽を目指しているようです。
[音源ページ ①] [音源ページ ②]