05/28 自転車は視野を広く
これまでの『生活・法律』
車は、走る凶器。 金属の塊が高速で動いているのですから、
これにぶつかれば、少なくとも何がしかの怪我は、覚悟しなけれ
ばなりません。
悲惨な事故が、後を絶ちません。 私も運転者。 危険を予測
する "防衛運転" の心構えが、まだまだ足りないと感じています。
よく酔っ払いさんが、真夜中に道路で寝込んでしまいますね。
たとえそういう方が相手でも、「轢いた方が悪い。」 「注意して
いれば撥ねずに済んだはずだ。」 そう判断されてしまいます。
もちろん、そのような事態は避けなければなりませんが。
要するに、安全運転義務違反。 何がしかの過失は
免れません。
これ、はっきり言って "理不尽"。
先日の夜のこと。 私は自宅の近くで車を運転していました。
差し掛かったのは、T字路の交差点。 もうすぐ突き当ります。
道路…といっても道幅は狭く、車が交差するのは困難です。
周辺には家屋が建ち並び、見通しは良くない。
私は突き当って右へ曲がろうと、一時停止しました。 正面
には反射ミラーがありますが、街路灯が無いので真っ暗。
安全を確認しようにも、まったく頼りになりません。
仕方なしに、ゆっくり発進しながらハンドルを右に切ろうと
した、その途端。 右から黒い影が現われ、すぐ目の前を、
さっと左に通り過ぎました。
そのときの驚きを、何と表現していいか! しばらく心臓
の鼓動が治まらなかったほどです。 無灯火の自転車が、
猛スピードで横切ったのでした。
「自分の自転車が点灯しようとしまいと、周囲はそれほど
明るくならない。」 …よくある勘違いです。 「自分の存在を
他者に知らせているかどうか」…という、重要な条件を無視
している。
私がゆっくり発進したのも、「自分の存在に気付いてもらい
たい」…と思ったから。 見えない相手に期待してもらうしか、
他に方法が無かったからです。 それは、運転者側にとって
は常識的とも言える行為。
相手はそれに気付いたからこそ、「先に通り過ぎよう」
と判断した。 そして自分自身は、何とか無難で済んだ。
しかし、「危険の一歩手前だった」…ことは、恐らく今でも
理解してくれていないでしょう。
もし私が、"安全" を確認せずに発進していたら。 発進
時の速度が、もっと速かったら。 もう1秒ほど早く発進して
いたら…。 恐らく衝突していたでしょう。
相手は自転車ですから、怪我をしていた可能性が高い。
事故になれば、警察に届けざるを得ない。 過失の割合が、
結果的にどう判断されるか解りませんが、私にも「落ち度
がある」…とされるのは確実です。
「自動車の方が "強い" でしょ? 強い方が不利になる
もんなんだよ、交通事故の世界では。」
…これは、ある警察官の発言です。 運転者側としては、
何ともやり切れませんが。
事故はお互いで防がねばなりません。 "強い方" は
もちろん、時には "弱い方" も。
京都府は、自転車の安全な通行方法について周知
徹底させようと、高い関心を払っている自治体です。
そこで、[京都府警察/自転車のルールと罰則]
に従って、自転車が犯しやすい違反を見てみましょう。
① 飲酒運転。
5年以下の懲役、又は100万円以下の罰金。
罰則がもっとも重い違反です。
② 信号無視。 ③ 指定場所一時不停止。 ④ 右側通行。
⑤ "自転車及び歩行者専用" の標識のない歩道を通行。
3月以下の懲役、又は5万円以下の罰金。
「赤信号や一時停止の標識では、相手は必ず止まって
くれるはずだ。」 いわゆる "信頼の原則" で、これ無く
しては運転も歩行も出来ません。
車側にとって特に怖いのは、④ 右側通行です。 特に、
こちらへ向かって来る場合の。 もし、左側通行を守って
いる自転車と対面することになれば、そのどちらかが、
必ず横へ "はみ出して" きますから。
互いの衝突を避けるために。
また私が自転車に乗っていて、右折するとしましょう。 その
場合は、大回りして "左側通行" を守らねばなりませんね。
ところが、もしその道路から自転車が現われると、大変危険な
ことがあります。 その相手が大回りせず、最短コースで右折
