ルーマニア・ランニングライフ★Romania Running Life★

ダーリンはルーマニア人、マラソンシューズ゛と共に過ごす首都ブカレストでの日々。東欧の神秘ルーマニアを探索中+ラン遠征。

Super Maratonului “Pe aici nu se trece”、歴史編

2014-08-07 | 海外&ルーマニア・マラソン大会

 
8月6日、この日はルーマニアにとっても戦争のメモリアルデー。第1次世界大戦で目前に迫ったドイツ軍との激戦に耐え死守したのは、Soveja(ソヴェジャ)~Mărăşti~Mărăşeştiの戦線(モルドヴァ地方Vrănceaヴランチャ)、1917年のこと。
 


上の写真は小高い丘の上にあるMărăşti(マラシュティ)の村から見た風景。手前の木の茂っているところはルーマニア領で、向こうに見える山までドイツ軍(Neămţ)によって占領されていたのです。何ということもない風景だけれど、こんなふうに説明を聞くとその間にあるくぼ地での当時の激闘の様子がしのばれます。
 
この戦いでは兵士だけではなく、近隣の農民達も自分達の村を守るため、前線に立ちました。農民に軍服は与えられません、農作業に出かけるような白のシャツで戦場へ。

広大な緑の稜線で、白のシャツはよく目立ち標的になりやすいです、にもかかわらず、勇敢に戦ったのは農民達でした。地元のどの家からも複数の戦死者が出て、農地は荒れ、苦渋の時期でした。
 


将校Eremia Grigorescuが96年前に言った一言、“Pe aici nu se trece”(=ここを通すな!)との指示を、ルーマニア軍と地元民が守りきった真夏の激戦。8月6日に行われたマラソン大会“Pe aici nu se trece”のネーミングはここから。ソヴェジャからマラシュティへの42キロ、マラシェシュティからマラシュティの戦線をたどると46キロのスーパーマラソン。
 


Mărăşeşti(マラシェシュティ)の戦没者の記念碑公園。大きなドームのある記念館、敷地内にはルーマニアの国旗、国旗、国旗。戦争に勝ったからこそ、この国旗を掲げることが出来るのです。もしドイツ軍の侵略に甘んじていたら、ここにはドイツ国旗が掲げられていたに違いありません。
 


ワタクシ、マドモワゼル、つい、いつものスマイルで記念撮影していますが、ここは笑顔では居られないところ、大きな犠牲のあった悲しい場所。日本人の誰もが、原爆ドームで笑顔で記念撮影出来ないように。
 


記念館の地下には、当時の最高指揮官(maresalu)アレクサンドル・アヴェレスクの棺が安置。戦後の1938年没。l
 


この戦争に唯一女性が参加していました、エカテリーナ・テオドロイウ(sublocotenent、1894-1917)、23歳で戦死。
 


ここからMărăşti(マラシュティ)まで、いくつかの市と町を経ながら、今でこそ舗装道が通じていますが、当時はアップダウンの多い土道に違いなし。道が舗装され、そして当時を偲ぶ記念碑があちこちに。
 


この戦いで亡くなった無名のドイツ兵のための記念碑もあります。



記念碑への入り口。
 


通過地点のPanciu(パンチウ)は、有名なワインの産地。ヴランチャ全体が、ワインで有名。
 


そして、マラシュティの村へ。分岐点から5キロ、穏やかなのぼり。丘の上にあるマラシュティの村だからこそ、戦いの要所となったのです。
 


村の入り口。
 


戦争の記念碑。英雄碑、と言う名前がついているけれど、農民達も含みます。戦没して「兵士」の呼称が与えられたのです。
 


両側に飾られたレリーフに目が留まりました。
 


村人達の苦渋の表情が。赤ちゃんを抱きかかえたお母さん・・・。子供達も苦しんだのです。



犬も悲しげな表情。



多くの犠牲を払いながら、この戦線は守られました。結果として第1次世界大戦に勝利。オーストリア・ハンガリー帝国からトランシルヴァニア地方を取り戻しました。ここは代償の大きかったところ、でもそのおかげでこうやってルーマニア国旗を掲げることが出来るのです。忘れてはならない戦争のメモリアルデー。

この日:
「6 August...O zi pe care intreaga umanitate NU ARE VOIE SA O UITE!」
(私訳で:8月6日、すべての人類が忘れてはならない日)

日本びいきのルーマニア人がメッセージをくれました。8月6日は、日本人にとっては広島原爆記念日。

この日にルーマニアの慰霊碑を訪れ、少し考えされられました~ルーマニアは(第一次、第二次とも)世界大戦に勝利し、英雄の慰霊碑が国土のあちこちに。特に第一次世界大戦での勝利は大きな利益(国土回復)をもたらし、犠牲となったすべての人が英雄としてたたえられ、国旗が掲げられています。


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