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絵本の話を中心に、好きなもの、想うことなど。

たいせつにしたいこと

2007-04-11 18:40:05 | 好きな絵本

 高校時代からの友人Mさんと、もう一人の友人(同じくイニシャルが)Mさんには、
同じ年のお嬢さんがいます。

 二人は1994年生まれで、しーちゃんが4月、みーたんが12月に生まれています。
小学校入学の時に、私が二人に贈ったのが↓の絵本。(このときはわりとすんなり決まりました。)
ほんとにほんとにほしいもの かあさんのいす
            

 
 
 そして、その二人が、この春小学校を卒業したので、そのお祝いにも本を贈ろうと思い‥
小説や詩や物語、あるいはお料理の本?まで範囲を広げて考えたのですが、「今」の私が
選ぶのならやっぱり絵本かなあと8割方心に決め、最後は、梅ヶ丘のことり文庫さんの
店内で、ことりさんに置いてある本の中から選ぼうと思ったのでした。

 Mさんのお嬢さん、みーたんにはこの本を。
はっぴぃさん
   『はっぴぃさん』  (過去記事は

 もう一人のMさんのお嬢さん、しーちゃんにはこの本を選びました。

 たいせつなこと

    『たいせつなこと』
   マーガレット・ワイズ・ブラウン 作
     レナード・ワイスガード 絵
        うちだややこ 訳
  

 

 マーガレット・ワイズ・ブラウンの絵本といえば、『しずかでにぎやかなほん』(過去記事)を
ずっと愛読していて‥この『たいせつなこと』が2001年に出た時は、なんとなく、いいかな
(買わなくても)と思い、知ってはいたけど、じっくり味わったことがありませんでした。

 ことり文庫さんの奥の部屋で、一緒にお店に行った娘に、声を出してこの本を読んでみました。
(娘が読んで、と言ったわけではなく、私が勝手に聞かせ始めたのです。)

 やっぱり、絵本は、声に出してこそ、だし、ひとりで声に出すよりは、誰かに向かって
語りかけてこそ、のものです。今までさらさらっと読んでいた時は、この本の魅力の10分の
1もわかっていなかったと思いました。

 
 言葉のつながり方の美しさ。語りかけの優しさ。

 あとがきで、翻訳された内田さんが ひらがなという美しい音色にかえ、
言ってるとおりだと思いました。


     あめは うるおす

    
    あめは そらから おちてきて
    
    しとしと ざぱざぱ おとが して
    
    いろんな ものを
    
    つやつやに かがやかせ
    
    どんな あじにも にてなくて
    
    くうきと おんなじ いろを している
 
    
    でも あめに とって
    
    たいせつなのは
    
    みずみずしく うるおす と いうこと


 


 私はしーちゃんへの手紙にこう書きました。

 この本は、小さな子供たちのために書かれた絵本だけど、10代の子が読んでも、
 大人が読んでも、詩の本を読んだ後のような気持ちになれると思い選びました。

 しーちゃんは、最初は何が言いたいのか分らなかったし、そんなのあたりまえ!
 って思い、でも、2,3回読むうちに、最後に書いてあることが大切だなと
 思ったそうです。そして「少しだけ」なら人に合わせてもいいし、「少しだけ」なら
 自分の意思を持って行動するのもいいと思ったと、結んでありました。

 しーちゃんは、「少しだけ」をカッコに入れてはいませんでしたが、私は、そう手紙に
書ける、素直さと正直さをかわいいなあと思うと同時に、羨ましくもなりました。

 生きていく中で大切なことは多々あり、優先順位だってありますが、本当に大切なこと、
たいせつにしたいことは、13歳のしーちゃんが教えてくれた伸びやかな素直さなのでは
ないかと、思っています。




 
 今年愛用している手帳には、1月1日からの「通し番号」がついていて、昨日がちょうど
100日目でした。100日といえば、1年の3分の1が過ぎようとしているということ。
今年になって、もうそんなにたってしまったのかと、焦る気持ちは、「たいせつにしたいこと」
の逆をいっているようで…。それではいけないと、しーちゃんからの手紙を読みなおした日でした。

 
 


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12 コメント

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絵本を贈る楽しさ (jasumin)
2007-04-12 09:22:32
絵本を送る楽しさって 特別大好きです。
自分としては その相手にこの本を選んだ理由があって、受け取った相手は、その人が自分のためにこの本を選んだ理由を考えて、そして読んで感じることを噛み締めて。
rucaさんのなさったように、年齢など関係なくそんなふうに心を通わすことのできるって、とても素敵ですね。
しーちゃんもいい子。

私は 今春大学生になった姪に「たいせつなこと」を買いました。九州からひとり暮らしを夢見て上京してきました。学校が始まったそうなので、そろそろ送ろうかと思っています。
半分大人になりかかったあの子は、どんなふうに思うのかちょっと心配で楽しみです。
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いいですね (新歌)
2007-04-12 18:57:26
一生懸命、考えて
思いを込めて贈られた絵本たち。
読み返すたびに ふと思い出して
何かのとき ふとこの絵本を思い出して

そんな付き合い方をしてもらえたら
嬉しいですね^^

『たいせつなこと』我が家にもあります。
私も以前知人に贈ったことのある本です。
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もう一度 (くっちゃ寝)
2007-04-13 09:53:22
『たいせつなこと』、私も最初に出たときたまたま本屋さんで見かけ手にとって、まあいいか、と思ったくちです(笑)。
とても気に入ったのに、芸能人が翻訳してる、ということが気になって買うのをやめたのでした。
偏見もいいとこですね(笑)。