しようとする場合です。 結果的に相手は "右側通行" を選び、
私とぶつかりそうになるから。 見通しが悪く、"出会いがしら"
の場合は、間違い無く衝突するでしょう。
"左側通行" は、自動車を運転する者にとっては常識以前の
問題です。 しかし、「自転車は歩行車並みに "弱い" から、
右側を通っても許される。」 …そんな認識の違い、言わば
甘えが大きいのではないでしょうか。
警察関係の方々には、折に触れてぜひ、この点を周知徹底
させてほしいものです。
なお "弱い" 自転車に対しては、特例も認められています。
13歳未満の子どもや70歳以上の高齢者、身体の不自由な人
は、安全のために止むを得ず、歩道を通ることが出来る場合
もあります。 "自転車も可" の標識が無くても。
⑥ 無灯火運転、ブレーキの不良。 ⑦ 急な進路変更。
⑧ 傘さし運転。
5万円以下の罰金。
⑧ "傘さし運転" については、「交通の極めて閑散な道路で
の運転はこの限りでない。」…とありますが、これは[京都府
道路交通規則]の場合です。
最近目立つ、携帯通話、携帯メールをしながら、またイヤ
フォン、ヘッド フォンを使用しながらの "運転" にも、同等の
罰則が科されます。 安全運転義務を担うのは、自転車も
同じです。
歩いていて、こんな自転車とすれ違う際は、かなり遠く
へ離れます。 私と直接ぶつからなくても、第三者として
"二次災害"に巻き込まれるかもしれないから。
でも後ろから来られたらアウト。 予測不能ですものね。
「⑨ 自転車に傘を固定する器具を使用した場合も、2万円
以下の罰金、もしくは科料の対象となる。」
これ、通販でも売られていますが、実は "自転車の積載制限
違反" に当ります。 強風や大雨等でバランスを崩したり、視野
を妨げたりする危険もあるからです。
⑩ 並進通行。 ⑪ 二人乗り。 ⑫ 歩道の通行方法違反。
2万円以下の罰金又は科料。
⑩ の "横並び" は、道路ではかなり邪魔になります。 横を
向いて歓談したいのは、私もよく解りますが。
⑪ の二人乗りは、許される場合でも、幼児用座席の使用が
必須です。 もちろん、"大人二人" は違反です。
⑫ は同じ歩道でも、より弱者である、歩行者の安全が優先
されるからです。 ベルを鳴らし、歩行者を蹴散らすような運転
ぶりには、開いた口がふさがりません。
自転車が加害者となり、6,000万円の賠償を命ぜられた例も、
最近はあるそうです。 これ、歩行者に対して。
数年前のこと。 私の母は商店街のアーケードを歩いていて、
突っ込んできた自転車に衝突され、転倒し、救急車で運ばれた
ことがあります。 当時85歳でしたが、運動能力も弱り、避ける
にも避けようが無かったそうです。
短期間の入院で済みましたが、相手は、列をなして自転車を
蛇行させていた高校生。 会ってみると、まだあどけない感じの
男子高校生で、自身が、かなりショックを受けていたようです。
幸いにも、校則で自転車保険に入っていたため、自費で
治療費などを負担する必要はありませんでした。 しかし、
同席したその子の母親によれば、「父親からはかなり強く
叱責された」…とか。
私が治療費等を受け取るに際しては、ある契約書にサイン
させられました。 「これ以上の刑事訴追などは行わない」…
なる内容の。
もちろん、こちらとしてもそれは望みません。 集団で行動
していると、自己を見失いやすいもの。 若い人に限らず。
ちなみに、自分で転倒しただけでも、自転車は危険です。
特に、硬い路面で頭部を損傷すると、致命的な場合も。
それをかつて恐れた私。 小学校入学前の年齢の子供
たち二人に対して、ヘルメットを強制したことがあります。
最初のうちはおとなしく従っていた彼ら。 やがて、「カッコ
悪いから嫌だ!」と言い、ムボウになりました。
「自転車通学でもなし、危険な車と行き合うわけでもなし。」
…それが "理由" でした。
二人とも無事に、今日社会人となっていますが、安全教育
思想だけは、少なくとも実を結んだのでしょうか…。
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