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秋の三瓶山を訪れる

2011-10-29 08:39:04 | Weblog
高速バス「いわみエクスプレス」が運行休止となりました。高速バス「スサノオ」利用、jr出雲市駅から大田方面に向かう旅程となります。


この時期になると思い出すのが、三瓶山への旅です。岩見銀山を訪れた帰りに寄りました。

出雲風土記の国引き神話によると、その昔、朝鮮半島の新羅の岬から余った土地を引き寄せて、出雲の国の一部にしたとのことですが、その時、杭代わりになったのが三瓶山だとのこと、高い山が少ない出雲・石見の地で、海岸からわずか10キロ足らずの地に海抜1,126mの主峰男三瓶山と961mの子三瓶山が並び立つ美しい山容は際立っており、古代の人々がこの山に特別な思いを抱いていたのももっともなことです。
海上から、車窓から、周辺の町からよく見ることができる三瓶山は、島根の方のみならず誰でも一度は登ってみたい山の一つでしょう。

山陰本線大田駅から三瓶温泉へ

鞆ヶ浦道銀山ウオークの帰路、大田駅前から16時22分発の三瓶温泉行きのバスに乗ります。バス停には私の他に、温泉に出かける夫婦連れ方と島根の温泉地を1週間かけて一人で楽しむというという名古屋からの年配の女性だけです。
バスを待つ間、名古屋からの女性と旅の会話が弾みましたが、この方の旅に対する姿勢から多くのことを学びました。日本全国、ほぼ、観光地は回られ、秘湯として知られる東北地方の「酸ヶ湯」「玉川温泉」「泥湯」なども訪れておられるのにはびっくりしました。なぜ単独旅行をされるのか尋ねたところ「旅行仲間が一人減り、二人減り、ついに一人になってしまった」「ツアー旅行は行動が規制されること、自分に合った食事が取れないことから参加しない」「一人で旅の計画を練るのが最大の楽しみ」「荷物はカート式のキャリアに載せてでどこでも出かけるが、島根の駅は階段ばかりで大変だ」とのことでした。

結局このバスには途中のバス停で、地元の方が2、3人乗っただけ、月曜日という平日でしたが、一日8便しかない路線にしてはあまりにも少ない乗客です。大田駅から三瓶温泉の国民宿舎前まで40分、810円でした。

三瓶国民宿舎に泊まる

国民宿舎は三瓶山の南の裾野にある一軒宿です。大きな駐車場には自家用車、観光バスなど満車に近い状態です。路線バスを利用する観光客などはほとんどいないことがわかりました。二ヶ月前のネット予約でしたが、その時点でも空き部屋ほとんどなく、人気がある国民宿舎です。
温泉は源泉30度の鉄分の多い温泉、鉄分をろ過する必要があること、加熱する必要があることなどので、源泉利用のかけ流しの冷泉を除いて、加熱、循環ろ過、塩素殺菌の温泉です。内湯は大型の浴槽、露天風呂も大きく、酒樽を再利用した浴槽もありました。団体客の立ち寄り入浴も多いので、それなりに混雑しています。

一泊料金は部屋代金・一人利用の占有料金・夕食代・朝食代・追加料理に飲み物代を入れても、10,000円を超えず、平日でも満室であった理由がわかりました。夕食は食堂で取りますが、名古屋からの女性が近くの席で一人ビールを味わいながらゆったりと食事を楽しんでおられる様子に、話しかけるのは遠慮しました。朝食はご一緒しましたが、話題が海外旅行になり、三ヶ月の世界一周の船旅も体験されているとのこと、70歳半ばを超えられているようでしたが、その自立とした旅への姿勢に改めて尊敬の念を抱きました。

三瓶山登山ルート

コースは東西南北どこからでも登るルートがあり、北の原から登るルートが一般的なようですが、そちらへ回るバスは一日三便、国民宿舎の裏の登山道から登りました。三瓶山は火山が隆起してできた山で、右回りに、男三瓶山・女三瓶山・太平山・孫三瓶山・子三瓶山の5つの山が円形に隆起し、室の内と呼ばれる中心部の平野部が取り残され、そこに小さな室の内池があります。

健脚なら一周することも可能なようですが、5つの独立峰を登っては降りるコースはとても無理・・・脚力相応の登山コースとして、国民宿舎→孫三瓶山→風越→子三瓶山→室の内池→東の原リフト→東の原→国民宿舎の予定でした。

孫三瓶山へ

国民宿舎の裏の登山口には、また「熊注意!」の標識です。6月の軽井沢白糸の滝歩道、8月の長浜小谷城址歩道でもこの標識がありました。それだけ熊が安心して住める森が少なくなっている証です。
孫三瓶山までは林間のジグザグに登る道で、眺望はまったく利きません。時折、栗の実が落ちています。頂上は903mで、国民宿舎から300mを一気に上ります。20分ほど喘ぎながら登っていましたら、同年輩の男性があっという間に私を抜いていきました。

