05/15 私の音楽仲間 (393) ~ 私の室内楽仲間たち (366)
食休みも終り
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ハイドンの弦楽四重奏曲、作品77-1 の第Ⅲ楽章は、
メヌエット。 テンポは "Presto" です。
メヌエットといえば、普通 "Allegretto" か、せいぜい
"Allegro"。 しかしハイドンの四重奏曲には、たまに
この "Presto" が見られ、音楽は縦横に、軽やかに
跳び回ります。
しかしこのメヌエットは、それを通り越している。 「活気が
ある」どころか、「大忙し」! それも全員がです。
「仕事は ViolinⅠに任せておいて、自分たちは引き立て役
に回ろうよ!」…というのが普通の形ですね。 しかし今回
ばかりは、そうも行きません。
リズムの主役は、最初の小節に見られる、6つの八分音符
です。 スラーがかかっている音符と、そうでないのと。
これが難しいんです。 "f" だからといって、重くなると
アンサンブルが揃わない。
特に、スタカートの付いた2つの音符が曲者です。 粒
がはっきり聞こえないと、スパイスが利きません。
この形は以後、4パートそれぞれに現われます。 スラー
やスタカートの位置は不規則になり、ヘミオーレまで出て
来ます。
先立つ第Ⅱ楽章は、連綿たる思いの "Adagio" でした。
あたかも親しい同僚の話にじっくり耳を傾ける、会社の
昼休み…といったところでしょうか。
ところが午後の仕事が始まると同時に、現実の世界に
引き戻されます。 誰一人として居眠りは許されません。
「働け! 働け!」
唯一の救いは、楽章の終りでしょうか。 てんやわんや
だった室内の騒ぎが、一瞬静寂に戻ります。
「ご苦労さん! ティータイムにしようね?」 そう、最後
の4小節は "p" なんです。
安らぎの "p" になればいいんですが。
[演奏例の音源]は、メヌエットの後半の部分。 開始
から14小節すると、冒頭に相当する部分が再び始まり
ます。
ただし最初とまったく同じではありません。 例によって
装飾が施された上、調性もト長調のまま、"ティータイム"
まで突き進みます。
[音源ページ]