埼玉 寄居町・深谷市・熊谷市 ピアノ教室Andante/アンダンテ

~「音楽は楽しい!」から「本物の音楽」へつながるレッスン~

音楽は自分の中にある

2010年03月04日 | レッスンの出来事
私自身の“自分の音楽”を引き出されつつある今、
生徒たちの演奏を聞いていても、
“自分の音楽”かどうかが見えるようになってきた。

“自分の音楽”を奏でていない姿は、見ていて苦しい。

でも、それをうまく導けない自分もはがゆい。



そんな中、久々にレッスンに来た生徒がいた。

東京で一人暮らしをしている彼女とのレッスンは、半年ぶり。

ピアノコンサートで弾く曲を持ってきた。


メールのやり取りで選曲したのだけど、かなり迷っている様子で、
最終的に決めたソロ曲は、今までにないタイプの曲だった。


時間が限られた中での練習だったはずなのに、よくまとめられていた。


1回通して聞いた後、自分自身で気になる箇所をたずねたら、
あるフレーズを指さした。

確かに、そこは流れが止まっていた。

私は、左手のリズムが流れを止めていると思ったので、
コードの流れを感じて、休符を重く感じないで弾くように説明した。

左手が弾けるようになって、両手にしたが、
腑に落ちない顔をしている。


今までも、そういうことはよくあった。

今までは、音大の先生のレッスンも受けつつ、私のところにも来ていたので、
双方のはざまで、困っているのかなと思って、
音大の先生の指示に委ねるような形にしていた。


でも、今回は、“自分の音楽”になっていないのでは?と思ったので、
「何がしっくりこない?何が気に入らない?」と質問していった。

そのフレーズの右手のメロディーについているアクセントが気に入らない、と。

そう言われてよく見ると、ほとんどアクセントの中、
虫食いのようにアクセントが付いていない音がある。

そこにアクセントをつけたいのだけど、つけちゃいけないと思って弾くから、
おかしいのだと。

ほかの箇所もよく聞いてみると、
「デクレシェンドが書いてあるけど、クレッシェンドしたい」とか、
「ペダルの記号が、ここで切れてるけど、この通りに弾かないといけない?」とか。


そこで、私自身が言われたように、
「記号は無視していいから、弾きたいように弾いてみて」と弾かせたら、
最初とは比べ物にならないくらい、音楽が動く。

初めに気になった、左手のリズムさえも、流れに乗っている。

だからと言って、楽譜に書かれた指示をまったく無視しているわけではない。

作曲者の意図は十分に汲めているのでは?と思った。


彼女とのレッスンは、もう10年以上。
出会ったときから、私が四苦八苦する曲をいとも簡単に弾く子で、
いつも感心しながらレッスンしていた。


だけど、そんなことを言う彼女を見たのは初めて


その演奏に、今までに見たことのない彼女らしさを感じた。


音楽は自分の中にあるんだ



この長い期間、私は、私が勝手に思い描いた“彼女らしさ”の中で、
レッスンしてきたに過ぎなかった…



とても大切なことに気づかせてくれて、ありがとう


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