鴨が行く ver.BLOG

鴨と師匠(ベルツノガエル似)と志ん鳥のヲタク全開趣味まみれな日々

最近読んだSF 2017/8/19

2017年08月19日 15時00分09秒 | ゲーム・コミック・SF
あっという間に、8月も後半ですねー。
次の週末に高円寺阿波踊りがあって、中央線の夏が終わる・・・(-_-)(中央線沿線における「阿波踊り=夏終盤」という共有イメージ)
そんな夏に読了したSFレビューでございます。

ヒトラーの描いた薔薇/ハーラン・エリスン、伊藤典夫他訳

日本ではエリスンの短編集はハヤカワ文庫からこれより前に2冊出てまして、どちらも傑作です。本邦3冊目の短編集となる本作、通読しての印象は割と玉石混淆な感じ。SFでは無い通俗小説やファンタジーよりの作品も多く、かつ明確な起承転結が無い話もあり、これまでの2冊に比べるとちょっと取っ付きにくいイメージです。

が、所々にもの凄く純度の高い「エリスン節」が含まれている作品がありまして、なかなか巧く表現できないのですが「神秘性を帯びた暴力」とでも言いましょうか。世間一般の常識とはかけ離れ理屈や道徳は一切通用しない、ある種神話めいた独特の世界観の中で繰り広げられる暴力と怒りの爆発。すっきりした話・気持ちの良い話が読みたい人は、絶対近づいてはいけない世界ですヽ( ´ー`)ノ

鴨が気に入ったのは、「バシリスク」「冷たい友達」「クロウトウン」の3作。「バシリスク」「クロウトウン」は、正にエリスン神話としか言いようの無い理屈抜きの迫力が感じられ、頭で理解するよりもその迫力に圧倒されて酔いしれよ、というタイプの作品。「世界の中心で愛を叫んだけもの」「死の鳥」などに近い作風ですね。
でも、こうしたエリスン神話とは一風異なる「冷たい友達」が実は一番のお気に入りヽ( ´ー`)ノ乾いたユーモアに包まれた筆致で救いようの無い結末を描くという、後味の悪さにおいては随一といって過言ではあるまいヽ( ´ー`)ノ

ただでさえ読む人を選ぶエリスンの短編集、誰にでもおススメできる代物ではありませんが、とにかくパワフルですので読む際には心の準備をぜひ。
コメント
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