今rucaさんの書かれた内田さんの翻訳を読んで、いいな、と感じました。
今度本屋さんで見つけたら、もう一度偏見なしに読んでみようと思います。

次女が高校生になり、来年は長女が大学生。
親のもとから少しずつ飛び立とうとする娘たちに、私の思いを託すとしたら、やっぱり絵本かな。
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jasuminさんへ (ruca)
2007-04-13 15:38:06
こんにちは。コメントありがとうございます。

そうですね、絵本を贈るのって格別ですね。
贈り物はなんでもそうだけど、その人のことを想って
何かを作ったり、選んだりしているその「時間」が
実は、自分にとっての「おくりもの」だったりするのかも
しれないです。迷う楽しさや、ドキドキを貰って
いるのと同じだから。

大学生になった姪御さんは、『たいせつなこと』を
どんなことを想いながら読むのでしょうね‥♪
返信する
新歌さんへ (ruca)
2007-04-13 15:44:13
こんにちは。コメントありがとうございます。

12,3歳の女の子が、絵本のことをどう思っているのか
実は全然わからないのです。
自分自身は、その頃、まったく絵本の「え」の字も
思いませんでしたから。なので、ふーん、で終わっても
いいかなあと思っているのです。

何年か過ぎて、ああこんなのくれたおばさんが居たなあ
と思い出してくれて、また何年か過ぎてから、手にして
くれればそれでいいかなあと‥。

でも、でもね。心の底では、いつの日か、彼女たちが
お母さんになった時に、その本をまだ持っていて、
お子さんたちに読んでくれたら、なんて夢みているの
ですよ~。

返信する
くっちゃ寝さんへ (ruca)
2007-04-13 15:50:13
こんにちは。コメントありがとうございます。

私も、少なからず翻訳の内田さんに対して偏見が
あったのだと思います。あと‥おなじような語り口の
話なら、谷川さんの訳に勝るものはないだろう、という
気持ちもあったでしょうか。

でも、今回、友人のお嬢さんへ贈る絵本ということで
とても真剣にこの本を読みました。そして、素直に
いいと、思えたのでした。

くっちゃ寝さん、いつかお嬢様たちが旅立つときに
クーニーの絵本を、とおっしゃっていましたよね。
とてもステキなアイデアだと思ったのを覚えています。
返信する
すてきですね (フラニー)
2007-04-14 22:14:49
まさにその年の娘に、どこかで感じてもらいたいことが「たいせつなこと」に詰まってる気がします。
わたしもこの絵本、大好きなんです。
それと、しーちゃんの「少しだけ」のこだわり、とても共感します。
そのバランスが大事だなって、、、すでに12歳にしてそのことに気づいて表現できることに、また感心してしまいます。

「たいせつなこと」も「かあさんのいす」シリーズも大好き。
素敵な絵本の贈りものですね♪
返信する
こんばんは (こうめ)
2007-04-14 22:22:16
この本が出るどのくらい前だか、
朝日新聞でおふたり(谷川さんとややこさん)の
対談があって、そのとき、ややこさんの思い出の本・大切な本
との(自分との)だぶり具合に、感動すらしたのです・・

ややこさん、ひいては、それらを差し出したであろう
ご両親には、それ以来ちょっと親愛の情が。

(そこでは、ゴフスタインも、でてきてましたよー。)

この絵本とその対談がばっちりつながったのは、
ごくごく最近ですが、
この絵本へのわたしの信頼は深いです。

何冊も、人にはあげているのに、
自分では持っていないです・・
あげるのはもちろん、もらうのもだいすきなので、
いつかだれか、私にはこれが・・って思ってくれた人が
くれるかな・・って。

絵本やさんに、絵本くれる人、あんまりいないけど・・


返信する
Unknown (はらぺーにょ)
2007-04-16 10:00:13
rucaさん、おはようございます。
うちにある「はっぴいさん」「たいせつなこと」は
今ちょうど貸し出し中なのですよ。
絵本を贈るのは選ぶのが難しいなと思うけれど、私も絵本をプレゼントするの
とても好きです!
「はっぴいさん」「たいせつなこと」プレゼントに
ぴったりですね。
しーちゃんにも、みーたんにも、今読んで思うこと、大人になってから読む時の思い、
その時々で色々な思いが心に残る絵本になるでしょうね。
そして、プレゼントしてくださったrucaさんの優しさと、
たくさんの思いが詰まった贈りものですね。ステキです!
もうすぐ娘の誕生日で、実は「たいせつなこと」を
娘と一緒に読みたいなと思っていたのです。
娘にはちょっと難しいかなと思いながらも、それでも
今年はなんだか一緒に読みたいのです。
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フラニーさんへ (ruca)
2007-04-16 18:53:18
こんばんは。コメントありがとうございます。

しーちゃんとみーたんの二人に絵本を贈ろうって決めたとき、ほんとはフラニーさんに相談したかったんです。だって、この春中1のお母さんですもの。
読み物がいいかなって思っていたときは、『11月の扉』も候補にあがっていて…あと『魔女の宅急便』とか。でも、もしも持っていたり、すでに読んでいたらなあとか心配になってきて…。結局最後は、ことり文庫店内で決めようと、決めたわけなんですが、それが一番、私がふたりに伝えたかったことなのかもしれません。ことり文庫と、こうめさんっていう店長さんのことを。本文で、書くのすっかり忘れてしまいました。

「そのバランスが大事だなって、、、すでに12歳にしてそのことに気づいて表現できることに、また感心してしまいます。」

「少しだけ」というところに、12歳ならではの素直な気持ちかな、と私は感動を覚えたのですが、フラニーさんが↑のように書いてくれて…そうかしーちゃんは、ちゃんともうわかっていたのかなあと思ったしだいです。
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