花と文。(暮らしと本と花と)

日々の心に残る記しておきたいこと。

良い本に出逢えば。~意味を求めて~

2017年07月12日 | 

 それぞれに好みがあって、自分にとって良いものが他者にとって

 必要な書だとは思わないし、ピンと来なければ、どんな本であっても意味はない。

 その時々によるけれど

 人間の心を深く探る、そして、生きる力に変えてくれるようなものを好むほう。

 おそらく、生きることって大変なこと
 
 そう感じて生きた時代があったからだと分析する。

 生き抜く力を求めていたから

 生きる意味とか、なぜそのような経験をしなくてはならなかったのだとか

 問いかけの思いが強かったのだろう。

 そして、意味のある(自分にとって)本に出逢ったからこそ

 今の自分がいると考えられる部分もなくはない。

 イコールと矢印が納得できるものとして成りたち

 自分の中に落ちてきた経験

 もう本の面白さだけで退屈をすることはないだろう

 それくらいに惚れこむ

 そういう出逢いをしたことがあるということかなと考える。



 「フランクル 『夜と霧』への旅」 河原理子 著  

  
  強制収容所の体験の記録『夜と霧』(ヴィクトール・フランクル著)について

  彼の人生を辿り、取材し、その思想のなぜを追っていく。

  まえがきには「生きることに対するフランクルの思想は、広くて深くて、骨太で、そう簡単にはわからない。

         もっと知りたいという思いを止められなかった。」とある。

  ・・・・・
 
 私自身、「夜と霧」の本は、図書館で借りてきて読んだもので、実際には持っていない。

 ある方のブログで知り、時間を置いて図書館で出逢ってふいに借りて読んだ。

 そして感動して読み終えたのち

 買おうと思っても、思いとどまる。

 巻末の強制収容所の写真を正視できず、本を読んでも、写真のページは束ねて見ないようにして本を閉じる

 わが家の書棚に置いておける自信がないのだ。

 今回、この本を読み終えて、気持ち改まり、わが家の一冊にしようと思う。

 そして読み終えた本のページの端に折り目を付けたところを追ってみた。

 この本(フランクル『夜と霧』への旅)には色々な人物が出てくる中で

 エッセイストの岸本葉子さんは「意味への意志」と「それでも人生にイエスと言う」読んで感銘を受け、

 著書の中で、~フランクルが説いた三つの価値を説明する~と紹介されている

 以下、

 ~意味とは、あらかじめ与えられるものではなくて、そのつど発見されるべきもの、

 状況に直面した者がみずから見出さねばならないもの。

 それは三つのしかたで見出されるとフランクルはいう。労働や、何かを作り出すことにより、
 
 実現される「創造価値」。自然や芸術を鑑賞する、あるいは誰かを愛することによって実現される

 「体験価値」。そして、それさえもあきらめなければならなくなっても実現しうる「態度価値」が

 人間には残されている。仕事は、いずれできなくなるかもしれない。音楽を聴いたり本を読んだりすることも、

 できなくなるかもしれない。それでもなお、変えられない運命に対して、どのような態度をとるか、

 その事実をいかに引き受けるのかという心構えと態度によって、人はなお意味を見出すことができるのだ____。~

                                          (抜粋)
 



 翻訳者の霜山徳爾氏のエピソードなども興味深かったし、フランクルの周囲にいた人たちの取材により

 人となりも伝わってきた。

 様々な環境で生まれ生きている人たちや

 いくつかの犯罪の被害者、加害者の背景にも迫り、取材されている。人間の複雑さ、奥深さ

 生きる背景はどう影響したのか。私達も同じ社会で生きるものとして感じるさまざまな点にも及び

 視ていく、考えて行く角度は幅広い。

 序盤、純粋に『夜と霧』だけを読むのがいいのかもしれない(本はその人それぞれの感想を持てばいい)

 そう感じながら読み進む自分もいたのだけれど

 読了した今になると、「夜と霧」という書が

 またずっしりと価値ある大切な一冊であったと確信した。

 

 河原さんの文の中に、大事な3冊として

 「夜と霧」のほかに2冊が挙げられていて、私の大事にしている本であったのも嬉しかった。

 本は時代を超えて、立場も何もかもを超えて、気の合う人と出会う貴重な機会であると

 今回もまたそんな気持ちになる。

 本を読む楽しさ、喜び、読むものとして選ぶものとして

 良い本に出逢えたことの縁というものに

 感謝の気持ちでいっぱいだ。

 

 



 

 

 

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