マックンのメモ日記

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ストラディバリウスが現代のバイオリンより名器と言うのは思い込み!

2012-01-06 20:43:21 | 芸術(音楽など)・文化・歴史
音楽に興味のある人で、ましてや楽器を演奏する人であれば、ストラディバリウスという名前を一度くらいは聞いた事があると思います。つい最近も、日本音楽財団が東北大震災の被災者を支援するために、アントニオ・ストラディバリ製作の「レディー・ブラント」という、現存する約600挺の1つと言われているバイオリンを、オークションにかけと言うニュースを、ご記憶の方もいらっしゃると思います。ちなみに、この名器・ストラディバリウスがオークションで約1600万ドル(約12億7000万円)で落札されたと言うことはあまり知られていないと思うのですが、この価格は、これまでのストラディバリウスの最高値の4倍もする金額で取引されたのです。ちなみに、一般に販売の新品のバイオリンの高価な品でも200万円くらいだそうです。

バイオリンは、弓で弾いた弦の振動を表板に伝え、2枚の板の間の空間で共鳴させ増幅させるという簡単な構造ですが、ストラディバリウスから発せられる音は、ほかのバイオリン以上に美しく洗練され、まばゆいばかりと絶賛されているのです。手作りで1挺ずつ丁寧に作られているので、その1挺ごとが個性があり、長年の熟成で奏でる音色が違うのだそうです。バイオリンという楽器は製作後200年から300年経ってから最高の音が出ると言われているのです。最新技術で似たような材料を使っても、ストラディバリウスの音を再現できないそうです。

そのためストラディバリウスはなぜ音色が優れているのか世界中で研究され、材質とニスに秘密があるようと言われていました。木材はトウヒやカエデが使われ、木目が均質に詰まった方が良いとされています。ストラディバリウスが生きていた時代は現在よりもやや寒冷な期間で、夏と冬の温度差が小さく、中の密度が驚くほど均一であり、木が成長して季節ごとに刻まれる年輪による木目の幅の違いがほとんどないそうです。木のセルロース成分の結晶化が板の弾圧率が高まり振動の損失が減って、耳障りな音がなくなり伸びや滑らかさが出てくるのではと考えられています。ところが、2009年にパリの音楽博物館がニスの成分を赤外線で分析したところ製造当時のごく平凡なニスであると発表しているのです。

ところで、「なんでも鑑定団」の再放送で、4本のヴァイオリンの中から本物のストラディバリウスを探すというコーナーがあっったそうで、4本のうち3本は良くできたレプリカで、1本は本物です。これをそれぞれの見た目と生演奏を聴いた印象で本物はどれかと決めるのですが、結果は次のとおりでした。
1番・1億円   1689年製、本物   投票者1人
2番・30万円  フランスの量産品、    2人
3番・200万円 国産の高級品、      3人
4番・700万円 18世紀のフランス製、   0人
番組では3番目の楽器に一番人気があったそうです。

またNHKも特別番組をつくってヴァイオリンの音色の聴き比べ実験をやっています。審査員は音楽評論家、N響団員などの専門家ばかり数名。弾き手はストラディバリウスを愛用している江藤俊哉氏。数本のバイオリンがカーテンの向こう側で審査員には見えないように演奏されたのです。結果は国産高級品が1番、ストラディバリウスが2番でした。驚くべきことに、専門家の耳ですら名器の音が分からなかったのです。番組では高価な名器への疑問が投げかけられたのですが、江藤氏がそれに対して、実際に弾いてみるとストラディバリウスの素晴らしさが良く分かる、という主旨の反論をして終わったそうです。

2010年の実験では、有名なインディアナポリス国際バイオリンコンクールの際に行われ、その国際コンテストに集まった21人のプロのバイオリニストに協力してもらい、楽器が見えないよう目隠しをしたうえで、18世紀に作られたストラディバリウスや、現代の最高級バイオリンなど計6丁を演奏してもらった。どれが一番いい音か尋ねたところ、13人が現代のバイオリンのほうが好ましいと答えたそうです。安い(と言っても最低200万円くらい?かそれ以上?)現代のバイオリンの方が評価が高く、ストラディバリウスなどはむしろ評価が低かったそうです。この13人の中には受賞者や審査員なども含まれていたそうです。

つまり、このNHKの番組や、なんでも鑑定団、パリ大学などの実験でも、ほぼ同じ結果が出たと言っていいでしょう。つまり聴衆にとってストラディバリウスは必ずしも良い音ではないということが証明されたのではないでしょうか。にもかかわらず、値段が凄まじく高価なのはなぜでしょう?確かにストラディバリウスなら音色の良さが保証されているのかもしれませんが、現代の名器でもそれは保障されていると思うと、果たして両者の間に値段ほどの差があるのか疑問になってきます。それでもストラディバリウス信仰が根強いのは、しいて言えば、先入観ではないではないでしょうか?人間、権威やブランド、超高価格などに弱いのだと思います。

ストラディバリウスの歴史的かつ骨董的価値はあるでしょうが、楽器としてのそれだけの価値があるのかと言えば疑問です。そうでなければ誰が聞いてもストラディバリウスは良いと言うでしょう。ある意味それを持っている事で、権威付けに使われているのではとも言えます。しかしそうなれば、音楽の本質からはかけ離れたところで、値段だけが象徴として高く吊り上げられているということになります。音楽家もブランドには弱いということでしょうか?これってブランド好きの日本人にも相通じるところがあると思いませんか?

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