4時間ほど三瓶山の山中にいましたが、出会ったのはこの男性一人だけ、地図では40分の登りと書いてありましたが、1時間かかりました。頂上は潅木がありますが、見晴らしは利きます。北に頂上が雲に覆われた1,126mの主峰男三瓶山が、大きな山容を東から西へ伸ばしています。子三瓶山は手が届くばかりに近くに聳えています。南には昨日訪れた石見銀山の山々が一塊にまとまって見えています。何万年前には大きな火山であったものが、今のような山塊となったのではないかと思われます。


強風で子三瓶山頂上目前で断念

風が大変強くなってきたので、早々に鞍部の風越まで降りることにしました。孫三瓶も独立峰で、風越までいったん一気に下り、再び、子三瓶の頂上への登りです。低い潅木の中の岩が多く滑りやすい登りとなりますが、見晴らしは抜群です。火山湖のような室の内池の向こう側に女三瓶が聳えています。南には石見銀山の山塊がさらによく見え、昨日の鞆ヶ浦道ウオ―クの昼食地点から今登っている子三瓶が良く見えましたから、その逆の方向から同地点を見ているわけです。あと一息で頂上への稜線に出れば、大田市とその向こうに日本海が見えるはずです。しかし風が非常に激しくなり、草木につかまっていないと身体ごと持っていかれるような強風です。安全を考え、頂上を目指すことを諦め、風越まで引き返しました。登山帽は風に飛ばされ、しゃがんで道の両側の潅木に捉まりながら、身体を丸めるようにして降りました。

室の内を横断

風越からは林の中を室の内池までの下りです。ぐるりと三瓶山塊に囲まれていますから、風はまったくここには吹いてきません。池周辺だけは今でも火山活動の痕跡がみられ、草木も限定した種類しか育たないと説明版にありました。ここから見る男三瓶山は様変わりの印象を見せています。頂上直下から、岩だらけのガレ場が中腹まで押し下り、荒ら荒らしい姿を見せています。池を抜けると再び登り・・・ここからの登山道はよく整備され歩きやすく、また、説明版も適当な間隔で設置され、読みながら登っていると疲れも忘れます。時折、雑木林の合間から、男三瓶山のガレ場とその下に広がるブナ林が見えます。

誰一人いない登山道を、ときおり枯れ枝やドングリが落ちる音を聞きながら、熊の生活圏に一人侵入しているのではないかと不安になり、銀山ウオ―クで購入した杖の鈴を意図的に鳴らしながらウオーキングとなりました。

 
牧場の広大な景色を楽しむ

 登り切るとスキーリフトのある稜線に出ます。左に歩くと女三瓶山から男三瓶山へ、右に行くと太平山から孫三瓶山、子三瓶山、男三瓶山へとなります。ここにも「8月19日、登山道に熊出没」との警告板がありました。リフトで降りると10分で東の原バス停ですが、丁度、一日三便の一つ12時33分発のバスが西の原から出て行くのが、遥か下の国道を走って行くのが見えました。スキー場を迂回するように歩道があり、牛止めの柵を開けて、牧場を巻くように降りる歩道に入りました。冬場はスキー場となる牧場は見晴らしは抜群です。

江戸時代から放牧の歴史が続いているという雄大な景観を楽しみながら、昼食を取ることにしましたが、いたるところに牛の糞があり、腰を下ろす空間を探すのに手間取りました。国民宿舎で作ってもらった弁当を食べ、再び歩き出しましたら、すぐ近くで、女性三人のグループが、見晴らしのよいこの地点で昼食中です。地元の方たちで、おいしそうな混ぜご飯のおにぎりを勧められましたがお腹が一杯、ポットまで持参しての、暖かいコーヒーと果物をご馳走になりました。石見銀山の話がでましたが、以前は自由に車で入れたのに、今では規制が厳しく、もう行く気がしないと贅沢なお話、四季折々、こうして三人で食事を楽しんでいるとのこと、特に4月上旬の桜の頃は最高だと羨ましい限りの生活です。

 
三瓶温泉から、東京へ

グループと別れて、歩道を下ります。車や牛も通る道は林の中に入っていきます。途中で最近できたと思われる2~3メートルの深さの空沢に分断されていました。黄色のロープが張られていましたが、それに気づかず林の中を牛の踏み跡を歩道と勘違いして進んでしまい、スキー場から離れていくことに気がつき、ロープの地点まで戻りました。

 東の原から国民宿舎まで舗装道路を延々と一時間歩きました。国民宿舎の温泉でゆっくり汗を流し、15時11分発のバスを待っていましたら、国民宿舎前の足湯でおしゃべりに華を咲かせている三人グループの女性と再会、自家用車で帰宅途中に立ち寄ったとのことです。大田行きのバスに乗り込みましたが、乗客は私一人だけ、実に、大田駅までの40分の間、乗ってきたのは市立病院で孫を連れた女性だけ、このバスを利用したのは結局大人2人、子供1人だけでした。

大田から松江までJR特急、松江から空港連絡バス、米子空港からANAで羽田空港へ、更に一時間かけて自宅に着いたのが午後11時過ぎ、三瓶温泉から8時間の旅でした。


三瓶山関係資料 国民宿舎さんべ荘にあります
関係リンク   さんべ荘        三瓶山
        路線バス(石見交通三瓶線
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